キャンセル料は取れる? 予約の無断キャンセル(ノーショー)問題の対策と法律を学ぶ
2023年08月17日 2023年08月17日
コロナ問題も落ち着いた反動で外食を始めとしたあらゆるサービスが賑わっています。それと同時に増えてきてるのが予約の無断キャンセル、いわゆるノーショーと呼ばれる問題。本来のあったはずの売上がなくなるだけではなく、飲食店やケーキ店など事前準備に費用がかかってるサービスはマイナスになってしまうこの問題の法的見解と対応策を解説致します。
目次
予約の無断キャンセル(ノーショー)とは
飲食店やホテル、ネイルサロンなどに予約をしたにも関わらず、客本人が当日店舗に一切の連絡もなく現れないことから「ノーショー(NoShow)」とも呼ばれています。
経済産業省が2018年に発表したレポートによると飲食店のノーショー被害額は年間2000億円にも上ると報告されており、直前のドタキャンも含めるとその被害額は約1.6兆円になるとされており、大きな問題となっています。
無断キャンセル(ノーショー)と直前キャンセル(ドタキャン)
今回の記事を読んでいただくにあたり無断キャンセルと直前キャンセルの違いをご説明しておきます。無断キャンセルは前述のとおり「一切の連絡もなく当日現れない」ことですが、直前キャンセル(ドタキャン)は当日や前日に予約者から店舗に行けない旨の連絡があることを指します。どちらも被害があることに代わりはありませんが、法的見解が少し異なって来ますのでそれらを解説していきます。
無断キャンセルは違法? キャンセル料は取れる?
キャンセル=債務不履行
一般的にキャンセルによって顧客側が店側に対して何らかの損害を与えたのであれば、無断キャンセル・直前キャンセル問わず債務不履行・不法行為に該当する可能性があり、店側はキャンセル客に対して損害賠償を請求することが可能です。
また、意図的で悪質な無断キャンセルとなると、刑事上の偽計業務妨害罪に問われる可能性もあり、そうなった場合3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。逮捕に繋がったケースは本記事の第5項でいくつか紹介させていただきます。
キャンセル時の損害賠償額はどう算定する?
ここで前述の無断キャンセルか直前キャンセルかで損害賠償の算定方法が変わってきます。
直前キャンセルの場合「来客しない」ということを店側は把握できるため、キャンセルの連絡があった直後から人員の調整、新規客の案内、予約サイトへの対応など、次の客を入れるための対応を取ることができるため、損害をできる限り少なくすることができます。そのため、飲食店で席だけの予約だった場合などは基本的にキャンセル料などが発生しない場合も多いですが、コース予約など事前に食材や調理の準備が必要な場合は発生するケースもあります。
対して無断キャンセルの場合、時間が過ぎても来店の可能性を加味して店側は一切の対応が取れませんので、損害は限りなく大きいものになります。そのため、発生した損害を再販することが著しく難しいという考え方を前提に予約時間から閉店までの機会損失までを考慮して算定することとなります。
- 原材料費(転用可能なものは除く)
- 食材廃棄費
- 人件費(仕込みも含む)
- 逸失利益
仮に飲食店の場合、上記のような損害が想定されます。人件費は仕込み時から、実際に接客するために準備した人員分も計算、さらに逸失利益として、仮にその予約がなかった場合本来生まれていたであろう利益を平均客単価などから算出して請求することが可能です。
無断キャンセルが発生した場合の対応
時間が過ぎた場合は連絡をする
まず予定していた時刻を過ぎても来店がない場合、遅刻の可能性も考慮して10分ほど過ぎたら連絡を取りましょう。単純に予約を忘れてたケースや何かしらの事情で遅れている場合があります。連絡が取れるまで定期的に連絡をするようにしましょう。
事前に伝えてない場合は席を確保し続ける
予約の際に「00分を過ぎますとキャンセル扱いになります」といった断りを入れてない場合、万が一来店した場合にトラブルに発展するケースもありますので、席は念のため確保し続ける必要があります。
翌日以降に連絡をする
ノーショーが発生してしまった場合、翌日以降に連絡が取れる場合もあります。もしも連絡が取れた場合はキャンセル料をいただく旨を伝えて、来店してもらったり、振り込んでもらうなど、なんらかの形で支払いをしてもらいましょう。
連絡が取れない場合は弁護士・警察に相談
弁護士に相談することで、その後の適切な対応のアドバイスがもらえたり、正しい電話番号を聞いていれば、電話番号から身元を割り出すことが可能です。ただし、資格のある人間でないと調べることができないためまずは弁護士に相談しましょう。また、被害額があまりにも大きい場合は警察に相談してみましょう。
SNSを活用して助けを求める |
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できるだけ被害を軽減するためにノーショーが発生した後にX(Twitter)やInstagram、Facebookなどで助けを求めるという手もあります。「ノーショーで食材が無駄になるので半額でいいので食べにきてください」「ノーショーで20時までの枠が空いたので今からでも来れる方は半額で施術します」といった投稿をすることで被害を最小限に抑えられる可能性があります。 |
無断キャンセルを防ぐための予防策
無断キャンセルはなぜ発生する?
