不動産オーナー・大家が抱く不動産屋・管理会社への不満とは。対応が悪い時の対処法を解説。
2024年01月30日 2024年01月30日
賃貸物件の大家さんは、不動産屋や管理会社に賃貸物件の管理と運営を委託していることが多いと思います。しかし、管理会社がしっかりと管理と運営を行ってくれない上に、入居者とのトラブルが生じてしまうと、入居者が出て行ってしまうこともありますし、ひどいケースでは、オーナーが入居者から訴えられてしまうこともあります。
そのような事態を避けるために、管理会社の対応が悪い場合の対処方法を解説していきます。
目次
不満① 空室問題
賃貸経営は、入居者からの賃料収入がなければ成り立ちません。家賃保証のあるサブリース契約でない限り、管理会社には、しっかりと入居者を探してもらい、空室率を下げてもらうことが大切です。空室問題は大家さんにとって最大の悩みなので、管理会社としても、最も力を入れて対策しているはずです。ところが、長らく空室になっているのに、管理会社が積極的に入居者を募集せず、何らの対策も講じない。おまけに空室なのに管理費用を請求してくる。というのでは、オーナーとしては不満を抱くのは当然です。
入居者募集の宣伝状況がどうなっているのか確認する
賃貸物件の入居者募集は、インターネットで行われることが多いです。大家さんも、インターネットで調べれば自分の賃貸物件がどのように紹介されているのか確認することができます。大家さんとしては自分の物件は色眼鏡で見てしまいがちですが、客観的な視線をもって他の賃貸物件情報と比較しましょう。自分の賃貸物件の情報を見て、借りたいと思わせる要素を出せているかどうか確認しましょう。写真写りが悪いとか、物件の良いところが記述されていない場合は、管理会社に連絡して直ちに直してもらうようにしましょう。
空室問題を解消するための提案をしてもらう
インターネットでの宣伝に問題がないのに空室が解消されないのであれば、別に問題点があるはずです。何を解決すれば、空室問題が解消するのか、管理会社に具体的な提案をお願いしましょう。ノウハウや実績のある管理会社ならば、的確な提案をしてくれるはずですが、具体性がなく単純に「家賃を下げればいいんですよ」「リノベーションすればいいんですよ」と言ったような曖昧な提案にとどまるようであれば、その管理会社には、空室問題を解消するノウハウがないと可能性が高いです。
不満② 管理不行き届き
管理会社と賃貸物件の管理委託契約を締結している場合は、普段の賃貸物件の管理は管理会社に任せることが多いでしょう。ところが、管理会社がまともな管理を行わないと、入居者から不満が出て、オーナーに直接クレームが入るばかりか管理不行き届きを理由に入居者が出て行ってしまうこともあります。さらには、賃貸物件の不満をSNS等に投稿されてしまうと、その後の入居者募集にも悪影響が出かねません。
管理委託契約の内容を確認する
管理会社が賃貸物件に関してどこまで管理業務を行うのかは、管理委託契約書に書かれています。まずは、管理委託契約書にどのようなことが書かれているのか確認しましょう。一般的には、管理会社は次の管理業務を行う契約になっています。
集金代行業務
入居者からの家賃や共益費、公共料金等の集金を代行します。オーナーの立場で特に注意したいのは、集金したお金をいつまでに大家さんの口座に振り込むのか。また、家賃滞納があった場合にどこまで対応してくれるのかという点です。
入居管理業務
管理会社が、入居者とオーナーの間に立って、連絡や報告をおこなうことがおもな業務です。騒音などの隣人トラブルや水漏れなど入居者からクレームがあった場合に管理会社が対応するのかどうかを確認すべきでしょう。
清掃業務
賃貸物件の個々の部屋の中は、入居者が掃除することになりますが、廊下や階段などの共用部分、庭周りの草むしりや植栽の管理は管理会社かオーナーがやらなければなりません。管理会社がどこまでやってくれるのか、認識を一致させておくことが大切です。例えば、共用部分の掃除はやるけれども、庭は管理しないというのであれば、庭の管理はオーナーが自分でやるか、他に委託しなければなりません。
設備管理業務
共用部の蛍光灯が切れた際の交換や、ガス・水道など建物や設備の点検やメンテナンスの業務です。
以上の点については、契約書には大まかなことが書かれているだけで、具体的にどこまでやるのかが明記されていないことも多いです。そのため、契約時には、別途、覚書を交わして、どこまでやってくれるのか明確にしておくことが大切です。
管理会社が管理業務を行わない場合
賃貸についてあまり詳しくない入居者の場合、管理会社=オーナーと思い込んでる場合も少なくなく「ここの大家は対応をしっかりしてくれない」と思われてしまう可能性もあります。管理会社が管理業務をしっかり行わない場合、最悪入居者の退去に繋がります。
そうでない場合は管理会社が管理業務を行わないとオーナーに直接クレームが来ます。入居者はオーナーと管理会社ではなくオーナーと直接契約を結んでいるわけですから、本来はオーナーが対応する義務が生じるわけです。内容によっては、退去だけでなく入居者からオーナーに対して債務不履行に基づく損害賠償請求がなされてしまう恐れもあります。
不満③ 家賃滞納への対応をしてくれない
管理会社と管理委託契約を結んでいる場合は、管理会社が家賃や共益費、公共料金等の集金を行います。家賃滞納があった場合も、最初の段階では管理会社が入居者に対して支払いを促すのが一般的です。入居者が振り込みをするのを忘れていたというような単純なミスであることも多いので、大きな問題になることはめったにありません。また、家賃保証会社を使っていれば、家賃滞納への対応をオーナー自身が行わなければならない事態にはなりにくいでしょう。しかし、家賃滞納がいつまでも続くと、管理会社が対応してくれなくことがあります。
