敷地内で客に嘔吐された時に飲食店がするべき清掃処理手順と法的な注意点
2025年11月25日 2025年11月25日
飲食店を経営していると、想像もしないところから法的トラブルが降りかかることがあります。先日SNSで話題になったのは、営業前のカフェ駐車場に停車した車の子どもが突然嘔吐し、その処理を巡って店主と家族がトラブルになったケースです。
食品衛生法やHACCPに基づく厳格な衛生管理が求められる飲食店にとって、吐瀉物の処理は営業開始を左右する重大な問題。しかし家族は謝罪するどころか逆ギレし、「弁護士に相談する」と言い出したというのです。
この事例が示すように、たとえ店側に過失がなくても、相手の態度次第では簡単に「法的トラブルの入り口」に立たされてしまいます。時間・労力・営業機会の損失、そして最悪の場合は訴訟リスクまで――飲食店経営者にとっては決して他人事ではありません。
SNSで話題になっているポスト
営業前に、しれーっと駐車場に停まった車の助手席の子供ちゃんがうちの店の駐車場に、ゲロを吐かれました!!
ちょっと待って!!!と慌てて俺!!!
お父さんもお母さんもフテくされて水で流しますと、、
いやいや、うちは保健所から営業許可を受けて営業してる飲食店です。
保健所からゲロの処理↓
許可を受けて営業しているカフェです。
ゲロは防護服、靴履き替えて次亜塩素酸でしっかり洗って乾かして処理しなければなりません。しかしそれを説明すると、お父さんとお母さんは、なぜか逆ギレ😳
ただ今、営業開始できておりません。
こちらは大変困っていると言っても、謝罪の態度は示さず、弁護士がどうたら。
本当に困ります。
HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者の皆様にHACCPに沿った衛生管理に取り組まなければいけなくなりました。これは飲食店に限った話ではありません。ただし今回の事案はカフェとのことなので、「飲食店営業又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者」に該当する小規模な営業者となりHACCPの考え方を取り入れた衛生管理をしなければなりません。
HACCPの詳しい内容は以下のURLを参照してください。
| TIPS HACCPに違反するとどうなる? |
|---|
| HACCPは前述の通り令和3年より施行され義務化されましたが、現在HACCP違反による罰則規定自体は明確には記載されていません。しかし「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第1項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。(食品衛生法 第50条の3)」との記載があるため都道府県ごとに条例で罰則が定められている場合もあります。 |
今回の事案の争点とは?
- 営業前に駐車場に嘔吐された
- 吐瀉物の処理により営業開始を遅らせざるを得なかった
- 嘔吐した家族は逆ギレして弁護士に相談すると言ってきた
営業前の駐車場に嘔吐された
営業前…それも開店準備前の駐車場に止まっていたということは、憶測にはなってしまいますが客ではなく子どもが吐きそうだから緊急で都合のいい駐車場に止めたことが予想されます。
吐瀉物の処理により営業開始を遅らせざるを得なかった
投稿主も「防護服、靴履き替えて次亜塩素酸でしっかり洗って乾かして処理しなければなりません。」と述べている通り、敷地内に吐瀉物があった場合、水で流しただけだとウイルスが残り、それを靴で踏むことで店内にウイルスが入ってきてしまう恐れがあります。そのため、靴を履き替えて、水ではなく次亜塩素酸など適切な方法で消毒を実施するのが食品衛生管理やHACCPに準拠した対応となります。
過去には以下の記事のように、幼児の便を適切に処理しなかったために集団食中毒がが発生し、営業停止を命じられたケースもあります。
吐瀉物処理とHACCP対応の重要性
飲食店において吐瀉物が発生した場合、最も警戒すべきはノロウイルスやロタウイルスといった感染症の拡散です。水で流すだけではウイルスが残り、靴裏や衣服を介して店内に持ち込まれるリスクがあります。そのため、HACCPに基づいた対応としては、
-
防護服や手袋の着用
-
使い捨てペーパータオルでの回収
-
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒
-
作業後の履き替えと手洗いの徹底
が必須となり、今回の事案では「水で流しただけ」という保護者の行為が、HACCPの基本的な考え方から大きく逸脱している点も、飲食店にとって深刻な問題と考えられます。
そのため、いくら子どもの体調不良による緊急とはいえ吐瀉物の処理により営業開始を遅らせざるを得なかったことで、営業に支障をきたしているため店主はこの家族に対して損害賠償の請求を行うことができます。ただし、駐車場を「公共の場所」と誤解される可能性や、金銭的損害の立証が難しい点もあり、法的判断は状況によって分かれます。
嘔吐した家族は逆ギレして弁護士に相談すると言ってきた
「お父さんとお母さんは、なぜか逆ギレ😳」「謝罪の態度は示さず、弁護士がどうたら。」という投稿から、家族は注意されたことに対して謝罪をせずに逆に弁護士という言葉を出してきています。
この投稿からは「もしなにかあるなら弁護士を通してほしい」ということなのか「文句があるなら弁護士に相談します」なのか「店を訴えてやる!」ということなのかは読み取れませんが、もしもハッタリなどで訴訟をほのめかした場合、逆にこの家族は脅迫罪に該当する可能性が出てきます。
トラブルには冷静な対応を
今回は「こんなことがあった」と共感をしてほしいがための投稿であったと思われ、それが大きな反響を呼びました。しかし、この内容だけでは憶測しかできず、事実は一切不明です。そのため、トラブルがあった場合は必ず証拠を残し、冷静に対応することが重要となります。
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言動を逐一メモや録音で記録する
-
必要に応じて第三者(警察や行政機関)に相談できる姿勢を示す
-
「規定上こうしなければならない」と冷静に説明する
-
決してSNSなどで相手を晒すような行為をしない
SNSに晒してしまうことで、世論を味方に付けられる可能性もありますが、中にはそれがきっかけで誹謗中傷や営業妨害、風評被害に繋がったり、相手方に逆に訴訟されるきっかけを与えてしまう可能性も出てきてしまいます。合わせて以下の記事も参考にしてみてください。
法的トラブルは思いがけないところから発生する
今回の事案は、家族がしっかりと謝罪をしていればこれほど大きな問題にならなかったと考えられます。しかし、モンスタークレーマー、モンスターカスタマーのように逆ギレをして、法的措置を匂わせてくるケースは多々あります。
もしも、これで相手が弁護士を立ててアクションを起こしてきた場合、その対応をしなければならなくなり時間・労力・金銭面で打撃を受けることになりかねませんし、今回のようなケースは「単なる迷惑」では済まず、処理方法を誤れば店舗の営業許可にまで影響しかねません。飲食店経営者にとって、こうしたトラブルは命取りになる可能性があるのです。
そんな時におすすめなのが弁護士保険です。月額数千円から加入することができ、いつでも弁護士を利用できるうえに、訴訟などに発展した場合は弁護士費用を保険で賄うことができます。
弁護士保険に入るメリット
1.トラブルに発展する前に予防できる
弁護士保険に加入すると、前述でも消化した弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることでトラブルに発展する前の抑止力となります。
2.弁護士への電話相談が無料で出来る
弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。
3.弁護士費用・裁判費用が補償される
それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。
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