フリーランス・個人事業主は絶対に知っておきたい:下請け法のこと―実際の勧告から考える

近年、働き方の多様化が進むなか、フリーランスや個人事業主として働く人も増えてきましたが、それに伴い契約等のトラブルも多く見受けられるようになりました。今回の記事では、下請法の概要や実際の勧告事例を紹介しながら、こうしたトラブルにどう対応していけばよいのかを考えていきます。

下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)の目的は、下請取引の公正化・下請事業者の利益保護(第一条)と定められており、下請法の対象となる取引は、事業者の資本金規模と取引の内容で決まります。

《規制の対象となる取引》
●物品の製造委託・修理委託
●情報成果物の作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの)

《規制の対象となる資本金》
●物品の製造・修理委託及び情報成果物作成委託・役務提供委託を行う場合
・親事業者
資本金3億円超

・下請事業者
資本金3億円以下(個人を含む)

・親事業者
資本金1,000万円超3億円以下

・下請事業者
資本金1,000万円以下(個人を含む)

●情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの以外)を行う場合

・親事業者
資本金5,000万円超

・下請事業者
資本金5,000万円以下(個人を含む)

・親事業者
資本金1,000万円超5,000万円以下

・下請事業者
資本金1,000万円以下(個人を含む)

親事業者に課せられている義務は、以下のとおりです。

《親事業者の義務》
●書面の交付義務
●書類の作成・保存義務
●下請代金の支払期日を定める義務
●遅延利息の支払義務

(参考)下請法の概要(公正取引委員会)
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html

また、親事業者には11項目の禁止事項が課せられています。

《親事業者の禁止事項》
①受領許否
②下請代金の支払遅延
③下請代金の減額
④返品
⑤買いたたき
⑥購入・利用強制
⑦報復措置
⑧有償支給原材料等の対価の早期決済
⑨割引困難な手形の交付
⑩不当な経済上の利益の提供要請
⑪不当な給付内容の変更・不当なやり直し

親事業者が下請法に違反した場合、公正取引委員会はそれを取りやめて原状回復させることを求めるとともに、再発防止などの措置を実施するよう勧告を行っています。なかには最高50万円の罰金が科せられるケースもあります。

下請法違反によって公正取引委員会による勧告が行われた事例(一部)を見てみましょう。

●事例1(勧告日:2020年7月30日)
株式会社フジデンは、家電製品等の小売業者から請け負う家電製品の配送及び設置を下請事業者に委託していたが、特段の理由なく「CS管理費」「防犯カメラ代」を下請代金から減額していた。(下請法第4条第1項第3号 下請代金の減額の禁止)

●事例2(勧告日:2020年6月18日)
株式会社コモディイイダは,消費者に販売する食料品等の製造を下請事業者に委託していたが、「リベート代」「POP代」「同社が下請事業者の金融機関口座に振り込む際に、実際に金融機関に支払う振込手数料を超える額」を下請代金から減額していた。(下請法第4条第1項第3号 下請代金の減額の禁止)

●事例3(勧告日:2020年4月10日)
株式会社リーガルコーポレーションは,消費者及び小売業者に販売する紳士靴,婦人靴等の商品の製造を下請事業者に委託していたが、下請事業者から商品等を受領した後に品質検査を行っていないうえ、下請事業者側に責めるべき理由がないにもかかわらず、受領した商品等に瑕疵があるとして引き取らせていた。(第4条第1項第4号 返品の禁止)

(参考)下請法勧告一覧(2020年度)
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukekankoku/R2FYkankoku.html

(参考)親事業者の禁止行為
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html

 親事業者に違法性の意識がない、また下請事業者の了解を得ている場合でも、禁止事項の規定に触れると下請法に違反することになります。

下請法に抵触するような事案に遭遇した場合は、深刻な事態に発展する前にまずは弁護士に相談してみましょう。


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