オーナーからすれば、滞納家賃の回収から、滞納者の退去まですべて管理会社にやってほしいと思うかもしれません。実は、管理会社がこうした対応までしてしまうことは弁護士法違反になってしまうため、できないことになっています。
強制退去が必要な場合はオーナーが対応しなければならない
家賃滞納が続く場合は、賃貸借契約を解除したうえで強制退去の流れになります。賃貸借契約は入居者とオーナーの間で締結しています。これを代理人として契約解除することは、法律事務に当たるため、契約当事者以外の人が行う場合は弁護士資格が必要になります。そのため賃貸借契約の解除が必要な場面では、大家さんが対応せざるを得ないわけです。
参考判例
管理会社が、ビルの所有者から委託を受けて賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為が弁護士法72条違反に当たるとされた事件(最決平成22年7月20日)
出典:裁判所
強制退去が必要な場合は弁護士へ依頼
大家さんが家賃を滞納している入居者と直接会って、契約解除を通告するのは精神的にもきついでしょう。また、知らず知らずのうちに、強い口調になってしまい、そうした行為が後で問題視されることも考えられます。こうした事態を避けるためには、契約解除を通告しなければならない場面になったら、弁護士に一任することが最善と言えます。
不満④ 入居者トラブルに対応してくれない
賃貸物件は、様々な人が入居しているため、入居者同士のトラブルも生じやすいです。中でも特に多いのが騒音トラブル。人が生活する以上、さまざまな音が生じます。賃貸物件の壁が薄かったり、防音性が低かったりすると、人が歩く音さえ気になってしまうこともあります。しかし、音が聞こえれば直ちに、騒音トラブルとして対処しなければならないわけではありません。社会生活上受忍すべき限度を超える騒音を発生させている場合は、騒音トラブルとなります。
どの程度が社会生活上受忍すべき限度を超える騒音なのかは、一律の基準はありませんが、環境省が発表している騒音に係る環境基準が一つの基準となります。
騒音トラブルには誰が対処すべきなのか
契約内容にもよりますが、基本的には管理会社が対応することになります。通常、電話での口頭注意、エントランスへの張り紙による注意喚起などを行いますが、それでも収まらない場合は、他の住人のストレスになり、無害な住民の退去に繋がってしまいます。それを防ぐためには原因となる住人の強制退去が必要になるため、オーナー本人が対処する必要が出てきます。しかし、強制退去というのはそう単純ではないため必ず弁護士に相談するようにしましょう。
改善が見られない場合は管理会社と解約
上記のように、仕事をしない管理会社に不満を抱えているオーナー・大家さんは多いかと思います。再三注意しても改善が見られない場合は、管理会社との管理委託契約を解除するようにしましょう。
債務不履行を理由に契約解除する
管理会社が管理業務を怠っている場合は、大家さんとしては債務不履行を理由に契約解除することができます。この場合は、契約解除に先立って、内容証明郵便などで管理会社に管理業務を行うよう催告し、それでも履行しないなら契約解除すると通知しておく必要があります。例えば、国土交通省の賃貸住宅標準管理受託契約書にも次のように記されています。
契約の解除
第20条 甲(大家さん)又は乙(管理会社)がこの契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合には、その相手方は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、この契約を解除することができる。
債務不履行を理由に契約解除する場合は、管理会社がすんなり契約解除に応じてくれるとは限りません。弁護士に相談し交渉をお願いしたほうが余計なトラブルにならずに済む可能性が高いです。
TIPS 契約を解除するタイミングは? |
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管理委託契約の多くは2年または3年契約の自動更新という場合が多いです。そのため、契約更新のタイミングで「更新しない」旨を伝えることができればスムーズですが、債務不履行で解約するのにそんな悠長なことはしてられないと思います。通常、契約期間途中の解約は数ヶ月前申告、期間中の報酬を支払うなど契約書で定められているケースが多いですが、債務不履行となると話は別で即解約も可能です。ただし、管理会社側が認めようとしない場合も多いため、弁護士から申し出てもらうのがスムーズです。 |
もしもに備えて弁護士を付けられる保険があります
このように不動産オーナー業は不動産・入居者・管理会社とあらゆる方面でトラブルに巻き込まれがちな事業です。そうなった時にあらかじめ相談できる弁護士をつけておくことが大切ですが、弁護士に相談したことのない方からすると、弁護士探しや費用、相談の仕方など不安なことも多いと思います。そこで当サイトがオススメしているのが弁護士保険です。弁護士保険は月額数千円で弁護士への相談費用や、訴訟に発展した場合の弁護士費用などが補償されるため、気兼ねなく弁護士に相談できるようになります。
弁護士保険に入れば各種弁護士費用が補償される
1.トラブルに発展する前に予防できる
弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることで無断キャンセルの抑止力となります。
2.弁護士への電話相談が無料で出来る
弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。
3.弁護士費用・裁判費用が補償される
それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。
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