従業員の交通事故被害と労災保険(経営者向け)
2021年01月28日 2022年12月02日
交通事故というと身近なイメージがありますが、実際に身に降りかかった時のことを考えると、わからないことも多いのではないでしょうか。今回は、15000件交通事故案件を扱っているスペシャリストである平岡弁護士にお越しいただいたこちらの動画をまとめました。会社経営と従業員などの交通事故がテーマです。
目次
交通事故の原状
全体としては国の政策の取り組みにより、交通事故の数は減っています。しかし、それでも毎年3000人近い死者が出ています。平岡弁護士によると、依頼者の中でも通勤中や業務中の交通事故が多いそうです。
従業員が被害者になった時
業務中に交通事故に遭った場合は、自賠責保険と任意保険に請求します。しかし、それ以外にも、労災に請求ができます。さらに、通勤中も労災に請求することができます。それぞれ以下の項目で詳しく解説します。
自賠責保険と任意保険と労災保険、通勤災害
自賠責保険とは、すべての車の所有者に加入が義務付けられている損害保険のことです。しかしそれだけではカバーできないため、自分の意思で加入、非加入を決めることができる任意保険の加入が勧められています。一方、労災保険は、業務上の事由または通勤による従業員の負傷・疾病・障害または死亡に対して従業員やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。そして、通勤中の事故のことを通勤災害と呼びます。
自転車通勤の事故も通勤災害になる
最近は自転車通勤の方も多いと思います。自転車は車道を走ったりするので、事故に遭う確率が高くなっています。自転車通勤も通勤災害にあたります。
通勤災害に認められるケース・認められないケース
通勤が、家から職場まで合理的なルートであれば通勤中と認められます。例えば、通勤の帰り道にスーパーに寄って夕ごはんを買い込んだり、美容院に寄った帰り道で事故に遭った場合、それは通勤災害に該当します。ですが、友達と飲んだりカラオケ、喫茶店に行ったなどは通勤災害とはならないです。基本的には家から会社・会社から家が範囲に当たり、どこかで中断したり大きく外れたりすると通勤中と認められないからです。
被害者側の過失割合が大きい場合は労災保険を使う
普通は交通事故に遭うと自賠責保険や任意保険から治療費などが払われますが、相手方に任意保険がついていても労災を使う場合が結構多いです。被害者側の従業員の過失割合が大きい場合、過失割合が3割だと治療費の3割を自己負担ということになります。そこで、労災を使うことで被害者救済を図るという使い方をします。
保険会社が治療費を打ち切った場合は労災へ切り替え
保険会社は怪我がまだ痛くても、治療費を数ヶ月で打ち切ったりします。そういう時は労災に切り替え、治療費を出してもらうという使い方をすることもあります。
労災を使った場合のデメリット
保険料が上がるのではないかとイメージする方もいますが、基本的には交通事故のような加害者がいる場合の労災ではデメリットはありません。従業員が交通事故で労災を使いたいという場合は、是非使わせてほしい、と平岡弁護士は言います。
労災隠しについて
業務災害などだと、労災事故と報告しなければいけない義務があるので、労災隠しはやめた方がいいです。
休業損害証明書
従業員が交通事故にあって保険会社が対応している時に、会社として協力を求められることがあります。従業員が怪我・症状・通院で会社を休んでいる際、会社を休んだという証明を会社側がしなくてはなりません。それが、休業損害証明書という書類で、休んだ日の証明のために書いてもらうことになります。
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