店内で「勝手にライブ配信」する客を退去させられる? 無断配信トラブルの予防策と対策
2026年01月15日 2026年01月15日
スマートフォン1台で、誰でも簡単にライブ配信ができる時代。その一方で、店内で許可なくライブ配信を行う客によるトラブルが、飲食店・美容室・ジム・小売店など、さまざまな業種で急増しています。
「他のお客様や従業員の顔が映り込んでしまった」
「勝手に店内の様子を配信され、クレームや炎上につながった」
「注意したら逆ギレされてしまった」
こうした経験や不安を抱える店舗オーナーの方も多いのではないでしょうか。もしも対応を誤れば、逆に「不当な扱いをされた」「権利侵害だ」と主張され、店舗側がトラブルの当事者になってしまうリスクもあります。
そこで本記事では「配信者が悪いのは分かっているが、どう対応すればいいか分からない」そんな悩みを抱える事業者の方にとって、明日から使える実践的な指針となる内容をお届けします。
目次
店内で勝手にライブ配信する行為は違法なのか?
結論から言うと、店内での無断ライブ配信は、状況次第で違法または不法行為と評価される可能性があります。ただし、「配信した=即違法」と単純に判断できるわけではなく、どの権利を侵害しているかが重要になります。以下、店舗トラブルで特に問題になりやすい法的観点を整理します。
① 他の客・従業員の「肖像権・プライバシー権」の侵害
店内でのライブ配信で最も多いのが、他の客や従業員の顔・姿が無断で映り込むケースです。日本では、明文の法律がなくても、判例上「肖像権(勝手に撮影・公開されない権利)」「プライバシー権(私生活をみだりに公開されない権利)」が保護されており、本人の同意なくライブ配信されることは、これらの権利侵害に該当する可能性があります。特にライブ配信は以下のような性質があるため、通常の写真撮影よりも侵害性が高いと評価されやすい点に注意が必要です。
-
不特定多数に即時公開される
-
編集や削除ができない
-
拡散されやすい
② 店舗そのものの権利侵害・営業妨害にあたる可能性
無断ライブ配信は、他人の権利だけでなく、店舗側の利益を侵害する行為にもなり得ます。例えば以下のような行為が該当します。
-
店内の雰囲気や価格設定を揶揄する配信
-
店舗名を出して批判的なコメントを流す
-
他の客が不快に感じて退店してしまう
こうした行為は、内容次第で「名誉毀損」「信用毀損」「業務妨害(民法上の不法行為)」と評価される可能性があり、特に「ライブ配信で店を晒す」行為は、
意図の有無に関係なく、結果として営業を妨害していると判断されることもあります。
③「違法」とまでは言えなくても「やめさせる正当性」は十分にある
重要なポイントは、「刑事罰がすぐに成立するかどうか」と「店舗が中止を求められるかどうか」は別という点です。
たとえ刑事事件レベルでなくても「他人の肖像権侵害の恐れがある」「店舗ルールに反している」「他の客に迷惑をかけている(恐れがある)」この時点で、店舗側が配信中止を求める正当性は十分にあります。そして、これが次のテーマである「退去を求めても問題ないのか?」という判断につながっていきます。
| TIPS 「撮影自体は自由」という誤解に注意 |
|---|
| よくある誤解として、「店内は公共の場所だから、撮影や配信は自由では?」という主張がありますが、これは正確ではありません。飲食店や美容室、ジムなどの店舗は不特定多数が利用できるとはいえ、私有地(管理された空間)です。そのため管理権は店舗にあり、撮影やライブ配信の自由は制限されて当然と考えられます。 |
店内で勝手にライブ配信する客を、店舗は退去させても問題ない?
