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【弁護士監修】レジ金の計算が合わない! その原因と対策。窃盗が判明した際の対処法とは。

2023年07月04日 2023年07月05日

コラム 雇用・労働・従業員
#窃盗罪 #損害賠償 #業務上横領罪
【弁護士監修】レジ金の計算が合わない! その原因と対策。窃盗が判明した際の対処法とは。

今回の記事では、特に飲食業の経営者のみなさまが直面する問題の一つであるレジ締めでお金が合わないレジ金問題について対策盗難が疑われる場合の証拠の押さえ方その後の対応に焦点を当てて解説します。

この記事の監修弁護士

新橋虎ノ門法律事務所

武山茂樹 弁護士

レジ金が合わない原因と対策

レジ金が合わない原因には、いくつかの要因が考えられます。

人為的ミス

従業員が誤って金額を入力したり、お釣りを間違えたりすることでレジ金が合わなくなる現象です。例えば、操作ミスにより、複数の商品を一度に登録する際に、一部の商品を重複して登録してしまったり、精算ミスにより、日次の売上金額の合計が間違っていたり、支払い方法(現金、クレジットカードなど)の記録が誤っている場合や、商品の値段を間違って登録した場合などが該当します。

人為的ミスの場合の対策

■ 従業員への教育・研修

従業員への教育・研修は、レジ金が合わない問題を防ぐための基本的な対策です。新入社員に対しては、レジ操作の基本から丁寧に指導し、ミスを減らすことが重要です。また、定期的な研修を実施し、従業員同士の情報共有や問題意識の共有を図ることができ、さらには、技術向上や意識改革を促すことができます。

TIPS 研修のポイント
レジ操作に関するルールを明確に設定する。現金の取り扱い方法、レジの開け閉めの手順、レジ金の管理方法などに関して従業員全員が同じ基準で業務を行えるようにすることで、ミスを未然に防ぎ、安定した業務運営が可能になります。
■ 現金の取り扱いの最小化

現金の取り扱いを減らすことで、レジ金が合わなくなるリスクを低減できます。キャッシュレス決済の導入などを検討しましょう。現金取り扱いを最小限に抑えることで、従業員の負担も軽減され、ミスや盗難のリスクも減少します。

レジの故障

機器の不具合やソフトウェアのバグによって、正確な売上データが取得できず、レジ金が合わなくなる現象です。例えば、バーコードリーダーが正しく商品を読み込めなかったり、レジ機のソフトウェアが正確な売上金額を計算できなかったりすることが該当します。

レジの故障の場合の対策

■ レジの適切な管理

レジの故障や不具合が原因で金額が合わないことがあります。定期的なメンテナンスや点検を行い、問題があれば速やかに対処することが重要です。また、レジの開閉時には、必ず現金の点検を行い、正確な金額が記録されているか確認しましょう。

盗難などの故意によるもの

従業員や第三者による窃盗行為が原因でレジ金が合わなくなる現象です。例えば、従業員が現金を着服したり、第三者が商品を盗んだりすることが該当します。盗難を防ぐためには、監視カメラの設置や従業員の背景調査、従業員教育などが有効です。

TIPS 原因として多いのは?
人為的なミス。操作ミスなどの初歩的な要因がほとんどを占めます。盗難や機器の故障などは比較的まれな原因となります。

これらの理由によって、レジ金が合わない問題が発生することがあります。それぞれの問題に対して適切な対策を講じることで、問題を防止し、店舗運営をスムーズに行うことができます。

レジ金が合わない原因の人為的よるものでは従業員の研修や教育を行うことで改善の見通しが立ちます。しかし、経営者にとっては、窃盗が疑われるケースが頭の痛い問題となります。適切な対策を講じることが不可欠です。

