無断駐車への張り紙や罰金は有効? 無断駐車の対策と対応、してはいけないこと。
2024年04月24日 2024年04月24日
あなたの所有する駐車場や敷地に、許可なく他人の車が停められている。そんな無断駐車に頭を悩ませていませんか? 無断駐車は、店舗の駐車場などでは私有地にあたり、警察介入が難しい場面や、自力救済行為にあたるかどうかなど難しい問題があります。更に、店舗の駐車場の場合は駐車場を占領されてしまうことによって、本来利用するべき客が停められる機会損失が生まれてしまいます。しかし、あきらめてしまう前に知っておくべきことがあります。適切な法的対応を行い、効果的な対策を施せば、あなたの土地は必ず守ることができます。本記事では、無断駐車に対する対策から法的対応、やってはいけない意外な行動など詳しく説明します。
目次
私有地での無断駐車の法的見解
私有地への無断駐車を罰する法律はない
公道での駐車に関しては駐車違反に対する罰則は主に道路交通法に規定されていますが、私有地への無断駐車を直接罰するための法律は、日本の法制度上では存在しません。私有地への無断駐車は、その土地の所有者の権利を侵害する行為とされ、所有者は民事訴訟によって無断駐車者に対する損害賠償を求めることが可能ですが、これには時間と費用がかかる上、訴訟を通じて賠償金を取り立てることができるとは限らないため、現実的な解決策とは言えない場合が多いです。
原則として、警察は動かない
公道上の違法駐車については警察が罰則を適用して対応しますが、法の原則における、私有地の問題は個人間で解決することが求められる民事不介入の原則により、警察は介入できません。
「自力救済」禁止の原則
私有地への無断駐車により迷惑をかけられている場合でも、駐車場の所有者が自分で車を動かしたり、タイヤロックをかけたり、車に損害を与えたりすることは、自力救済の行為となり、自分の権利が侵害された場合でも、自分で力を使ってそれを防いだり、権利を回復したりする行為は、法律的に認められていません。もし、そのような行為に値する行為を行ってしまった場合は、自分自身が罰則を科せられる可能性もあるので注意が必要です。
以上の観点から、私有地への無断駐車に対しては、法的に対応するには難しい部分もあり安易に行動できない状態にあります。では、もしそのような状況に陥ってしまった場合はどのような対応が必要なのでしょうか?
無断駐車に罰金請求は有効?
直接罰金を課す権利はないが損害賠償請求は可能
罰金は一般的には法律違反行為に対して国や地方公共団体が課すものですので、無断駐車が所有者に損害を与えた場合は、所有者は損害賠償請求を行うことで、駐車場が無断駐車により利用できなかった時間分の駐車料金や、店舗の売上が減少した分など、損害の証明が可能である範囲にて請求が可能となります。
したがって、駐車場などでよく見る「罰金3万円を申し受けます」のような表示は、無断駐車の防止策として心理的な効果を期待できますが、実際に3万円を無断駐車した人から回収することはできません。
無断駐車をした人に対して損害賠償を請求するには?
