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【弁護士監修】内定取り消しの理由が話題に。条件や適法性は? 企業が内定取り消しをする際に気をつけるべきポイントを解説

2023年06月22日 2023年06月22日

会社経営・事業経営 契約 雇用・労働・従業員 企業法務・法律
#内定 #始期付解約権留保付労働契約 #内定取り消し #判例
【弁護士監修】内定取り消しの理由が話題に。条件や適法性は? 企業が内定取り消しをする際に気をつけるべきポイントを解説

Twitterで内定取り消しされたユーザーがそのメッセージ内容に不満があるとスクリーンショットを掲載し話題になっています。そこで今回は内定とはどんなものか、内定取り消しをする際の注意点などを解説していきたいと思います。

この記事の監修弁護士

新橋虎ノ門法律事務所

武山茂樹 弁護士

内定と内々定の違い

まずそもそも内定とはなんでしょうか? よく採用と同じように捉えられてる事例を見かけますが、法的には全く違うものとなっています。まずは内定の基本を解説していきます。

内定とは

内定とは就職・転職活動などの採用プロセスにおいて企業と候補者が合意し「始期付解約権留保付労働契約(しきつきかいやくけんりゅうほつきろうどうけいやく)」と呼ばれる正式な契約が成立している状態を指します。そのため、正式な契約が両者の間でなされた状態を指しており、一般的には「内定承諾書」という書面を交わした際に効力が生じるものであり、面接された後に口頭やメールなどで「あなたを採用することにしました」と伝えられただけでは内定とは言えません。

TIPS 内定の目的は?
内定は、採用する人物に事前に通知・契約することで両者間での内容の確認のほか、採用が予定されている対象者が事前に企業に就職する準備期間を設けるための意味合いを持ちます。

内々定とは

似たような言葉で「内々定(ないないてい)」という言葉があります。これは内定よりもさらに前の段階で、企業側が採用することを決定し、採用・昇進通知をしただけの状態となります。こちらも企業側が不合理な理由で一方的に取り消すことはできませんが、正式な内定ではありませんので、法的保護は弱いです。

内定が成立するプロセス

  1. 企業が内々定(採用の決定)をする
  2. 企業から当事者へ内定通知書の送付
  3. 当事者から企業へ内定承諾書を提出

上記のように「内定」とは、企業が採用者に内定通知書、または採用内定通知書を送付(電子メールなどの場合もあり)し、当事者がそれを受諾し、内定承諾書を企業に提出することで初めて内定が成立します。

ただ、口頭で「あなたを採用することにしました」と企業が通知し、内定者が承諾しても内定成立とは言えます。しかし、証拠が残ってない以上、言った言わないの水掛け論になる可能性があります。また「あなたを採用することにしました」と言った人は、実は人事権がない可能性もあります。いずれにせよ、正式な書面を交わすまでは、内定と考えない方が無難でしょう。

内定取り消しと内定辞退

そして度々SNSなどで話題になるのが内定取り消しです。企業側としても、他にもっといい候補者が出てきた、経営状態が悪化して採用する余裕がなくなったなど様々な事情で取り消したくなる場合もあるかと思いますが、そう簡単に取り消せないのが内定です。

始期付解約権留保付労働契約とは

冒頭で解説した通り、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」が企業と採用者の間で成立していることを指します。「始期付」とは内定の通知から実際に就労されるまで一定の期間があるため付いている言葉です。「解約権留保付」は、その期間内にやむを得ない事由が発生した場合、取り消しができるという条件付き契約であることを指します。このセクションではこの「やむを得ない事由」がポイントとなってきます。

内定取り消しが認められる条件とは

内定は正式な契約ですので取り消しすることは解雇すると同等の性質を持ち、経営者の皆様は解雇がそう簡単ではないことはご存知だと思います。そのため、内定を取り消すには以下のような相応の事由が必要となってきます。