盗難が疑わしい場合に問える罪とは

窃盗罪

他人の財物を盗むことは窃盗罪にあたります。刑法第235条では、「他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とする」と規定されています。店舗のレジは店舗の所有物であり、レジを操作している従業員の所有物ではありません。従って、レジのお金を盗むことは他人の財物を盗む行為に当たります。この「他人」とは、個人だけでなく法人や団体も含まれるため、レジのお金を盗んだ場合は刑事罰が科される可能性があります。

もし窃盗罪に問われた場合、有罪となれば10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

業務上横領罪

業務上自己の占有する他人の物を横領する行為は業務上横領罪に問われます。刑法第253条によれば、「業務上自己の占有する他人の物を横領した者」が業務上横領の罪に問われることになります。ここでいう占有とは、お金や物を事実上支配することをいいます。自己の占有する他人の物とは、例えば経理部長が会社のお金を預かった場合です。これを経理部長が自分のために使うと(=横領)横領罪が成立します。

一方で、他人の占有する他人の物を奪った場合が窃盗罪となります。例えば、買い物客の支払いを受けるだけのアルバイト従業員であれば、現金の管理は業務外とされ、レジの中のお金は従業員が管理しているのではないので、従業員の占有がなく、あくまでお店の占有となります。このようなアルバイト従業員がレジのお金をとった場合は、他人の占有する他人の物をとったことになり窃盗罪が成立します。また、店長や責任者に任命されており、売上金の管理を任されている場合に、レジのお金を盗んだ場合は、業務上横領罪が成立する可能性があります。

レジ金の盗難による事例

事例1:従業員による窃盗で罰金刑が科されたケース

従業員が店舗のレジ金を盗んだとして、業務上横領罪で警察に逮捕されたケース。捜査の結果、従業員は窃盗を繰り返していたことが判明し、起訴される。裁判では従業員が犯行を認め、被害者である経営者と示談が成立。そのため、罰金刑が科された。

事例2:従業員によるレジ金の直接の窃盗のケース

従業員がレジ金を盗んだ事実が発覚したものの、被害額が比較的小額で、従業員が初犯であることから、経営者が示談に応じたケース。従業員は解雇され、被害額を返還することで、刑事告訴を免れた。

事例3:外部による盗難のケース

外部の犯人が店舗に侵入し、レジ金を盗んだケース。警察の捜査により、犯人が窃盗罪で逮捕された。裁判では犯人が犯行を認め、懲役刑が科された。また、被害者である経営者は、犯人から損害賠償を請求するため、民事訴訟を起こした。

以上のレジ金盗難事例を見ると、従業員や外部犯人によって様々な状況が生じることがわかります。それぞれのケースで対応や結果が異なり、示談や刑事告訴、損害賠償請求などが行われています。経営者としては、レジ金盗難の防止策を講じることが重要であり、万が一盗難が発覚した場合は、適切な法的対応を行うことが求められます。

盗難が疑われる場合の証拠の押さえ方

盗難が疑われる場合、適切な証拠を押さえることが非常に重要です。証拠が不十分だと、犯人を特定しにくくなり、問題の解決が難しくなります。ここでは、盗難が疑われる場合の証拠の押さえ方について、具体的な方法を解説します。

監視カメラの映像確認

監視カメラの映像は、盗難事件の証拠として非常に重要です。犯行が行われた時間帯の映像を確認し、犯人の特定状況の把握を行いましょう。また、映像を保存しておくことで、後で警察や弁護士と共有する際に役立ちます。

従業員のスケジュール・シフトの確認

盗難が疑われる期間に勤務していた従業員のスケジュールやシフトを確認して、現場にいた従業員で疑わしい人物がいないか調べましょう。これにより、犯人が従業員である可能性がある場合は、特定に繋がる情報を得ることができます。

レジの記録・データの確認

レジの記録やデータを確認することで、不正な取引や操作が行われた痕跡を探すことができます。レジの操作履歴や、金額の不一致が発生した時刻を特定し、犯行の状況を明らかにできます。