結論から言えば、一定の条件を満たせば、店舗が退去を求めることは法的に可能です。むしろ、他の客や従業員を守る観点から、退去要請をしない方がリスクになる場合すらあります。ポイントは、「どのような根拠で」「どのような手順で」退去を求めるかです。
店舗には「施設管理権」がある
飲食店や美容室、ジム、小売店などの店舗は、誰でも利用できるように見えても、あくまで私有地です。そのため、店舗側には次のような権利が認められています。
-
店舗内の秩序を維持する権利
-
他の客や従業員の安全・権利を守る義務
-
営業を妨害する行為を排除する権利
これらを総称して、実務上は「施設管理権」と呼ばれます。無断のライブ配信が、営業や他の客の利用を妨げてるような状況であれば、施設管理権に基づいて是正を求めることは正当と言えるでしょう。
いきなり退去ではなく「段階的対応」が重要
- 配信中止の要請(注意)
- 理由の説明(店内ルール・他の客への配慮)
- それでも応じない場合に退去要請
この流れを踏んでいれば、「いきなり追い出された」「不当な扱いを受けた」と主張されるリスクは大きく下がります。逆に、最初から高圧的に退去を命じると、トラブルが拡大しやすくなるため注意が必要です。
ライブ配信者が要請に応じないときの対応
退去要請に応じない相手に対して、店舗側が一番避けたいのは「押し問答が長引き、店内全体が混乱すること」と「店舗側が手を出して加害者側になってしまうこと」です。そこで段階的に圧力を上げつつ、店舗側は一線を越えないのが基本です。
①「要求」を短く明確に伝える
-
「店内は配信禁止です。配信を止めてください。」
-
「他のお客様が映ります。今すぐ配信を終了してください。」
-
「お守りいただけない場合は、ご退店をお願いします。」
言い合いになるほど不利になりやすいので、長い説教は避けます。この段階では「法律が~」と議論せずに相手のペースに乗らないことが重要です。
②「店側のルール」であることを伝える
-
「当店のルールで、撮影・配信はお断りしています。」
-
「お願いではなく、店の利用条件です。」
-
「守れない場合は、利用を終了していただきます。」
相手が応じなかった場合や反論してきた場合は、相手の言い分はいらないので店側のルールであることを伝えます。
③「外部対応」を宣言する(警察・通報を含む)
-
「これ以上続く場合は、不退去として警察に連絡します。」
-
「他のお客様の迷惑になりますので、警察を呼びます。」
-
「退店いただけない場合は、業務妨害として相談します。」
ここが最重要です。相手が居座る・逆ギレする場合、店舗側が自ら強制排除するのではなく、外部手段に切り替える宣言をしましょう。
④通報・相談の判断
-
大声・暴言・威嚇がある
-
店内が混乱し、他の客が不安がっている
-
退去要請後も居座っている(明確に「帰ってください」と伝えた後)
-
配信を続けており、被害が拡大している
-
スタッフの対応により営業に支障が出ている
上記のどれかが当てはまるなら、早めに警察相談・通報へ切り替えるのが安全です。速やかに通報しましょう。
⑤証拠と記録を取る
-
いつ・誰が・何をしたか(時刻、客の特徴、発言)
-
店側が「配信中止」「退店」を求めた事実
-
可能なら店内防犯カメラの保存(上書き防止)
-
スタッフ複数名で状況共有(メモ)
ライブ配信はアーカイブに残ったり、視聴者の録画によりそのやり取りが拡散される可能性などがあります。そうした場合、店側の悪評につながるため、インターネットからの削除要請や損害賠償などの手続きが必要となる可能性も高いです。必ず上記のような証拠の保全を行うようにしましょう。
⑥絶対にやってはいけないこと
-
腕を掴む、押す、引っ張る(暴行・傷害トラブル化)
-
スマホを取り上げる、触る(窃盗・器物損壊等の争い)
-
出入口を塞ぐ、閉じ込める(監禁等の主張を招き得る)
-
大声で晒す、威圧する(名誉・プライバシー絡みで炎上しやすい)
相手が応じないからといって、上記のような行為を行ってしまうと店舗側が不利になる可能性が高いです。ライブ配信という性質上、映像として証拠が残ってしまいますので、あくまでも配信者が悪いという証拠を自ら残すだけに留めるように、冷静に対応するようにしましょう。
トラブルを未然に防ぐ「店内配信トラブル予防策」
店内でのライブ配信トラブルは、発生してから対応するよりも、事前に防ぐ方が圧倒的にコストが低いのが特徴です。実務上は、次の3点を押さえるだけで、トラブル発生率を大きく下げることができます。
「撮影・ライブ配信ルール」を明文化する
-
無断での写真撮影・動画撮影・ライブ配信は禁止
-
他のお客様・従業員が映る行為は禁止
-
店舗が許可した場合のみ撮影可
-
ルールを守れない場合は退店をお願いする場合がある
まず前提として、ルールが存在しない店は、注意・退去要請の正当性が弱くなります。逆に言えば、ルールを明文化しておくだけで、対応は一気に楽になります。
店内掲示は「目立つ・短い・断定的」にする
