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【弁護士監修】風俗店で本番強要などの違反行為で罰金請求。 法的には問題ないのかを解説。

2024年12月05日 2024年12月06日

コラム 契約 顧客トラブル
#弁護士監修 #風俗業 #違約金
【弁護士監修】風俗店で本番強要などの違反行為で罰金請求。 法的には問題ないのかを解説。

性風俗店経営では性交強要(本番強要)、盗撮、ストーキングなどトラブルが絶えません。お店独自でそういった違反行為などに対しペナルティを設けている経営者の方もいらっしゃると思いますが、果たして法的に問題はないのでしょうか? この記事では性風俗店における違反行為とペナルティについて解説していきます。

この記事の監修弁護士

新橋虎ノ門法律事務所

武山茂樹 弁護士

性風俗店における違反行為とは

性風俗店にはいくつかの種類があり、サービス内容が異なります。そのため、違反行為も異なりますので注意しましょう。

性風俗店の種類

ソープランド

お風呂が併設されている施設で、コンパニオンの女性が異性の客に接触する役務を提供する性風俗。この形態に限っては「性的サービスに対する対価」ではなく、入浴料としてお金を徴収しているケースがあり、性的サービスの内容については曖昧になっています。なお、性行為を提供しているソープランドがあるという話もありますが、売春防止法上違法となっております。売春をしたコンパニオン及び顧客には罰則はありませんが、場所を提供した店側は犯罪に問われることがあります。

ヘルス(ファッションヘルス・デリバリーヘルス・ホテルヘルス)

「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」をいいます。お店によってルールが定められている場合が多く、その店舗のルールの範囲内であれば基本的に本番行為以外の性行為全般が許容される性風俗店です。

ピンクサロン

接待飲食店営業(いわゆる「キャバクラ等」)または深夜酒類提供飲食店営業として開業しながら、性的サービスがあるタイプの業態です。1号営業(キャバクラ等)の許可を取っている飲食店の場合、お店のルールとして許容しているならば、多少の身体的接触は許されるのですが、性器に触る等の行為があれば、それは許可なく性風俗営業(ヘルス営業等)を行っているとして違法になります、現実的には、オープン席で口淫(フェラチオ)が主なサービスとなる風俗店と言われておりますので、性風俗営業の届出をしていない以上は違法でしょう。なお、ピンクサロンと称しながら、性風俗営業の届出をしている場合は、性器への接触や口淫も適法ですし、個室やシャワーの設置もできることになります。

ハンド店

主にオナクラや個室ビデオ店でそのようなサービスがあるものなどが該当し、手淫による性行為が主なサービスとなります。許可としてはヘルス店同様の届け出が必要です。従業員の脱衣が伴わなかったり、客から従業員に対する接触を禁止していたりする店舗も多いです。

エステ店

オイルマッサージの店ですが、中には性的サービスがあるお店もあります。まずマッサージ店においては、医療行為としてのマッサージ(医師免許やマッサージ師の免許が必要)と、リラクゼーションとしてのマッサージの区別が問題になりますが、本記事では割愛します。

次に、いわゆるメンズエステの場合は、純粋なマッサージ店と言えるのか、性風俗営業をしているのかの区別が重要になります。性風俗営業の許可を取っていないメンズエステでも鼠径部への接触などがあるお店もあり、程度によっては性風俗営業と評価されることもあるので注意が必要です。性風俗営業の届出をしているはヘルス同様の性的接触が許可されていることになります。

性風俗店での主な違反行為

本番強要

すべての形態で共通していることは日本国内では法律で性風俗店における性交、いわゆる本番行為は禁止されています。そのため、無理やり女性に本番行為を強要した場合は、店側のルールに抵触するだけでなく強制性交等罪といった罪に問われる可能性があります。

盗撮行為

デリバリーヘルスなどは客の自宅に行く場合もあり、その場所に隠しカメラを仕掛けられている可能性もあります。また、昨今ではスマホなどで簡単に撮影できるため、ホテルなどでも死角になる部分に隠し、盗撮されるケースも出てきていますが、これらは違反行為なうえに迷惑行為防止条例違反などに問われる可能性もあります。

傷害・暴行行為

従業員に暴力をふるった、暴力で従業員に傷を負わせたりした場合は暴行罪や傷害罪に該当します。また、違反行為です。

サービス外行為の強要

例えばサービスの内容的に女性の着衣が原則であるお店で脱衣を強要したり、お店で定められているサービス以外の行為を強要したりした場合は違反行為となります。また、脅迫を伴う場合は、強要罪等が成立することもあります。

違反行為が見つかった時の対応は?

罰金を支払う必要はある?

違反行為が見つかった場合どのような対応を取るべきでしょうか? これらの違反でよく耳にするのは身分証明証の提示と罰金の支払いです。この罰金というの複数の意味が含まれている言葉で、損害賠償金(慰謝料含む)または違約金(民事上の罰金)を便宜上「罰金」という言葉にしています。この罰金ですが、支払う必要があるのでしょうか。

まず、入店時に明確に違反行為と罰金額を告げられ、それに同意して入店した場合、罰金は法的には違約金ということになります。顧客と店舗は、違約金についても契約しているといえ、罰金の支払義務が生じます。ただし、罰金が高額すぎる場合等は、公序良俗に反するとして、支払義務が発生しないこともあります(裁判所の判断によります)。