目撃証言の収集

他の従業員や第三者から目撃証言を収集し、状況を整理した後、その証言を詳細に記録しましょう。目撃者の証言は、事件の状況や犯人の特定に大きく役立ちます。また、証言を文書化し、署名・捺印をもらうことで、証拠の信憑性を高めることができます。

これらの証拠をしっかりと押さえることで、犯人の特定や事件の解決に繋がります。盗難が疑われる場合は、速やかに対応し、適切な証拠を集めることが重要です。また、必要に応じて警察弁護士への相談も検討してください。

盗難が発覚した場合の対応

盗難が発覚した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。経営者は、法的手続きや内部対応、予防策の検討など、様々な面での対応が必要となります。ここでは、盗難が発覚した場合の対応について具体的な方法を解説します。

法的手続き

まずは警察に届け出ることが重要です。これにより、警察は捜査を開始し、犯人の特定や逮捕に向けて動きます。また、損害賠償請求や刑事告訴などの法的手続きを検討することも必要です。これらの手続きは、弁護士と相談して進めることが望ましいです。

従業員だった場合における適切な処分

従業員によるレジ金の盗難が発覚した場合、適切な処分は事実関係(特に被害金額)や経緯、従業員の過去の行状や勤務態度などを総合的に考慮して決定する必要があります。従業員に対する懲戒処分は、戒告、減給、出勤停止、解雇など様々なものがあります。この中でも、盗難はやはり重大案件なので、解雇を選択される経営者が多いと思われます。

しかし、解雇は、会社内のいわば「死刑判決」に相当する重いものです。そこで、解雇が適切な処分であるかどうかは、被害金額、経緯や背景・従業員の過去の行状や勤務態度・、就業規則の記載などの要素を考慮することが重要です。総合的に考慮した結果、解雇が適切であると判断された場合は、正当な理由と手続きを経て解雇することが可能です。また、解雇に関しては労働法や就業規則に厳格に従う必要がありますので、専門家や弁護士に相談することをおすすめします。

内部対応のポイント

従業員に事情を説明し、今後の対応について周知することが重要です。また、犯人が従業員である場合は、慎重に対処し、適切な処分を行いましょう。他の従業員への影響を最小限に抑えるため、適切な情報管理コミュニケーションが求められます。

今後の予防策の検討

盗難が起きた原因を分析し、今後の予防策を検討しましょう。従業員への教育研修の強化、レジの管理方法の見直し、監視カメラの設置など、様々な対策を検討し、再発防止に努めてください。

TIPS 損害賠償を給料からの天引きなどで強要することはできるの?
労働基準法では、従業員の過失による損失や損害に対して、給与の中から無断で天引きする行為は違法です。従業員がレジ金の不足に対して自腹を強要されることは、労働基準法に違反する可能性があります。ここで解説したとおり、従業員が故意や重大な過失によって損失や損害を引き起こした場合、損害賠償請求が認められることがあります。その場合でも、適切な手続きが必要であり、給与からの無断天引きは許されません。一方で、従業員が故意の犯罪行為により会社に損害を与えた場合、従業員の真摯な同意があり、なおかつ額が少額であれば天引きが許されることがあります。

これらの対応を適切に行うことで、事件の解決や再発防止に繋がります。経営者は、盗難事件に対処する際には、速やかに行動し、必要に応じて専門家の意見を取り入れながら、適切な対応を心掛けましょう。その結果、従業員や顧客の信頼を維持し、安全で安心な職場環境を確保することが可能となります。

 

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他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

最後に

経営者のみなさまにとって、レジ金が合わない問題は深刻な悩みの一つです。本記事では、その防止策と盗難が疑われる場合の証拠の押さえ方、盗難が発覚した場合の対応について解説しました。適切な予防策を講じることで、このような問題を未然に防ぐことができます。また、もし盗難が発生した場合でも、適切な対応を行うことで、被害を最小限に抑えることが可能です。そして、迅速な対応として弁護士などの専門家に相談することも一つの手段です。

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