- 無断駐車の車両を撮影する
- 車のナンバーから加害者を特定する
- 損害賠償請求を行う(内容証明郵便・支払督促・訴訟)
無断駐車の車両を撮影することで無断駐車が実際に行われたという事実を証明できます、写真は可能であれば、車両の全体像、ナンバープレート、そしてその車があなたの私有地に駐車されている様子をはっきりと映るように撮りましょう。
次に、損害賠償請求をするためには相手の情報が必要です。直接聞ければ簡単ですが、そうでない場合がほとんどです。そのような時は、車のナンバーの情報を使い近くの運輸支局・自動車検査登録事務所へ所有者情報を照会し加害者を特定する必要があります。
加害者が特定できたら、損害賠償請求の手続きです。内容証明郵便を使って、無断駐車が行われた事実、その結果生じた具体的な損害、そしてその損害賠償額を加害者に通知します。加害者が賠償を拒否した場合は、支払督促を行ったり、最終的には訴訟を起こすこともあります。
これらのプロセスは煩雑で時間も費用もかかる場合がありますので、予防策を取ることも非常に重要です。また、罰金という形では直接請求できないように、無断駐車に対して行ってはいけない行為もあります。
無断駐車に対するNG行為
無断駐車に対して逃げられないようにするために色々な方法が考えられますが、権利を侵害した他人に対して、自分で直接手段を講じてこれを回復することは自力救済と呼び法律上の原則論として、禁止されており、違反した場合は違法となり逆に損害賠償を受けるリスクがあります。ここでは、思わずやってしまいそうなNG行為を挙げます。
- 無断でレッカー移動
- タイヤロックで車両の移動を物理的に制限する
- 車両のナンバーを公開する
- 無理な罰金請求
- 車両の出入りをチェーンやバーを設置して物理的に遮断する
- 脅迫的なメッセージ
無断でレッカー移動
無断駐車された他人の財産である車両に対して、自己判断でレッカー車で移動させる行為は、自己救済行為に該当し、それが法律に反すると認定されれば、罰則が適用される可能性があります。また、レッカー移動によって車両が損傷した場合、所有者から損害賠償を請求される可能性もあります。
TIPS 無断駐車をすぐに移動させることは法的にはできない |
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例えば、駐車場が数台しかないような飲食店で、ランチ時になって無断駐車され機会損失を出してしまうからと言っても、無断駐車された車をなんらかの方法で即座に移動させる手段はありません。NG行動でわかるように、自力救済行為は禁止されており、刑法上では住居侵入罪や建造物侵入罪にあたると考え警察に通報したとしても、私有地の駐車場でチェーンなどで利用者を限定しないような場所では、罪に問えない場合もあり。刑法に該当しない場合警察は、民事不介入の原則により対応できない可能性が考えられます。 |
タイヤロックで車両の移動を物理的に制限する
自己救済行為とされ、法的に許されません。また、他人の財産である車両に対する所有権を侵害する可能性があり、車両の所有者から器物損壊罪などに求められる可能性があります。
車両のナンバーを公開する
車のナンバーは個人を特定できる情報(個人情報)に該当するため、無断で公開することはプライバシーの侵害となり、個人情報保護法などに違反する可能性があります。もし無断駐車の車両のナンバーを記録する場合は、それを私的な目的で使うこと(例えば、警察や弁護士など、関連する公的機関に報告する)に留め、特にSNSなどで公にするのは避けるべきです。
過剰な罰金請求
「罰金3万円を申し受けます」など、罰金という形で一律に金額を請求することは、慣行としては存在しますが、その金額が実際の損害額を大幅に超える場合、法的には認められていません。無断駐車に対して罰金を請求する場合は、実際の損害額である店舗の営業を妨げた結果として生じる損害などを証明し、その金額が適切であるかどうかを厳密に考え、それを基に損害賠償を請求することができます。
TIPS 罰金ではなく、「駐車料金1時間1万円(店舗利用者は無料)」という時間貸しの表記は有効? |
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駐車料金という表現に変えたとしても、過剰な金額は訴えられた場合、認められる可能性は低い。相手が納得できればその支払いを受け取ることが可能ですが、納得できずに訴えられた場合は、近隣の駐車場の相場から算出された金額になる可能性があります。また、駐車場を時間貸しとして運用するためには、その料金表示も誰が見てもわかりやすいようにするなどいくつか守るべき規定もあり手間がかかることや、誰でも停められるようにするのは、店舗利用客専用の駐車場として利用したいという思惑からも矛盾する運用になるため、あまりおすすめできる方法ではないかもしれません。 |