一方で、罰金についての同意が成立していない場合は、その罰金の法的性質は損害賠償ということになります。そして、違反が発見された段階では争う余地があります。というのも、損害賠償額というのは裁判を行ったうえで判決が出て初めて確定するものだからです。

また、違反を犯した客には、上記でも述べた通り強制性交等罪や盗撮罪など犯罪が成立する可能性があります。そのため、もっとも適切な選択は警察への通報です。そのうえで、もしもそれらの行為がきっかけで女性スタッフが休暇を取ってしまったり、店をやめてしまったりなどで損害で出た場合、民事訴訟をしたうえで損害賠償請求をしましょう。

示談という選択も視野に

しかし、警察沙汰となると取り調べなどで時間が取られたりしますし、裁判まで行くとそれなりの労力も費用もかかってしまいます。そのため、示談(和解)という形をとり、示談書を作成し示談金を支払ってもらうことで刑事事件への発展を回避し、女性スタッフには慰謝料としてお金を支払う形で解決することができます。

風俗店で違反行為があった際の示談のポイント

  • 適切な請求金額を設定する(高額だと暴利行為で公序良俗違反となり無効となる可能性)
  • 家族や顧客の会社に対し不必要な連絡をしない(強迫行為や名誉毀損に該当する可能性)
  • 執拗に金銭請求をしない(恐喝行為に該当する可能性)
  • 密室に長時間拘束しない(監禁に該当する可能性)

示談というのは基本的に当事者間での解決を図る性質のため、従業員と客との話し合いとなります。しかし、従業員には難しい知識がない、対面するのが恐怖という可能性もありますので、代理人として店が話し合ってもいいですが、できることなら弁護士を代理人に立てた方が、示談書の作成や話し合いの内容などで後々にトラブルになりづらいためおすすめです。

示談書に入れ込む内容

では、示談書にはどのような内容を入れ込むべきでしょうか? 基本的には以下を入れるとスムーズに示談が進みます。

清算条項

「この示談をもって、今回の件はなかったことにする。」と言った内容です。これがないと繰り返し請求されるかもしれないという不安から示談が成立しない可能性が出てきます。

宥恕条項

宥恕とは「許す」という意味です。示談書には「甲は乙を宥恕し、乙の刑事処罰を求めない」というような内容を記載し、この示談を成立させれば警察に通報するようなことはしない。という内容を盛り込みます。

個人情報の破棄

違反行為があった段階で逃げられないように、まずは氏名や連絡先、住所などを確認しておく必要がありますが、示談が成立したらそれらの情報は破棄するといった内容です。他には「今後一切店舗の利用を禁じる」など、こちら側から「もうあなたとは関わりません」という意思を示したほうがスムーズに示談が進むケースが多いです。

しかし、これらをしっかりと法的効力を持たせる内容で作成するのは難しいため、できることなら示談書の作成、示談の話し合いは弁護士に任せることをおすすめします。

高額かつ強制的な金銭請求は違法行為の可能性が

高額な罰金の設定は、無効になる可能性は前述しましたが、さらにそれを強制すると脅迫行為になることがあります。民事上は、強迫として契約の取り消し事由になりますし、刑事上は脅迫罪や強要罪が成立する可能性があります。

「本番行為を行った場合や盗撮をした場合、金百萬円頂戴します。」という張り紙が掲示されていたという話をよく耳にしますが、これらの掲示だけでは法的な効力を持たない可能性があるうえに、過剰な額として支払い義務はないと判断される可能性があります。

例えば、上記の張り紙があった場合で、客が盗撮をしたとしましょう。客を店員が取り囲んで、その場で20万円を徴収し、後日80万円を払わせる念書をかかせ、裁判で残額の80万円を請求したとしましょう。この場合、まず、張り紙があっただけではだめで、その内容を客に説明し、客が明確に合意したかが問題になります。次に、合意がなかったとしても、念書を書いた段階で、後日80万円支払う合意ができたか問題となりますが、これも強迫とされ、念書の合意を取消せると判断される可能性が高いです。また、例えば「支払うまで事務所から外に出さない」「家族や会社を盾に脅す」といった行為をした場合、監禁罪や脅迫罪に該当し、逆に店側が罪に問われる可能性も出てきます。

事前説明と合意を得る

そのため、理想は事前に同意書に署名してもらうのが確実ですが、性風俗店という業態上、客に実名や本当の身分を聞き出すのも難しいと思われるので、まず違法行為をした場合のペナルティをしっかりと口頭で説明するようにしましょう。また、違反行為があった際は監禁にならないような場所で、まずは連絡先や念書を取り、早々に帰宅させ、後日弁護士を交えて示談を締結するのが確実です。

トラブルの多い性風俗業に安心を

上記のように、性風俗業はその性質から他の業種に比べてトラブルが発生しがちです。今回のように違反行為から示談をするにしても、専門的な知識が問われますので、弁護士をつけておくことが理想ですが「性風俗店を顧問してくれる弁護士っているの?」「弁護士費用が高そう」などといった不安もあると思います。そこでおすすめなのが弁護士保険です。月額数千円で加入することができ、性風俗店でのトラブルに強い弁護士を紹介してもらえるうえに、弁護士を利用した際の相談料や弁護士費用を保険でまかなうことができます。

弁護士保険に入れば各種弁護士費用が補償される

1.トラブルに発展する前に予防できる

弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることでトラブルの抑止力になります。

2.弁護士への電話相談が無料で出来る

弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。

3.弁護士費用・裁判費用が補償される

それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。

他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

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