ルールを作っても、客に伝わっていなければ意味がありません。Webサイトなどに記載してもすべての客がWebサイトを見てから来店するわけではないのでそれほど意味がありません。店舗の入口や店内の壁の目立つ場所に掲示するしましょう。掲示する内容は「読ませる」より「一目で伝わる」ことを優先したほうがいいため、インフォグラフィックを用いた掲示物がおすすめです。ネット通販などで購入するのが比較的安価で手に入りますので下部のリンクを参考に探してみてください。
スタッフ対応を周知しておく
-
撮影・配信を見つけたら、まず中止をお願いする
-
応じない場合は責任者を呼ぶ
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無理に止めない・触らない
-
危険を感じたら警察相談をためらわない
トラブルが大きくなる店の共通点は、スタッフごとに対応がバラバラなことです。上記のようなスタッフの対応ルールをしっかりと周知・教育しておき、店側の対応を統一しておきましょう。
実際にあったライブ配信での店舗トラブル事例
迷惑系海外YouTuberが店内で大音量で無許可配信
米国の迷惑系ネット配信者が、2023年に大阪市内のファストフードで無許可で撮影しながら大音量の音楽を流し、店舗業務を妨害したとして立件されました。その後、大阪地方裁判所はこの行為を業務妨害と認定し、罰金20万円の有罪判決を言い渡しました。裁判では、配信中に音楽を鳴らした行為が店舗スタッフの業務を妨げたとして処罰されています。この事件は、配信行為が営業妨害として刑事責任に問われた珍しい実例です。
渋谷の焼肉店で迷惑系YouTuberが大声で叫ぶなどして逮捕
2023年8月、東京・渋谷区の焼き肉店で迷惑系YouTuberライブ配信しながらテーブルに土足で上がり、大声で叫ぶなどして店の営業を妨害したとして威力業務妨害罪に問われた。その結果、東京地裁であった判決で懲役10月、執行猶予4年を言い渡された。
レジャー施設で迷惑行為をライブ配信
大阪市中央区の複合レジャー施設のカラオケルーム内で店の備品(メニューやジョッキ等)を使った不衛生な迷惑行為の一部をライブ配信し、店舗側に清掃対応や当該備品の廃棄など店の対応を発生させた。その結果、大阪府警が威力業務妨害の疑いで書類送検となった。
それでもトラブルになった場合の相談先と備え
店内での無断ライブ配信を注意・退去要請しても収まらず、警察を呼ぶ事態にまで発展するケースは、実務上決して珍しくありません。しかし本当のリスクは、警察が帰った「その後」に潜んでいます。この段階での対応を誤ると、
-
配信アーカイブ・拡散による二次被害
-
店舗名を出した誹謗中傷
-
「不当な退去」「脅された」といった逆訴訟・逆クレーム
以上のようなリスクに繋がる可能性があります。
警察を呼んだ直後に必ずやるべき事後対応
-
日時・場所・対応したスタッフ名
-
客の特徴(氏名が分かれば氏名、分からなければ外見)
-
どの行為が問題だったか(無断配信/居座り/暴言など)
-
店側が行った対応(中止要請・退去要請・警察要請)
-
警察官の所属・対応内容(口頭注意・同行・事情聴取の有無)
警察対応が終わったら、まず上記のような「事実の固定」を行います。これは、もしもなんらかの二次被害に発展した際に、弁護士に相談しにいくうえでの重要な基礎資料となります。
二次被害に発展したら即座に弁護士に相談
前述のように、動画が発端による風評被害や二次被害、実際に他の客への被害や売上に影響が出ている場合、真っ先に弁護士に相談するようにしましょう。そうすることで「アーカイブの削除」「誹謗中傷行為を行った者への開示請求」「ライブ配信者に対する損害賠償請求」など様々な対応をお願いすることが可能です。
トラブルに備えていつでも弁護士に相談できる体制を
しかし、弁護士に相談したことのない方からすると、弁護士探しや費用、相談の仕方など不安なことも多いと思います。そこで当サイトがオススメしているのが弁護士保険です。弁護士保険は月額数千円で弁護士への相談費用や、訴訟に発展した場合の弁護士費用などが補償されるため、気兼ねなく弁護士に相談できるようになります。
弁護士保険に入るメリット
1.トラブルに発展する前に予防できる

弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢が相手に伝わり、無断配信を断った時にトラブルに発展しづらくなるでしょう。
2.弁護士への電話相談が無料で出来る
弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。
3.弁護士費用・裁判費用が補償される
それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。
他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。
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