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退職代行を使われたら即日解雇できる?会社側が損をしないための正しい対応とNG行動

2026年02月16日 2026年02月16日

雇用・労働・従業員
退職代行を使われたら即日解雇できる?会社側が損をしないための正しい対応とNG行動

退職代行サービスを通じて、ある日突然「本日をもって退職します」と通知が届く

近年、多くの企業がこのような事態に直面しています。連絡もなく出社しない、貸与物が返却されない、業務引継ぎが行われないなど、会社側にとっては戸惑いと不安の連続でしょう。中には「無断欠勤だから即日解雇できるのでは?」「損害賠償を請求できるのでは?」と考える経営者や人事担当者も少なくありません。しかし、対応を誤ると、思わぬ法的トラブルへ発展するリスクがあります。本記事では、退職代行を利用された際に会社が取るべき正しい対応と、絶対に避けるべきNG行動を、実務目線でわかりやすく解説します。

退職代行とは何か?企業側が理解すべき基本知識

近年、企業実務において無視できない存在となった「退職代行サービス」。しかし、企業側ではいまだに誤解が多く、対応を誤る原因になっています。まずは冷静に、その実態と法的性質を整理する必要があります。

退職代行サービスの基本的な仕組み

退職代行とは、労働者本人に代わって退職の意思を会社へ伝達するサービス を指します。ここで重要なのは、退職代行業者が行っている行為の本質です。多くのケースでは、

  • 「退職の意思を伝える」
  • 「出社しない旨を伝える」
  • 「連絡窓口になる」

といった 意思の伝達行為(使者的行為) に留まります。法律的には比較的シンプルな行為であり、必ずしも特殊な制度ではありません。

「退職代行=違法サービス」ではない

企業担当者の中には、退職代行という言葉を聞くとまっさきに「違法ではないか」「逮捕されたケースがある」といった印象を持つ方が少なくありません。確かに、退職代行を巡って警察が捜査に入った事例も発生していますが、ここには重要なポイントがあります。

まず結論から言うと、退職代行サービスそのものがすべて違法というわけではありません。その本質は、労働者本人の「退職の意思」を会社に伝える行為であり、この伝達行為そのものは法的に認められています。たとえば家族や代理人が本人の意思を伝えるのと同じであり、資格や法律知識が必要なものではない場合は違法性には当たりません。

「モームリ」事件が示した非弁行為リスク

しかし2025〜2026年には、退職代行業界でも大きなニュースが起きました。退職代行サービス大手として知られていた「モームリ」を運営する会社の代表とその妻が、弁護士法違反(非弁行為・非弁提携)の疑いで警視庁に逮捕された事件が報じられたのです。

モームリ運営会社の代表らは、弁護士資格を持たないにもかかわらず、利用者を弁護士に紹介し、報酬(紹介料)を受け取った疑いで逮捕されました。警視庁は、退職代行業務が「退職の意志の伝達に留まらず、法律的な交渉や処理を仲介する行為」に踏み込んでいた可能性を重視しています。非弁行為とは、弁護士資格のない者が報酬を得る目的で法律事務を行ったり、法律事務をあっせんしたりする行為で、弁護士法によって禁止されています。

この事例は退職代行サービス全体が違法であることを意味するものではなく、どこで線を引くべきかという法的境界線を再確認する契機となりました。

退職代行が違法になる可能性は以下のようなケースです。

  • 有給休暇・退職金・解雇日・条件交渉など法律的な交渉行為
  • 弁護士資格のない者が法律相談・代理交渉を行うこと
  • 弁護士を報酬を得て紹介・あっせんする行為

法律事務処理や弁護士紹介を含む場合には、非弁行為として弁護士法違反となる可能性があり、モームリの事例はまさにこの点が問題視されたものです。

企業側が持つべき法的理解

退職代行における法律リスクは、企業が対応する際にも重要です。退職代行からの連絡を受けた時に、「これは違法だから相手にする必要がない」と判断するのではなく、

✔ その連絡内容が単なる「意思表示」なのか
✔ 法律的な交渉や条件調整が含まれているか

をしっかり見極めることが大切です。そして、もし退職代行側が交渉権限を持っていない可能性がある場合は、必ず本人との直接確認や書面の提出を求めるなど、誤解や紛争を避けるための措置を取るべきです。

