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知らないと危険!アルバイト雇用の際に経営者が守るべきルールや手続きを解説。

2025年02月12日 2025年02月12日

会社経営・事業経営 雇用・労働・従業員
#アルバイト #外国人雇用 #雇用
知らないと危険!アルバイト雇用の際に経営者が守るべきルールや手続きを解説。

アルバイトやパートタイマーの雇用は、多くの事業者にとって不可欠なものです。しかし、その雇用には法律で厳格なルールが定められており、違反すると罰則や労務トラブルに発展するリスクがあります。

「ちょっとしたバイトだから」と軽く考えていると、知らないうちに労働基準法違反や賃金問題などのトラブルに巻き込まれることも。最悪の場合、労働基準監督署からの是正勧告や訴訟リスクにつながることもあるため、正しい知識を持って適切な雇用管理を行うことが重要です。

本記事では、アルバイトを雇う際に経営者が必ず守るべきルールについて、解説します。トラブルを未然に防ぎ、安心してバイト雇用を行うための知識を身につけましょう。

そもそもアルバイトとは?

「アルバイト」とは、企業や店舗などで一定の時間働く非正規雇用の労働者を指します。一般的には学生や主婦、副業として働く人が多く、短時間勤務やシフト制で働くことが特徴です。

法律上、アルバイトやパートタイマーも労働基準法に基づく「労働者」として扱われ、正社員と同様に労働条件の保護を受けます。そのため、最低賃金・労働時間・休憩・残業代・社会保険など、正社員と同じく法律の適用を受ける点に注意が必要です。

また、「アルバイト」と「パート」の違いについて明確な定義はありませんが、一般的には「アルバイト」は学生や短期間の勤務を指し、「パート」は主婦や長期的に働く人を指すことが多いとされています。ただし、法律上は両者とも「パートタイム労働者」に分類され、「短時間労働者」として労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法の適用を受けます。

アルバイト雇用には、労働契約の締結や賃金の支払い義務が発生するため、経営者は正しい知識を持ち、適切に対応することが求められます。

アルバイト・契約社員・正社員の違いは?

アルバイト 契約社員 正社員
雇用形態 非正規雇用(パートタイム労働) 非正規雇用 正規雇用
雇用期間 有期契約 有期契約 無期雇用
給与形態 時給が一般的 月給または時給 月給
賞与・退職金 基本的になし 基本的になし 基本的にあり
残業代 労働時間に応じて支給 労働時間に応じて支給 基本給に応じて支給
社会保険 労働時間・賃金によってあり 労働時間・賃金によってあり 加入義務あり
雇用保険 週20時間以上勤務で必須 週20時間以上勤務で必須 加入義務あり
労災保険 加入義務あり 加入義務あり 加入義務あり

上記はアルバイトと社員それぞれの違いをわかりやすく比較した表になります。それではこの表の内容を踏まえてアルバイトにまつわる法的義務を解説していきたいと思います。

アルバイトの雇用・契約について

Q.アルバイトも契約書って必要なの?

アルバイトやパートタイマーであっても、雇用契約が成立する以上、契約書を交わし契約内容を明確にすることは法的に必須です。

労働基準法第15条では、雇用主(事業者)は、労働者を雇う際に「労働条件」を明示する義務があると定められています。これは正社員だけでなく、アルバイトやパートにも適用されます。具体的には、雇用契約を結ぶ際に「労働契約書」または「労働条件通知書」を交付する必要があります。

役割 署名・押印の有無
労働契約書 労働者と会社の双方が合意した契約を証明するための書類 労働者と会社が署名・押印し、双方が保管する
労働条件通知書 会社が一方的に通知する労働条件の書類 労働者の署名・押印は不要、会社から渡すだけでOK

上記のどちらか一方を交付すれば法的には問題ありませんが、労働契約書の方がトラブルを防ぎやすいため、契約書の締結が推奨されます。

労働契約書に記載すべき内容とは

以下の内容は、必ず書面または電子データで明示する必要があります。そのため、口頭で伝えるだけでは違法になるリスクがあるので注意しましょう。

  • 雇用期間(有期雇用の場合は契約更新の有無)
  • 業務内容と就業場所
  • 始業・就業時間、休憩時間、残業の有無
  • 休日・休暇
  • 賃金内容(時給額・支払日など)
  • 退職・解雇の条件

