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【飲食店経営者向け】判例から学ぶ賃貸借契約の落とし穴

2020年10月14日 2023年05月10日

契約 不動産トラブル
#賃貸借契約 #判例
【飲食店経営者向け】判例から学ぶ賃貸借契約の落とし穴

飲食店経営者にとって、店舗を借りる場所は生命線。そして、店舗の場所を貸す不動産オーナーとの良好な関係は、言うまでもなく大切になります。賃貸借契約を締結するにあたって、事前に知っておきたい3つの判例とポイントをご紹介します。

そもそも賃貸借契約とは?

賃貸借契約とは、賃料をもらうことでものを貸すという契約のことです。特に飲食店を開業する場合に、銀行融資を受けるケースが多いですが、銀行から提出を求められる資料として扱われることが多いです。

契約書の内容は様々ですが、事前によく目を通しておかないと、後々、トラブルになり、不利になってしまうケースがあります。

知っておきたい判例①

あれっ、飲食店経営が出来ない??喫茶店営業しか出来なくなってしまったのに、損害賠償が出なかった判例

事案の要約

・飲食店を借りた方は、説明を受けていない条例の存在により、「飲食店経営」ではなく、「喫茶店営業」をせざるをえないことに

・本来、「飲食店営業」にて出せるはずだった収益がなくなったことを理由に、損害賠償を求めた

判例の要約

・宅建業者の注意義務違反は認められたものの、損害との因果関係が認められないとして、損害賠償は成立しなかった

ポイント

・このケースでは、幸いなことに、喫茶店営業でも、ある程度の収益が出ていること(昼営業による売上がそもそも大きく見込んでいた、メインの商材である茶粥を提供出来ていた)が背景にあり、損害賠償には当たらないという判断をされた事例。

・このように、自ら、別視点で様々な情報収集をしていないと、このようなトラブルに直面するリスクがあることを示唆しており、賃貸借契約を締結する場合には、慎重になる必要があることが分かる判例になっています。

判例の詳細:東京地判 平29・9・22 ウエストロー・ジャパンhttps://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/113-138.pdf

 

知っておきたい判例②

直前で、賃貸借契約締結が拒絶!ここまでやったのに・・・と裁判をしてみるも、その主張は認められず

事案の要約

・直前に賃貸借契約の締結を断られた
 -既に、保証金・礼金を振り込んだ
 -しかし、契約手続きが円滑に進まなかったことを理由に、貸主が契約締結を拒絶
・主体的に成立していた契約を破棄したとして損賠賠償を求めた

判例の要約

・損害賠償は認められなかった
・契約書に貸主の押印が認められず、保証金・礼金の振込は、契約成立見込みの根拠にならない

ポイント

・賃貸借契約を正式に締結するまでは、飲食店経営の前提が成立しないと思うことが重要。借主は、契約がほぼ出来ることを前提に様々な活動をしていたことが裏目に出たという結果になっています。

・賃貸借契約を締結するまで、貸主である不動産オーナーとは良好な関係を結ぶことが重要。貸主には、契約手続きの進行や、借主の収入状況などを総合的に勘案して、契約手続きを見送ることはあり得るということを改めて認識する必要があると言えます。

判例の詳細:東京地判 平28・1・21 ウエストロー・ジャパンhttps://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/111-084-2.pdf

知っておきたい判例③

あれっ、下から騒音が!?でも、貸主がそれを調べて伝える義務は特にない

事案の要約

・事務所契約締結&引き渡し後に、借主が地下のライブハウスからの騒音に気づく
・賃貸目的(試験会場として使用)に支障が出る為、仲介業者と貸主に、注意義務違反に基づく損害賠償を求める

判例の要約

・損害賠償は認められなかった
・借主が、内見の際にライブハウスの存在を確認していたこと。更に、契約後に、試験会場に使用するにはBGMや音楽が聞こえることはNGというのを把握した経緯から、事前に把握していればそこを借りないという選択肢があったという判断に
・更に、先に、貸主や仲介業者に確認・調査を求められなければ、貸主・仲介業者は注意義務違反をしたという認識にはならないという判断に

ポイント

・事前に、気になることや条件などについては、仲介業者・貸主と共有し、必要であれば、確認・調査をすることが大原則になることが示唆されています。一番最初の判例と同様ですが、出来るだけ、自分自身で複数の視点から、物件が商売に合っているかどうかをよく確認する必要があるということになります。

判例の詳細:東京地判 平25・7・22 ウエストロー・ジャパン
https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/104-148.pdf

最後に

契約締結にあたっては、借主が慎重に様々な視点から、問題がないかを確認する必要があることが、改めて判例から示唆されたと思います。弁護士保険の教科書では、飲食店を開業することを検討している方向けに、有用な判例を紹介していきます。是非、定期的にチェックしてみてください!


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