  • 内定者が犯罪を犯した・前科があることが後から発覚した
  • 面接採用時に学歴や経歴など虚偽の申告を行った
  • 内定者が企業の経営悪化・イメージダウンに繋がる恐れが発覚した
  • 卒業予定の学生が卒業できなかった
  • 内定者の健康状態が悪化し、就労が難しくなった
  • 地震などの不可抗力な災害発生により経営状態が悪化した

上記のように面接時ではわからなかった真実が後から発覚するほか、最近ではSNSアカウントを監視する企業も増えており、採用予定者のアカウントが炎上していたり、攻撃的や非倫理的な発言が多いことで企業のイメージダウンに繋がる恐れが高い場合なども取り消し対象になることがあります。

話題で見る内定取り消し

今回SNSで話題になっているのは以下のツイートです。

上記では内定取り消しの事由として「他の候補者の方が適切にマッチする結果」を挙げています。これは企業側の都合でしかなく、内定取り消しに相応の事由とはいい難いでしょう。ただし、このツイートだけでは実際に内定承諾まで行われていたかはわからないため、一概に契約を破ったとは言い切ることはできません。

内定辞退とは

内定辞退とは取り消しの反対で、企業が採用者に通知を出し、採用者が内定を承諾したあとに採用者から企業に対し内定を辞退することを指します。こちらは取り消しとは逆にそこまで厳しいものではありません。というのも、労働者には職業選択の自由があり、労働者はいつでも(原則予定日の2週間前までに)労働契約を解約する申し入れ(仕事をやめる)ができるのと同様に、内定も事情があれば辞退することができます。そのため、内定承諾前も同様で内定通知をもらったからと言って必ず承諾する必要はありません。

内定辞退に多い理由

  • 賃金や就労時間など労働条件で折り合いが合わなかった
  • 就労開始日が遠く、もっと早くから働きたかった
  • 他にもっと条件のいい企業の内定をもらった
  • 社風が合わなかった

上記のように、内定取り消しと比べてカジュアルな理由で辞退するケースは多々見られます。そのため、企業側は辞退を避けるために様々な対策を取る必要があります。

企業が内定取り消しをする際に気をつけるポイント

しかし、相応の事由がないからと言って企業としても内定を取り消さざるを得ない状況が生まれることも事実です。しかし、今回のようにSNSが発達した現代において、安易に取り消しをすることで企業のイメージダウンに繋がる恐れがあるため、取り消しをする際にはさまざまなことに気をつけなければいけません。

また、悪質な内定取り消しを防止するために厚生労働省は企業が内定取り消した際にハローワークへの報告を義務付けており、悪質な内定取り消しと判断された場合は企業名が公表される可能性があります。以下は公表される基準の一部です。

  • 2年連続で悪質な内定が行われた
  • 同一年度内に10名以上に対して行われた
  • 内定取り消しの理由が十分に説明されなかった
  • 内定取り消し対象者へのアフターサポートがなかった
  • 経営状況の悪化が余儀なくなった事由が明らかではない

取り消しになり得る可能性をあらかじめ明示しておく

面接時や内定通知時に内定取り消しになる可能性や対象行為をあらかじめ明示しておくことが大切です。説明したからと言って、内定取り消しが適法になるわけではなりませんが、内定者に100%就職できる可能性があるわけではないと注意しておくことで、後々のトラブルを避けられる可能性が高くなります。

取り消しの通知は早めに行う

通知を早めに行うことで、内定者は求職活動を早めに再開することができます。就職活動を打ち切り、引越を済ませ、スーツを新調し…としていた学生がギリギリになってやっぱり取り消しますと言われたら紛争になることは必死です。

書面だけではなく口頭で説明する

今回の炎上騒動でも言えることが書面、それもメールのみの通達だと企業側の都合にも関わらず、内定者に誠意が一切伝わってないように感じてしまいます。そのため、できるだけ誠意をもって、やむを得ない事情があることを資料などを交えて直接説明することが大切だと言えます。

