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【コロナ禍での賃貸借契約②】賃料猶予、撤退時の原状回復義務、滞納時の解約などの考え方 *弁護士解説動画あり

2021年02月11日 2022年12月07日

不動産トラブル
【コロナ禍での賃貸借契約②】賃料猶予、撤退時の原状回復義務、滞納時の解約などの考え方 *弁護士解説動画あり

 

この記事の内容は、動画でもご確認いただけます。

コロナ禍における飲食店の原状と対策。倒産を回避し経営を続けていく為の不動産知識を解説します。

今日のテーマは、コロナ禍での賃貸借契約

乗松
乗松
今回も原弁護士にお越しいただいています。
よろしくお願いいたします。
 
乗松
乗松
今回は前回に引き続きコロナ禍でのテナント賃貸借ということで、減額以外の防衛策であったりですとか、その問題点についてお話しいただければと思います。(前回の記事:【コロナ禍での賃貸借契約①】飲食店の現状と対策とは?給付金の活用・賃料の減額請求 *弁護士解説動画あり

 

コロナ禍での賃貸借契約

前回は、短期的な経済危機の中で賃料そのものを減額するということは法律上ハードルが非常に高いという話をしました。
原弁護士
原弁護士
 
減額について立場を変えて賃貸人(大家さん)の立場から話をすると、一旦下げた家賃はなかなか値上げしづらいということがあります。
原弁護士
原弁護士
 
乗松
乗松
そうですね。
 
減額というのは大家さんの最終手段となりますので、そういった点からも減額のハードルが高いと言えます。
原弁護士
原弁護士
 
これに対して、一時的な売上減少により家賃支払いが大変な場合の交渉手段として猶予が考えられます。
原弁護士
原弁護士
 
大家さんとしても「減額はちょっと難しいけど支払いの猶予であれば考えましょう」といった具合で、減額に比べるとハードルはかなり低くなると思います。
原弁護士
原弁護士
 

経営に役立つ政策上の支援

支払猶予については、契約に定めがあることはなかなかありません。
ですが、2020年3月31日付けで国土交通省が、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては支払猶予に応じるなどの措置をとるようにと不動産関連団体に要請を出しています。
原弁護士
原弁護士
協力をした賃貸人は、賃料減額を損金に計上できるようになります。
税制上の優遇措置をとったり、賃料の減額・免除・猶予による収入減に応じ固定資産税の全額または半額を免除するといった内容です。国の政策的にも杓子定規に経営が苦しくなったテナントに対して家賃を厳しく取り立てるのではなくて、お互いにコロナの困難を乗り越えましょうという形で政策的な支援をしています。
原弁護士
原弁護士
こういうことも念頭に置きながら、支払いの猶予を大家さんに交渉していくことが有効な手段かと思います。
原弁護士
原弁護士
大家さん側としても一旦今月の家賃は貰えないかもしれないけども、経済が復活して売上が伸びてきた段階で、遅れていた家賃も支払ってもらうことで、お互いに助け合って結果的にwin-winの関係で乗り切れれば一番良いわけです。
原弁護士
原弁護士
下手に家賃未払いで経営破綻されるよりは、苦しい時には少し猶予して相談に応じてあげるというのも防衛策かと思います。
原弁護士
原弁護士
乗松
乗松
なるほどですね。
乗松
乗松
ちなみにその猶予の時ですが、新たに契約書などを締結しておくべきなんでしょうか?
そうですね、契約書なり覚書なりを取り交わしてもらって、一定期間、例えば半額の賃料にして、その半額分は6ヶ月後あるいは1年後に上乗せして払っていくようにします。その辺は残りの賃貸借の期間等にもよりますし、もちろん先のことは見えないというのはありますから、そういった合意をした上で、その合意の履行が難しそうであれば、その時点で改めて猶予の延長や、猶予された賃料の支払いについては改めて協議するといった覚書を締結すると良いと思います。
以上が支払いの猶予ですが、場合によっては撤退という選択もあり得ると思います。
原弁護士
原弁護士

