不動産オーナーが知っておきたい立ち退きに関して知っておきたい判例3選とそこから導き出される反省

不動産オーナーであれば、家賃未払いや建て替え、それに伴う立ち退きに関して、頭をよぎったり、悩ませたりしたことがあるのではないでしょうか。今回は、立ち退きに関して、知っておきたい判例を3つピックアップしてみました。

立ち退きに伴い、借主に転居を依頼。その後、転居先の契約期間満了に伴い、建物明渡を請求したが棄却されてしまった?

事案の要約
・貸主が建物老朽化を理由に立退き交渉を行い、隣接する貸主所有の建物に転居してもらった。
・その際に、期間3 年の定期建物賃貸借契約を交わした。
・その後、借主に対し契約期間満了による建物明渡しを求めた。

判例の要約
・請求が棄却された。理由は、「移転後の新しい契約が借地借家法38条所定の厳格な書面を具備していないこと」。

判例のポイント
・「引き渡し業者が契約説明を代行したとされていたが、引き渡し業者は、説明書作成を代行しただけという認識になっている」「賃貸借契約が定期建物賃貸借になっていることを説明したのが、本人ではなく、本人の娘」といった点が認められ、書類が正当なプロセスによって作成されていない=書類の厳格性を具備していないとされた。

判例詳細:東京地判 平26・11・20 ウエストロージャパン https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/100-136.pdf

住居を貸す際には、厳格なプロセスが求められることが示唆されています。どんなに面倒だとしても、「法律的に正しい権限がある方」「法律的に正しいプロセス」「法律的に正当な書類」ということを拘りましょう。

仲介業者に立ち退き交渉をしてもらった結果、仲介業者にその権限はなかった?

事案の要約

・不動産売買を営む、ビル・土地の所有権を取得し、建て替えを実施使用と検討。
・74名の賃借人を立ち退きしてもらうのに際し、土地家屋の売買業等を営む法人に立ち退き交渉を委託。

判例の要約

・土地家屋の売買業等を営む法人は、それらの行為が、「その他一般の法律事件」に当たるものとして認識していなかったが、結果としては、弁護士又は弁護士法人で ないものが、報酬を得る目的で、訴訟事件の ほか「その他一般の法律事件」に関して法律 事務を取り扱かったとされた。

判例のポイント

・不動産売買を営む、ビル・土地の所有権を取得し、建て替えを実施使用と検討。74名の賃借人を立ち退きしてもらうのに際し、土地家屋の売買業等を営む法人に立ち退き交渉を委託。土地家屋の売買業等を営む法人は、それらの行為が、「その他一般の法律事件」に当たるものとして認識していなかったが、結果としては、弁護士又は弁護士法人で ないものが、報酬を得る目的で、訴訟事件の ほか「その他一般の法律事件」に関して法律 事務を取り扱かったとされた。

判例詳細:最高裁 平22・7・20 判時2093-161 https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/81-102.pdf

立ち退き交渉を外部に委託する際には、その行為を弁護士に委託した方がいいのか?そうでないのかを慎重に見極める必要があることを示唆しています。こちらも、先の事例と同様に、「法律的に正しい権限がある方」

※またこのようなケースは他にも事例があります。参考までに、以下をご覧くださいませ。


大阪高判 平28・10・4 判例タイムズ1434‐101
https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/107-106.pdf

そこに正当事由はあるか?
立ち退き請求に、「耐震性」が考慮された事例

事案の要約

・不動産オーナーが耐震性に問題のある賃貸中の建物を取り壊し、分譲マンションを建築することを理由とした賃貸借契約の解約申入れを実施

・賃貸借契約の申し入れを貰っていた歯科医院は、この不動産オーナーの2代前のオーナーと契約を締結しており、不動産オーナーが3回変更になっている中で、行われた稀有な事例ではある

判例の要約

・不動産オーナーが耐震性に問題がある物件を立て直そうとすることは不合理な行動ではない。明け渡しを要請するのは、合理的な行動である

・更に、立ち退き料に対しては、主位的に提示している。

判例のポイント

・耐震性のある建物を立て直すということに合理性が認められた。
・その際にも、勿論、立退き料は必要である

詳細は、東京地判 平25・1・25 判時2184-57 https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/91-080.pdf

不動産オーナーが3回変更になっている中で、最終的な不動産オーナーが耐震診断により明確になった、「地震の震動及び 衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性 がある」を考慮した分譲用マンションを構築するという計画に合理性が認められた。結果として、立ち退き料の支払いを持って、不動産オーナーの計画が推進されることになった。

立ち退き交渉を検討される方が知っておきたいキーワード:正当事由、正当なプロセス(弁護士法72条)、厳格な書面

立ち退き交渉は、法律が絡む行為と言えます。その為、以下のキーワードを覚えておくことがお奨めです!また判断に迷うことがあった場合には、弁護士に相談をすることが有効な手段です。

■正当事由

土地・建物の賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶したり、解約の申し入れをする際に必要とされる「事由」をいう。 .判例を受けて、現在の借地借家法では、正当事由は、貸主・借主が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などを考慮して判断するとしている。

■弁護士法72条

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。


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