車両の出入りをチェーンやバーを設置して物理的に遮断する
駐車場の出入り口にチェーンやバーを設置して出入りを制限したり、違法に駐車した車両を囲んで出ることができないようにしたりする行為は、自力救済行為にあたり違法となります。しかし、駐車場の出入り口にゲートを設置して制御するなど、駐車場の使用を予め制限するような対策は合法的で、無断駐車を防ぐ効果的な方法となることもあります。
脅迫的なメッセージ
「無断駐車を続けると危害を加える」などの脅迫的なメッセージを送ることは、脅迫罪が成立する可能性があります。脅迫は、他人を不安にさせる行為とされ、他人の平穏を侵害する行為と見なされ、具体的な行動がなくても、言葉だけで脅迫となる可能性があります。
無断駐車に対する不満や怒りは理解できますが、あくまで法律やルールを遵守し、また他人の権利を尊重する姿勢が大切です。
無断駐車への対応
- 警告文の貼り付け
- 警察に通報
- 車両・ナンバーを撮影、所有者を特定し、直接注意喚起
- 最終手段は弁護士を通じて訴訟
1.警告文の貼り付け
その車両に対して、無断駐車への注意喚起と、繰り返した場合の可能な対策(例えば損害賠償請求など)の内容を明記した警告文を作成し、車のフロントガラスのワイパーで挟んだりまたは運転席側の窓などの見やすい位置に貼り付け、貼り付けた事実の証拠として、貼り付けた車両の写真を撮り保管しましょう。明確な警告文を貼り付けることで、無断駐車者にその行為が問題であることを認識させ、再度その場所に無断駐車することの抑止力になる可能性があります。注意点として、警告文は、脅迫または侮辱と受け取られないように、丁寧かつ明瞭な文章を心がけましょう。また、貼り付ける際は、車両を傷を付けてしまったり、窓を割ってしまうような、損害を与えることのないように貼り付けることが必要です。
2.警察に通報
警察に通報する行為は、先で述べたように私有地での介入は難しいかもしれませんが、無断駐車の事実を報告することで、問題の公式な記録が残すことができます。例えば、繰り返し無断駐車が行われている場合には、それが一度や二度の事象ではないことを証明するために有用で、後に法的な手続きを考慮した場合に証拠として有効になる可能性があります。
3.車両・ナンバーを撮影、所有者を特定し、直接注意喚起
車両やナンバープレートの写真を撮影し記録することで、所有者を特定する手続きをとることができます。所有者を特定できた場合、直接話し合いが可能になったり、注意喚起をする書面などを送付することも可能です。また、撮影した写真は、警察に通報したときと同様に、無断駐車者が自身の行為を否定する場合や、繰り返し同一車両による無断駐車が行われている状況の具体的な証拠になります。
4.弁護士を通して損害賠償請求や訴訟を行う
無断駐車が繰り返され、他の対策が効果を発揮しない場合、最終手段として弁護士を通じて訴訟を起こすという手段が考えられます。これまでの経緯や写真などの証拠をもって弁護士に相談を行い法的な助言を得ることで、ケースに応じた対応を講じることが可能になります。その後、裁判所に訴えを提出し、無断駐車者に対して損害賠償を請求し、無断駐車者に対する損害賠償命令が出れば、法的に無断駐車者に対して賠償を求めることができるようになります。ただし、訴訟を起こすという行為は時間とコストがかかります。また、訴訟の結果が必ずしも自分の望む形であるとは限らないというリスクもあります。そのため、訴訟を起こす前には、弁護士との十分な相談と、自身の状況をしっかりと考慮することが重要です。
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TIPS 月極駐車場の場合によくある対応 |
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月極駐車場の場合はまず、管理会社へ連絡することをおすすめします。無断駐車と断定して悪質なものばかりではなく、月極駐車場の場合、単純に停める場所を間違えている可能性もあるからです。連絡する場合は、車の車種、色、ナンバーなどの特徴を控えて管理会社へ連絡しましょう。以外と簡単に解決する可能性もあります。 |
無断駐車への対策
- 三角コーン・コーンバーを置く
- 看板の設置
- 防犯カメラの設置
三角コーン・コーンバーを置く