撤退の際の問題、解約予告と原状回復義務

コロナ禍での賃貸借契約

実際、多くの店舗が撤退という選択をしています。
原弁護士
原弁護士
 
撤退した上で経費を減らして、もう一回戦略を練り直すということは経営上当然あり得る手段です。
その場合に一番問題となるのは、事業用賃貸借の解約予告が多くの場合、6ヶ月前予告になっていることです。
原弁護士
原弁護士
 
コロナにより賃料が厳しくなったから撤退をしようと判断しても、向こう6ヶ月間は家賃が発生してしまうということになります。
原弁護士
原弁護士
 
乗松
乗松
それは大きいですね。
撤退を選択することも大変難しそうですね。
 コロナ禍での賃貸借契約
 
はい、撤退を選択する場合の大きなネックになります。
例えば100万円の家賃を払っていると、そもそも売上が減少してお金がないのに600万円の家賃を捨てるという決断をしないといけません。店舗の場合、内装などについても「原状回復義務」といって借りた時の状態、あるいはスケルトン状態にしないといけないという取り決めもあり、その原状回復費用もそこに上乗せされることになります。
原弁護士
原弁護士
 
続けるも地獄、去るも地獄ということで、先ほどの100万円の家賃の例で言うと、撤退するためにゆうに1,000万円ぐらいのお金が掛かるということになります。
原弁護士
原弁護士
 
これが借りている側の大きなハードルになります。
原弁護士
原弁護士
 
乗松
乗松
それをなんとか軽減したりする方法はあるんでしょうか?
 
はい、考えられる方法がいくつかあります。
原弁護士
原弁護士
 
一つは、原状回復義務が掛からないように、次に借りる方にできるだけそのまま内装施設を使ってもらう「居抜き」で借りてもらうといった方法です。
原弁護士
原弁護士
 
また、賃借権の譲渡を大家さんに承認をしてもらうといった方法もあります。
その他にも、6ヶ月の予告期間の短縮をしてもらう、つまり減額をしてもらうといった交渉も一つの方法かと思います。
原弁護士
原弁護士
 
先ほどの賃料猶予の話を踏まえますと、最悪6ヶ月分の将来賃料の負担を免れないとしても、返済期間を延ばしてもらうなどの形で、次の事業に圧迫しないよう交渉していくことは十分にあり得る方法かと思います。
原弁護士
原弁護士
 
乗松
乗松
そうなんですね。
 

家賃滞納時の解約

コロナ禍での賃貸借契約

それから家賃の支払いが苦しい場合の話ですが、皆さんの賃貸借契約書には「2ヶ月以上滞納した場合、賃貸借契約を解約することができます」とか、「3ヶ月滞納があれば契約解除になります」といった内容が記載してあります。
これは以前にも申し上げましたけども、裁判所が機械的に契約書通り2か月3ヶ月滞納で解除を認めるかというと、そうではありません。
賃貸人と賃借人の間の信頼関係が破壊されたかどうかといった、そこの実質の部分で判断します。
原弁護士
原弁護士
 
コロナの影響で売上減収があった場合、借りている側にある意味同情すべき事情があります。ですので、コロナ禍で3ヶ月やもう少しの期間、賃料が払えず大家さんに迷惑を掛けたとしても、それだけの理由で契約の解除は認められない可能性が大きいのではないかと思います。
原弁護士
原弁護士
 
大切なことは、信頼関係を破壊しないように借りている側としても誠実に大家さんに対応をすること、返済についても誠実に協議をしていくことです。
原弁護士
原弁護士
 
乗松
乗松
信頼関係を壊さないためにも、賃借人にはそういう姿勢が求められるんですね。
本日はありがとうございました。


いかがでしたでしょうか?費用保険の教科書Bizでは、様々な中小企業・個人事業主の方に役立つ法務情報を弁護士とともに発信しているので、是非他の記事も参考にしてみてください!

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