特にアルバイトの場合は賃金・シフトの取り扱い・退職時の条件について明確にしておかないとトラブルに発展しやすいので気をつけましょう。アルバイトは短期間の雇用だからと軽視されがちですが、契約を明文化することは、経営者自身を守るためにも重要なポイントです。契約書は法的な書類となるため、できる限り弁護士や社労士など法的書面を取り扱うプロに作成を依頼することをおすすめします。

1日だけアルバイトを頼んだ時でも契約書は必要?
厳密には必要となり、双方の署名・押印をすることが理想です。しかし、1日のためにそこまでするのは現実的でないということも考えられますので最低限「勤務内容」「賃金」「交通費の支給の有無」などを明文化した証拠(メールやLINE)などを残しておいたほうがトラブルに発展するリスクを少なくすることができます。

Q.アルバイトと契約する時に気をつけないといけないことは?

1.最低賃金を守る

アルバイトの給与は、最低賃金以上でなければならないと法律で定められています(最低賃金法)。最低賃金は都道府県ごとに異なり、毎年改定されるため、最新の金額を厚生省のサイトで確認しておきましょう。

2.解雇・退職ルールを明確にしておく

アルバイトでも、解雇や退職のルールは労働基準法(第20条)に基づいて厳格に定められています。 事業主の判断で自由に解雇できるわけではなく、適正な手続きを踏まないと不当解雇とみなされ、訴訟リスクが発生します。

  • 解雇する場合は30日前までに解雇予告を行うことが義務
  • 即日解雇する場合は解雇予告手当(30日分の賃金)を支払う必要がある
  • 契約期間の途中で解雇する場合、合理的な理由が必要(勤務態度・業績不振だけでは難しい)

3.シフトについて明確にしておく

アルバイトのシフト管理は、トラブルが発生しやすいポイントの一つです。

  • シフトの決定方法(希望制か固定制か)
  • シフトの変更が可能な期限(○日前まで変更可能など)
  • シフトを削減する場合の基準(契約で週○時間以上確保など)
  • 繁忙期・閑散期・祝日などのシフト調整ルール

上記のようにシフトの決定方法や変更ルールを明確にしておくことで、無用なトラブルを防ぐことができます。

4.給与の支払いについて明確にしておく

給与は、労働基準法第24条により「毎月1回以上、決められた日に全額支払う」ことが義務となっています。給与の未払い・遅延は重大な違反となり、事業者に罰則が科される可能性があります。そのため、給与の支払日や支払い方法について明記しておきましょう。

5.保険の適用について確認する

アルバイトの勤務時間や雇用期間によって、社会保険・雇用保険・労災保険の加入義務が異なります。 加入義務があるのに手続きを怠ると、後から遡って保険料を支払う必要が生じるため、契約時にしっかり確認することが重要です。これについては後述致します。

試用期間ってなに? 気をつけることは?

試用期間とは、雇用契約の本契約前に定めることのできる「お試し期間」のことを指し、労働者の適性や勤務態度を見極めるための制度です。一般的に正社員だけでなく、アルバイトや契約社員でも試用期間を設けることが可能です。

試用期間を設ける目的

試用期間はアルバイトの勤務態度や能力、適応力などを判断することをできるお試し期間であり、もしも試用期間中に「このアルバイトには難しいかもしれない」と判断した際に、本契約を締結せずに契約解除をすることができるため、能力不足や勤務態度の悪い労働者を雇用するリスクを減らすことができます。しかし、それは労働者側にも言えることで、労働者が本契約を断ってくる可能性もあります。

試用期間を設ける際の注意点

  • 一般的には1ヶ月〜3ヶ月(最長でも6ヶ月程度)
  • 契約時に期間と本契約の条件を明記しておく
  • 最低賃金以上を支払う必要がある

よく勘違いされやすいのが「試用期間だから時給を低くする」事業者をよく目にしますが、その時の金額が最低賃金を下回ることはできません。例えば最低時給が1,000円の場合、「本契約は1,100円だけど試用期間は1,000円」は適法ですが、「本契約は1,000円だけど試用期間は900円」は違法となりますので、気をつけましょう。また、あまりにも長い試用期間は労働者の権利を不当に制限するため違法となる可能性がありますので、できるだけ3ヶ月以内に設定することが望ましいです。