なぜ退職代行が増えているのか

退職代行サービスの急増は一時的な流行ではなく、労働環境・雇用意識・リスク回避行動の変化を背景とした構造的な現象です。企業側が適切に対応するためには、まずこの変化を正しく理解する必要があります。

①若年層を中心とした「直接交渉回避」傾向

現在の退職代行利用者の多くは若年層とされます。この世代に共通する特徴として、次のような心理的傾向が指摘されています。

  • 上司との対立を極度に避ける
  • 退職の意思を伝えること自体への強いストレス
  • 感情的圧力・引き留めへの恐怖

企業側から見ると「なぜ一言言えないのか」と映るかもしれませんが、労働者側では「揉めるくらいなら第三者を介したい」という合理的なリスク回避行動として選択されているケースが増えています。

②企業と従業員の力関係の変化

かつては終身雇用意識が強く、「辞めにくい」構造が一般的でした。しかし現在は状況が大きく異なります。

  • 転職市場の活性化
  • 人手不足の常態化
  • 雇用の流動化

これにより、労働者側の心理は「無理に我慢する必要はない」「嫌ならすぐ辞める」へとシフトしています。退職代行はこの変化を象徴する存在と言えます。

③SNS・口コミによる心理的ハードルの低下

退職代行は以前から存在していましたが、爆発的に広がった要因の一つが SNS・動画メディアの影響 です。

  • 「簡単に辞められた」
  • 「一度も会社と話さず退職できた」

といった体験談が拡散され「利用への抵抗感が急速に低下」しました。企業側からすれば想定外のスピードで普及が進んだ理由の一つです。

退職代行利用による企業へのリスク

退職代行サービスの普及は、企業実務において無視できない経営リスクの一つとなりつつあります。問題は単なる退職手続きの簡略化ではなく、業務運営・法的責任・組織管理の各側面に波及する点にあります。ここでは企業側が特に認識すべき主要リスクを整理します。

①突発的な出社停止による業務継続リスク

退職代行利用の最大の特徴は「予兆の乏しさ」です。事前相談や引継ぎ交渉が行われないまま、ある日突然出社が停止されるケースが少なくなく、次のような問題が発生します。

  • 担当業務の即時空白
  • 顧客対応・案件進行の停滞
  • 属人業務の停止
  • 緊急の人員配置変更

特に中小企業や専門職、管理部門、技術職では、業務停止・信用低下・損害発生といった実害へ直結する可能性があります。

②管理職の感情的対応による法的紛争リスク

退職代行からの通知は、現場責任者や上長の感情的反応を誘発しやすい性質があります。

  • 「本人が連絡しないのは無責任だ」
  • 「常識外れだ」

しかしこの感情主導の対応は極めて危険であり、退職を希望しただけであるため基本的な法的正当性は向こうにあります。このような感情的な対応をすることは不当労働行為主張・ハラスメント主張・訴訟リスクに発展する可能性をはらんでいるため、退職代行案件は感情処理ではなく、法務・労務管理案件として扱う必要があります。

③解雇・懲戒処理の誤判断リスク

企業側で非常に多い誤解が、「退職代行=無断欠勤」「出社しない=即時解雇可能」という短絡的判断です。しかし実務上は以下を慎重に検討する必要があります。

  • 退職意思表示が既に成立している可能性
  • 解雇要件との整合性
  • 懲戒権濫用リスク

誤った処理を行った場合、解雇無効、不当解雇紛争、損害賠償請求といった重大な法的トラブルを招く危険があります。

④貸与物・情報管理に関する実務リスク

退職代行利用では、従業員本人との直接接触が困難になるため以下のようなリスクが顕在化しやすくなります。

  • PC・携帯電話・制服等の未返却
  • アカウント・機密情報の管理不備
  • 業務データの所在不明

これらは単なる備品問題ではなく、情報漏えい・不正利用・セキュリティ事故へ発展する潜在リスクを含み、組織の信頼性にも影響を及ぼす可能性があります。

退職代行から判明する企業の潜在リスク

退職代行の利用は、必ずしも偶発的事象とは限りません。繰り返し発生する企業では、しばしば次の構造的問題が存在します。

  • 職場の心理的安全性欠如
  • 上司部下間のコミュニケーション断絶
  • ハラスメント環境
  • 労務管理不信

このように退職代行の利用は組織リスクのシグナルとして捉えるべき側面もあります。退職代行は今後も一定数発生することが予測されます。重要なのは「どう防ぐか」だけではなく、発生を前提とした対応設計が求められるでしょう。

退職代行から連絡が来たら?