ホームセンターなどで販売している三角コーンやコーンバーを駐車スペースに設置することで、駐車場へのアクセスを物理的に制限したり、物理的に防ぐことは、無断で駐車することを困難にし、無断駐車者を抑止することが可能です。
看板の設置
「駐車禁止」「私有地」「無断駐車は罰金を科す」などの看板を目立つように置くことは、ドライバーに対する警告と抑止効果を期待できます。また、看板は移動が難しく、耐久性があるので、一度設置すれば長期間にわたり効果を発揮します。
防犯カメラの設置
防犯カメラは二つの効果が期待できます。一つは、防犯カメラが設置されていることを明示することによる、抑止効果。もう一つは、対策より対応するときに有効な手段ですが、万が一無断駐車が発生した場合に車両やナンバープレートを特定する証拠として非常に有力です。ただし、防犯カメラの購入や、設置、メンテナンスには一定の費用が発生したり、設置する場所によっては許可が必要になる場合があるので、費用対効果などをよく検討して設置する必要があります。
無断駐車の張り紙の例文
迷惑駐車に対する注意文の作成に際しては、違法駐車であることをはっきりと示し、車両の特徴(色、型番等)、日時、場所などを具体的に記述します。注意文は読みやすく、短く、明瞭であるべきで、手書きで書くと感情がこもりやすくなる為、そもそも読めないなどのトラブルを避けるためにも、手書きよりも印刷された文字が適切です。
店舗などの駐車場の場合
無断駐車禁止!
〇〇〇〇年〇月〇日 〇〇:〇〇
車両ナンバー:××○○○ ▲ ○○―○○
当該敷地は、当店舗の私有地であり不法に当該敷地を占拠しています。
当駐車場は、当店をご利用いただくお客様のためのものであり
無断での駐車は他のお客様に迷惑がかかります。
速やかに移動しない場合には、
不法行為責任に基づく損害賠償などの対応を検討させていただきます。店舗名
自宅や会社などの敷地内
無断駐車禁止!
〇〇〇〇年〇月〇日 〇〇:〇〇
車両ナンバー:××○○○ ▲ ○○―○○
ここは私(または私たちの会社)の所有地であり、個人(または業務)のために使用しています。
無断での駐車は、私たちの日常生活(または業務)に大きな影響を与えています。
速やかに移動しない場合には、
不法行為責任に基づく損害賠償などの対応を検討させていただきます。
ネットで買える無断駐車対策グッズ
無断駐車対策のためのアイテムは、オンラインで様々な種類が購入できます。いくつかの代表的な商品を以下に示します。
駐車禁止ステッカー
このステッカーは、本物の駐車違反切符にそっくりに作られており、鮮やかな色でデザインされ、大きな文字で「駐車禁止」や「私有地」、「無断駐車は許可されません」などの見たらドキッとするようなメッセージが表示されています。
駐車禁止ボードや看板
大きめの看板で、駐車禁止と書かれているもの、大きさやタイプが様々あるため設置するスペースなどある程度自由に設置できる。
三角コーンやコーンバー
コーン自体に駐車禁止などの文字が入っているものもあり、コーン自体に高い視認性があったり、侵入を防ぐための障壁として、無断駐車を防ぐのに有用な道具です。
駐車禁止アーチスタンド
三角コーンと同じような効果が期待できますが、様々なデザインがあるため、自宅、店舗の雰囲気を考えて、設置することが可能です。
弁護士保険なら弁護士に相談できる
店舗駐車場への無断駐車の問題は私有地問題が絡み、下手に独自の手段で対応してしまうと、自己救済の原則にかかり、逆に訴えられてしまうという事態が発生してしまうリスクがあります。あらゆるケースに法的にも適切に対応するには、知識が必要な場合があります。そこで役立つのが弁護士保険です。弁護士保険を利用すると、必要なときにいつでも弁護士に相談でき、法的なアドバイスを得ることができます。
弁護士保険に入るメリット
1.トラブルに発展する前に予防できる
弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることでトラブルに発展する前の抑止力となります。
2.弁護士への電話相談が無料で出来る
弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。
3.弁護士費用・裁判費用が補償される
それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。
他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。
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