予約客が無断キャンセルをする原因の1位は「とりあえず予約」です。例えば年末などの予約の取りづらい繁忙期に幹事役の人間が、とりあえず店を押さえてから店を選ぶという方法を取った時に起こることが多いです。他にも、体調不良や予約ことしたこと自体を忘れてる、日付や時間を勘違いしていたなど「うっかり忘れ」も多い傾向にあります。
それではそういった原因を考慮して店側が取れる対応を以下で解説していきます。
事前に予約確認(リマインド)を入れる
多くの店舗は予約の際に電話番号を聞いていると思いますが、それが正しい電話番号とは限りません。また、客が予約を忘れているケースもあるので予約時に事前連絡を入れる旨を伝えておき、数日前から前日までに一度予約確認の電話をすることで正しい電話番号であることの確認と同時に予約忘れの予防にもなります。また、電話に出てもらえない場合などは留守番電話やSMS、店舗公式LINEなどを使った連絡も有効です。
営業時間外でもキャンセルを受け付けられるようにしておく
営業時間外でキャンセルの連絡ができなかった。というケースも考えられるため、店舗公式LINE・SMS・メール・予約サイトの活用の他、転送電話の設定など、営業時間外でも客からのキャンセルを受けられる体制を整えておきましょう。
予約受付の期限を定める
予約日までの期間が長ければ長いほど、予約を忘れてしまうリスクが高くなります。そのため、予約は一ヶ月先までしか受けられないという形で期間を短めにすることで予約を忘れられるリスクを減らすことができます。
キャンセルポリシーの策定と通知
キャンセルした場合どのような対応を店側が取るか、キャンセル料はいくらかかるかなどのキャンセルポリシーをしっかりと定めておき、Webサイトなどに掲載するほか、予約受付時にも伝えるようにすることでキャンセルすることへの意識が低い客への警告をすることができます。
事前決済や預り金システムを導入する
予約時の事前決済や、預り金(内金)を導入することでノーショーが起きた時のリスクを軽減することができます。しかし、宿泊業界などはともかく、飲食店などでは一般的ではないため、客側に不便に思われ集客に影響が出る可能性があります。そのため、大人数かつコースの予約などある程度の額を超えた場合に限りなど条件を決めておくとよいでしょう。
無断キャンセル保険・予約補償サービスの活用 |
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無断キャンセル防止ではありませんがぐるなびや食べログなどの一部予約サイトでは無断キャンセル保険や保証サービスを提供しているサービスもあります。サイトの利用など保証条件はありますが、被害を抑えるために活用してみるのもいいかもしれません。 |
無断キャンセルが裁判・逮捕に繋がった事例
13人分のふぐコースを無断キャンセルして逮捕
京都・祇園の京料理店でふぐコース13人分を無断キャンセルしたとして、京都府警東山署は2日、東京都狛江市、自称インストラクターの男(27)を偽計業務妨害容疑で逮捕した。「キャンセルするのを忘れていただけ」と否認しているという。 発表では、男は2021年11月20日午前9時25分頃、祇園の京料理店に電話し、「他の店は断られた。お宅の店しかない」と頼み、当日夜のふぐのコース料理(1人1万3000円)を13人分虚偽の予約をして、店の業務を妨害した疑い。 店は料理を用意していたが時間になっても来ず、連絡もつかないため署に相談していたという。
引用元:読売新聞オンライン
一休のシステムを不正利用し約190万円分のポイントを不正取得し逮捕
宿泊予約サイトを通じて高級ホテルに虚偽の予約を入れ、コンビニなどで使える「Tポイント」を不正に入手したとして、京都府警サイバー犯罪対策課と南署は22日、私電磁的記録不正作出・同供用と偽計業務妨害の疑いで、女(51)と息子(30)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
親子は昨年2~10月、全国のホテルで虚偽の宿泊予約を2215回繰り返しており、約190万円分のTポイントを不正に得ていたとみられるという。捜査関係者によると、親子は昨年8月、インターネットのホテル予約サイト「一休ドットコム」を通じて、京都市内の四つのホテルに偽名で宿泊予約を入れた後、無断でキャンセルし、ホテルの業務を妨害するなどした疑いが持たれている。
引用元:京都新聞
系列居酒屋5店舗で計75人分を無断キャンセルし逮捕
東京・有楽町の居酒屋に団体予約を入れて無断キャンセルしたとして、警視庁丸の内署は11日、東京都葛飾区新宿2、職業不詳、小林恒夫容疑者(59)を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。
引用元:日本経済新聞
無断キャンセル被害に遭ったら弁護士に相談
泣き寝入り被害を増やさないために
ホテルなどのように、しっかりした予約システムで予約者の身元がはっきりしている場合はともかく、飲食業界や理美容業界の無断キャンセルのほとんどは被害額が少額なケースが多く、店側が泣き寝入りしているケースがほとんどです。しかし、それでは客側は無断キャンセルしてもお咎めなしという経験からあらゆる店舗が被害を繰り返し受けることになります。そうならないためにもしっかりとした対応をすることが大切です。
弁護士保険に入れば弁護士費用が補償される
しかし、数十万円ならまだしも数万円のために毎回弁護士に相談していては、弁護士費用で費用倒れになる可能性も高いですし時間や労力もかかります。そこで当サイトがオススメしているのが弁護士保険です。弁護士保険は月額数千円で弁護士への相談費用や、訴訟に発展した場合の弁護士費用などが補償されるため、無断キャンセルに遭った際も気兼ねなく弁護士に相談できるようになります。
弁護士保険に入るメリット
1.トラブルに発展する前に予防できる
弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることで無断キャンセルの抑止力となります。
2.弁護士への電話相談が無料で出来る
弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。
3.弁護士費用・裁判費用が補償される
それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。
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