退職代行業者から突然連絡を受けた場合、企業側では戸惑いや警戒心が先行しがちです。しかし、この場面での対応は感情的にではなく法的・実務的処理が求められます。初動を誤ると、不要な労務紛争や法的リスクを招くため、まずは基本的な考え方を整理します。

まず大前提として退職の意思表示は、必ずしも本人が直接行う必要はありません

  • 本人の真意であること
  • 内容が明確であること

が認められれば、本人から退職の意思を伝えられなくても法的効力が認められる可能性が高いです。「本人からの連絡ではない」という理由だけで拒絶するのはリスクが高い対応です。

「代理人」なのか「使者」なのかを区別する

実務上重要なのがこの視点です。退職代行業者の多くは法律代理人ではなく「使者」として機能しています。つまり「退職の意思を伝える連絡窓口」という範囲であれば問題がない一方で、「条件交渉や法律判断を伴う主張」を行う場合は非弁行為問題が発生します。企業側は対話をしながら、この違いを冷静に見極める必要があります。

会社側が最初に行うべき確認事項

退職代行から連絡が来た際、まず確認すべきは次のポイントです。

  • 退職代行者の氏名・所属確認
  • 退職希望者の氏名・所属・在籍確認
  • 退職意思の明確性
  • 退職希望日(即日か、将来日か)
  • 連絡手段・証拠性(書面・メール推奨)

特に重要なのは2番目の「退職意思が本人の真意であるか」という点です。突然代理人から「◯◯さんが辞めたいと言っている」と言われても、それが真実なのかどうかを確認しなければなりません。

退職代行を利用している状況では、企業側がまず理解すべき現実があります。それは、本人が会社との直接接触を強く忌避している可能性が極めて高いという点です。にもかかわらず「電話をかける」「出社を求める」「面談を要請する」といったアプローチを取ることは、かえって紛争リスクを高める行為になり得るため、「本人意思確認」は、一般的な確認作業とは異なる配慮が必要になります。

本人との直接連絡は絶対に強要しない

企業側では「本人確認は必須ではないか」という疑問が生じますが、ここで重要なのは 確認の目的 です。本人確認の目的は「退職意思の真実性」であり、重要なのは法的紛争の予防であり、退職を阻止することではありません。

退職代行を通じて連絡があった場合、企業側の合理的な対応は「本人との接触を強要しない」「確認手続を間接化する」という姿勢になります。たとえば「本人署名の退職届の提出を「退職代行経由」で依頼する」「郵送書面・メールでのみ確認を要請する」意思を伝えるのがベストと言えます。

前提条件を設けたうえでの交渉をする

とはいえ、本人と連絡が取れないことにはスムーズな退職手続きがしづらいのも事実です。そのため、退職代行者を通じて段階的な交渉をしてみるのがいいでしょう。まずは前提として「絶対に退職を引き止める説得は行わない」「あくまでも退職に必要な情報の伝達が目的」といった、退職代行利用者の心理的なハードルが下がる条件を提示したうえで直接連絡することが可能かを代行者に聞いてもらうのがいいでしょう。

もしそれでも無理だった場合は、仕方ないので前述のとおり、代行者を利用した連絡、または書面やメールのみでの連絡にとどめましょう。ただし、メールなどの連絡はあくまでも形式的な連絡のみにとどめるように気をつけてください。

貸与物未返却・業務引継ぎ・損害が発生した場合

退職代行を利用した退職では、企業側が現実に直面する問題はある程度パターン化されています。特に頻発するのが、①貸与物の未返却、②業務引継ぎの未実施、③損害発生時の対応判断です。重要なのは、これらを「不誠実な行為」として感情的に処理するのではなく、企業リスク管理の問題として処理することです。

退職代行案件では、従業員本人との直接交渉が困難であるという特殊事情を前提に、通常とは異なる実務対応が求められます。

貸与物未返却問題の実務的な扱い

  • ノートPCやタブレットなどの端末
  • 社用携帯
  • 制服・備品
  • IDカード・セキュリティキー
  • 社用車用の鍵
  • 業務上の書類
  • 各種アカウント情報