試用期間の解雇・本契約拒否について

  • 試用期間開始から14日以内なら解雇予告なしで解雇可能(労基法第21条)
  • 14日を超えた場合は「30日前の解雇予告」または「解雇予告手当(30日分の賃金)」が必要
  • 勤務態度が悪い・能力不足を理由に解雇する場合も、十分な証拠や指導履歴が必要

試用期間中だからといって「自由に解雇できる」わけではありません。労働基準法上の「解雇」に該当するため、正当な理由や手順を踏まなければ不当解雇とみなされる可能性があります。また、本契約をしない場合でも、事前にその旨を通知し、適切な指導を行ったかどうかなどを評価される可能性もあります。そのため、解雇する場合は上記の内容に気をつけるようにしましょう。

アルバイト雇用時の手続きについて

アルバイトと契約した時にしないといけない手続きは?

アルバイトを雇う際には、労働基準法や社会保険のルールに基づいた手続きを適切に行う必要があります。 これを怠ると、労働トラブルや行政からの指導を受けるリスクがあるため、必ず確認しましょう。

社会保険・労働保険の加入手続き

アルバイトでも労働時間や雇用形態に応じて、各種保険の加入義務が発生します。

条件 届け出書類 届け出先
労災保険 全労働者 保険関係成立届 労働基準監督署
雇用保険 週20時間以上勤務 &
31日以上の雇用見込み
雇用保険被保険者資格取得届 ハローワーク
社会保険 週20時間以上の勤務 &
月88,000円以上の賃金 &
2ヶ月以上の雇用見込み
健康保険・
厚生年金保険被保険者資格取得届
年金事務所

ただし、未成年や学生など特定の条件を満たすことで社会保険対象外となる場合もあります。これらの手続きを怠ると、後から遡って保険料を支払うことになり(最長2年)、そうなった場合、社会保険の折半などの分をアルバイトから徴収することでトラブルになることもありますので絶対に契約時に説明しておきましょう。また、故意に加入を避けていたと判断されると厚生年金保険法第103条により刑事罰の対象となる可能性もありますので注意しましょう。

給与(税金)の手続き

アルバイトの給与を支払う際には、所得税・住民税・社会保険料の控除が必要になります。

所得税の源泉徴収 給与から所得税を源泉徴収し、毎月税務署へ納付する。その際にアルバイトから「扶養控除等申告書」を提出してもらうことで、税額が変わるので確認しておく。
住民税の特別徴収 給与支払者は、一定の条件を満たす場合、住民税を天引きして納付する義務がある。(ただしアルバイトが条件を満たすことは少ない)
年末調整 アルバイトでも、年末調整の対象になる場合があり、1カ所で働いている場合は、事業者が年末調整を行う必要が出てくる。

上記のように、税金関係の手続きも場合によっては事業者の役目となります。これらの徴収や納付の義務を怠った場合、延滞税・不納付加算税・重加算税・過怠金といった課税が課せられるうえに、故意の滞納と判断されると所得税法第242条や地方税法第330条により刑事罰の対象となるリスクがあります。

アルバイトの所得額や収入先の数などに応じて手続きする内容が変わってくるため、契約時に確認しておくようにしましょう。

雇用の契約や手続きに不安なら

上記のように、アルバイトを雇う際には契約書や労働条件通知書など法務書類を作成したり、税金の手続きをする必要があるため、プロフェッショナルである弁護士や税理士をつけておくことが理想ですが「弁護士費用が高そう」などといった不安もあると思います。そこでおすすめなのが弁護士保険です。月額数千円で加入することができ、法務書類のリーガルチェックを無料でしてもらえたり、万が一、アルバイトとなんらかのトラブルにより訴訟に発展した場合、弁護士を利用した際の相談料や弁護士費用を保険でまかなうことができます。

弁護士保険に入れば各種弁護士費用が補償される

1.リーガルチェックをしてもらえる

雇用契約書や労働条件通知書などのリーガルチェックを付帯サービスにより無料でおこなってもらうことができます。

2.弁護士への電話相談が無料で出来る

弁護士への電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。

3.弁護士費用・裁判費用が補償される

万が一訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。

他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

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