TIPS テンプレートな言い回しは逆効果
「心から感謝致します」「◯◯様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」などは「お祈り文書」と不採用通知を揶揄する言葉としてネットミームになるくらいよく用いられる文言です。丁寧な文書を心がけることは大切ですが、内定取り消しを受けた方からしたら煽りとも捉えかねない逆効果な文言とも言えます。テンプレートな文言や語句は用いずに対象者に合わせた誠意ある文章を心がけることが大切です。

アフターサポートをする

内定取り消しされた内定者は急いで次の就職先を探す必要が出てきます。そういった場合に、グループ会社を案内するなど次の就労のサポートをしてあげることできるようであれば、しっかりとしてあげましょう。

金銭補償などを提示する

内定取り消しを円満にするためには、内定者が被った不利益や精神的苦痛への配慮として金銭を支払うことを明示してあげることも重要です。例えば上記で就労のために引越などをしていた場合は、その引越し費用などを補償するほか、次の就職までのつなぎとして、予定給料の数カ月分を支払うケースもあります。

合意書を作成する

取り消しに対して同意を受けた場合は、後々のトラブルにならないために必ず合意書を作成するようにしましょう。口頭でのやり取りだけでは気分が変わる可能性もあります。また、昨今ではSNSでの炎上も多く対象者に落ち度があったり、いくら誠意ある対応をしても都合のいい部分だけ切り取られ企業のイメージ低下に繋がる恐れがあります。正式に合意した場合は「SNSへの書き込みを禁止」する規定を定めておくことが大切です。

内定取り消しによる裁判と判例

上記のように内定取り消しは「契約破棄」という側面があることから、たびたび採用者と企業間で裁判になることがあります。そこでいくつか内定取り消しにまつわる判例をご紹介致します。

大日本印刷事件

とある大学卒業予定者が企業の求人募集に応募し、内定通知を受けてそれを承諾した。他にも複数の企業面接を受けていたが、当該企業からの案内や近況報告などのやり取りを行っていたため、他の企業の面接など就職活動は辞退した。企業側は面接時から大学生にグルーミーな(やや暗い)印象を抱いていたが、採用までに他の好材料が出てくると判断し、内定を決定してたが出てこなかったため、内定を取り消した。

上記は裁判の結果内定取り消しが無効となりました。内定取り消しは、経歴詐称など面接時にわからなかったことが理由ならいいですが、このように企業が勝手に期待をしたが、そうではなかったという理由で取り消すことはできないという事例です。

電電公社近畿電通局事件

とある学生が企業の求人募集に応募し、試験合格後採用通知を受理し、それを承諾した。その後、企業の求めに応じ書類の提出や、懇談会などに出席し後は就業開始日を待つまでとなっていた。しかし、就業開始前に学生が反戦デモを先導、無届けのデモだったため、学生は逮捕。その事実を知った企業は学生の内定を取り消した。

上記は内定取り消しが適法と判断されました。逮捕、または犯罪を犯す可能性が高い人物ということは面接では知り得ることができない事由であり、内定取り消しに合理的と判断されます。

内定取り消しと労働審判

上記のように訴訟まで発展することは実はそこまで多くはありません。労働審判と呼ばれる解雇や給料未払いなどのトラブルを裁判所が判断する手続きを採用されることが多く、基本的に内定が取り消しに相応の理由がない場合は予定していた給与の数カ月分を支払うことで和解となるケースが多いです。

内定取り消しする前に専門家に相談を

内定取り消しをする場合、その理由が適切であるか、文書や契約書に不備がないかなど様々な法的知識が要求されます。そのため、事前に弁護士に相談しておくことがトラブル回避への近道と言えるでしょう。そこでおすすめなのが弁護士保険です。弁護士保険に加入することで、弁護士費用が補償されるためトラブル時の費用がかからないほか、簡単な相談であれば無料で行うことができたりします。

弁護士保険に入るメリット

1.トラブルに発展する前に予防できる

弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることでトラブルに発展する前の抑止力となります。

2.弁護士への電話相談が無料で出来る

弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。

3.弁護士費用・裁判費用が補償される

それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。

他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

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