上記のような貸与物が返却されないケースは非常に多く見られます。企業としては「返却義務違反」と評価したくなる場面ですが、実務上は慎重な対応が求められます。

貸与物は会社所有物であり返却義務があることは原則として争いがありません。しかし、未返却の事実だけで直ちに損害賠償や刑事責任を問えるわけではありません。特に注意すべきなのは、給与との相殺処理や強硬な法的主張です。賃金相殺には厳しい制限があり、乱暴な処理は企業側の違法行為と評価される危険があります。

退職代行案件では、対立的回収ではなく、非対面での返却ルート提示と記録を残した請求が現実的かつ安全な対応となります。物理的回収よりも先に、システム権限やアカウントの停止など情報セキュリティ対応を優先する視点が重要です。

①システム・情報アクセスの停止

退職代行案件では物理資産より情報資産の方が重大リスクです。PCや携帯電話の回収を待つのではなく、アカウント、VPN、クラウド、社内システム等の権限を即時停止しましょう。ただし、メールなどすべての処理が終わるまで利用するための連絡手段はなにかしら残すようにしましょう。

②非対面返却ルートの提示

「返しに来い」は紛争誘発行為です。本人が会社と接触したくない状態であることを前提に、郵送・宅配・回収キット等の方法を事務的に提示します。その際に、「返却対象物」「返却方法」「期限」を明確化した書面またはメールで通知します。

貸与物の返却に応じない場合

貸与物が返却されない場合、企業側が取るべき行動は「様子見」でも「感情的圧力」でもありません。法的に整理された手順で権利行使へ移行するかどうかの判断が必要になります。重要なのは貸与物は会社の財産であり、返還請求権は明確な法的権利ということです。

  • 貸与の事実(規程・誓約書・証拠)
  • 返還義務の根拠
  • 故意性・悪質性の有無

上記のように、貸与したという事実の証拠、返還義務があることの証拠、返還請求したにも関わらず応じない証拠があれば十分に条件を満たしていると言えるでしょう。

内容証明郵便による正式請求

企業実務として極めて合理的な初動手段として内容証明郵便があげられます。「返還義務の法的明示」「期限設定」「遅延責任の警告」を記載したうえで、請求しましょう。この際に、内容を弁護士に相談しつつ、弁護士の名義で請求するとより確実で効果の高い請求にすることができます。

民事訴訟・支払請求の検討

それでも返還に応じてもらえない場合は、訴訟手続きに移行することになります。ただしPCなどの高額資産や営業秘密や情報漏洩のリスクなどから訴訟コストが見合うかをトータル的に判断する必要が出てきます。

TIPS 未払給料との相殺はNG
法的措置が正当であることと、違法対応が許されることは全く別問題です。特に、訴訟コストが合わないからといって、勝手に「未返却のPC代金を未払給料から差し引いた」などは違法行為として判断される可能性があります。

業務引継ぎに対する考え方

従業員は雇用契約に基づき、在職中は誠実義務・信義則上の義務を負います。通常、円滑な業務運営の観点から、退職時に一定の引継ぎ協力が期待されること自体は合理的です。しかし、ここで誤解が生じやすい重要なポイントが「業務引継ぎは法律上の絶対義務として明文化されているわけではない」という点です。引継ぎ不履行を直ちに違法行為や損害賠償へ直結させるには、慎重な検討が必要になります。

① 引継ぎ依頼を正式に行う

退職代行経由であっても、業務上必要な範囲での引継ぎ協力依頼は正当な企業行動です。内容証明などで「対象業務の特定」「必要資料・情報の限定」「非対面対応の提示」などを記述したうえで依頼をしましょう。絶対にNGなどのはただメールなどで「仕事を引き継いでもらわないと困る!」といった、過剰な対応です。あくまでも揉めないように冷静な依頼をするようにしてください。

②引き継ぎ協力を得られない場合

法的要求・依頼・確認を尽くしてもなお協力が得られない場合、企業側は業務復元戦略へ移行するのが合理的です。というのも、引き継ぎ自体が労務提供行為の一部と評価されるため、法的な強制効果がほぼ存在しません。

  1. 退職者のチャットやメールのログなどから業務状況の復元
  2. 取引先などへの連絡から状況の確認
  3. 退職者の業務ファイルなどから業務状況の復元

上記のように、「引き継ぎの強制」ではなく「業務状況の復元」にシフトし、被害を最小限に食い止めるようにするのが現実的です。

損害賠償に対する考え方

日本の裁判実務では、単なる退職そのものを理由とする損害賠償請求は原則として極めて困難というのが基本構造です。なぜなら、退職は労働者の権利であり、企業運営上の不利益は原則として企業側の経営リスクと評価されるからです。

しかし、すべてのケースで請求が不可能なわけではありません。争点になり得るのは一定の類型に限られます。

  1. 明確な契約違反が存在する場合
  2. 故意性・悪質性が強い場合
  3. 特殊業務・代替困難性がある場合

上記のように、明確に契約書・就業規則などに反している場合や、管理職や専門職者が「いきなり抜けたら確実に会社に損害が出る」と予見できるにも関わらず突然の退職などを行った場合は損害賠償請求ができる可能性もあります。しかし、損害の立証・因果関係・具体額が最大の壁であり、それらを立証するためには以下の4点が争点となってきます。

  1. 義務違反の存在
  2. 損害の予見可能性
  3. 損害との因果関係
  4. 損害額の立証

突然退職で損害問題が生じた場合、企業が最初に考えるべきは請求できるかではなく、請求を構成できるかです。これらの判断は企業単独では極めて難しいうえに、最終的に訴訟に発展させる場合、弁護士が必要となるため早々な相談が不可欠と言えるでしょう。

退職代行利用による突然の退職の予防

退職代行の利用は、企業側から見れば「突然の離脱」という形で顕在化します。しかし実務的に見れば、完全な予測不能事象であることはむしろ稀であり、多くのケースには共通する前兆・構造的要因が存在します。重要なのは、「退職代行を防ぐ」のではなく「退職代行が必要になる状況を減らす」という発想です。

なぜ退職代行が選択されるのかを冷静に分析する

退職代行利用の背景には、単なる利便性だけではなく、企業との直接接触を避けたいという強い心理が存在します。実務上よく見られる要因は次のようなものです。

  • 上司への退職申出が困難
  • 強い引き留め文化
  • ハラスメント環境
  • 相談経路の欠如

つまり退職代行はしばしば、職場内コミュニケーション不全の結果として現れます。これらは偶発問題ではなく管理設計問題です。予防において特に効果が高いのは次の領域になります。

① 退職申出ルートの複線化

多くの企業では、退職申出の窓口が実質的に「直属上司のみ」になっています。これは非常に危険な設計です。心理的障壁を下げるためには人事部など専用相談窓口やメールでの申請ルートなど「退職を考えていることを言い出しやすい」状況を作ることが重要です。

②引き留めルールの明文化

現場で頻発する問題が「善意の説得」が圧力化する問題です。そのため、退職の相談をされた場合はまず他の管理職・上長などと退職希望者がいることを共有したうえで以下のようなルールを設けたほうがいいでしょう。

  • 引き留め期間の制限
  • 面談回数の上限
  • 禁止発言

退職代行は「辞めさせてもらえない恐怖」から生まれるケースが多いのが実態です。無理な説得により退職代行を使われるくらいなら、双方合意の方が引き継ぎなど後々のリスクが減らすことができます。

③日頃からの相談窓口

退職理由には人間関係、給与、業務負担などそれぞれ理由があります。これらは日頃から心理的負担なく相談をすることのできる人間関係や社内システムが構築されていれば、予見することができるうえに、相手の退職理由を解消することができる可能性があります。

・実家の親が倒れて帰らなければならなくなった → リモートシステムを構築して実家からも業務ができる体制を整える
・同業の方が給与が高い → 賃金テーブルの見直し・評価制度の透明化・市場水準の説明
・人間関係がストレス → 本人、またはストレスとなる対象者の配置転換

このように「企業は相談すれば対応してくれる」という姿勢を見せることで、当人だけでなく他の従業員も「まずは相談してみよう」と心理的ハードルが下がり、退職希望者を減らすことができるでしょう。

トラブルに備えていつでも弁護士に相談できる体制を

このように、突然の退職には法的な知識、トラブルの可能性を秘めており、法律の専門家である弁護士に相談するのがベターです。しかし、弁護士に相談したことのない方からすると、弁護士探しや費用、相談の仕方など不安なことも多いと思います。そこで当サイトがオススメしているのが弁護士保険です。弁護士保険は月額数千円で弁護士への相談費用や、訴訟に発展した場合の弁護士費用などが補償されるため、気兼ねなく弁護士に相談できるようになります。

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