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【弁護士監修】外国人お断りは違法? インバウンドブームに潜む外国人旅行客とのトラブルと対策

2024年06月05日 2024年06月05日

顧客トラブル
【弁護士監修】外国人お断りは違法? インバウンドブームに潜む外国人旅行客とのトラブルと対策

コロナ問題の収束とともに、記録的な円安が進んでいるのもあり海外からの旅行客、いわゆるインバウンドブームが訪れています。しかし、それと伴い表面化されてきた外国人旅行客とのトラブル。今回はそんなトラブルに対しての対策を解説していきます。

この記事の監修弁護士

新橋虎ノ門法律事務所

武山茂樹 弁護士

インバウンドとは

インバウンド(Inbound)とは、外国人が自国を訪れる旅行のことで日本へのインバウンドを日本語にすると訪日旅行のことを指します。逆に日本人が外国へ旅行することをアウトバウンド(Outbound)といいます。

インバウンド需要が高まっている理由

2023年10月を契機にコロナウイルスの水際対策として施行されていた旅行制限が解消され、2020年を機に落ち込んだ需要が回復しました。さらに1990年以来34年ぶりとなる1ドル=160円という記録的な円安や海外の給与水準の増加により日本への旅行のお得感が高まった結果、インバウンド需要が爆発的に伸びています。

アメリカの平均時給は約5,000円
米雇用統計によるとアメリカで2024年1月時点の平均時給は$34.55となりこれは$1=155円で日本円に換算すると約5355円となります。それに比例してアメリカの物価も高騰しており、卵が1パック約$6(約950円)と高額です。しかし、アメリカで稼いだお金で日本旅行をすることで、円安と物価安のため、豪遊することができるのです。

インバウンド増加のメリット

  • 海外客の消費支出による経済効果
  • 地方活性化につながる

インバウンドが増加することの最大のメリットは経済効果です。日本では少子高齢化、不景気、物価上昇などで消費が減少傾向にあります。しかし、インバウンドで訪日する外国人は中国人富裕層やアメリカ人など、経済的に余裕があり消費支出が多いため高い経済効果が見込めます。

また、地方の自然などの観光地や歴史的建造物、温泉などを目当てに訪日する観光客も多いです。観光客が多くなると地方経済がうるおい、それが雇用の創生に繋がり、人口流出により衰退しがちな地方の活性化にも繋がっています。

インバウンド増加による問題点と対策

ここまでメリットを解説してきましたが、インバウンドの増加はいいことばかりではありません。以下のような問題を抱えています。

文化や慣習の違いによるマナーの相違

  • 電車内で騒ぐ・飲食をする
  • 行列に割り込む
  • 撮影禁止や接触禁止を守らない
  • トイレにトイレットペーパー以外を流す
  • 宗教・思想の不一致
  • 旅室の備品を持ち帰る など

並びの列や飲食店での作法、公共交通機関や温泉の入り方などさまざまなシーンでマナー違反によるトラブルが急増しています。この原因は国によって文化が異なるため、そもそもマナー違反だと思ってない場合も多く、価値観の違いによるものがほとんどです。事前にマナーを調べてきてくれる訪日外国人もいますが、全員がそうではありません。各国語を用いた張り紙などを貼るようにして啓発するように努めましょう。

また、国や自治体がそれぞれマナー啓発をしている動画やPDFなども公開されているので、それらを利用するのもおすすめです。

外国語によるコミュニケーション難

英語だけならまだいいかもしれませんが、訪日外国人の6割は韓国・中国・台湾・香港が占めています。そのため、韓国語や中国語によるコミュニケーションが必要なシーンも多く、そういった対応によって仕事が滞ったり、客を捌けなくなったりするなどのトラブルに発展しがちです。各国語が話せるスタッフを用意するのがベストですが、難しい場合は音声翻訳アプリやツールなどを使うのもひとつの手です。

オーバーツーリズムによる各地の混雑

オーバーツーリズムとは特定の観光地において観光客がキャパシティを超えるほど急増し、地域住民の生活や自然環境などに負の影響をもたらすことです。具体的には道路の混雑・渋滞、ゴミの増加、公共交通機関の定員超過などで、国や自治体が予約システムの工夫や輸送力の増強、道路整備などによって対策をしていますが、まだまだ解決には至ってないのが現状です。

訪日外国人に合わせた物価の高騰

訪日外国人の多い地域や観光地では、訪日外国人に合わせた値段設定に変更しているお店も増加しています。中でも豊洲では海鮮丼が5,000円〜20,000円という強気の値段にしている店舗も現れ「インバウン丼」という言葉も生まれました。値段を外国人向けに高価に設定すること自体は経営判断ですし、実際に需要があるわけですから商売としては責められる点はありません。しかし、地元の日本人や日本人観光客がそのような店舗を利用しづらくなるというデメリットがあります。また、すべての人が理解してくれるわけではなく「あそこの店はお金にがめつい」といった悪印象を持たれてしまう可能性があります。

「外国人お断り」で炎上。外国人の入店拒否は違法なのか。

外国人のマナートラブルやコミュニケーション難などの問題により「外国人お断り」のお店も急増していますが、たびたびネットやSNSで炎上している様子が目立ちます。果たして外国人の入店拒否は違法なのでしょうか?

マナー違反やコミュニケーション難が理由なら違法ではない

前述のようにマナー違反やコミュニケーションが難しいなどが理由の場合、入店拒否することが可能です。これは大声で騒がれるなど他の客の迷惑になったり、コミュニケーション難により満足の行く接客ができない、人員を割かれ営業の妨げになるなどを防止するための措置だからです。日本での公用語は日本語のため、日本語以外で対応しなければいけないという義務はありません

人種や国籍を理由にした入店拒否は違法

入店拒否が違法になるケース、それは「不合理な差別」が理由となっている場合です。人種や国籍、皮膚の色、民族などを理由として入店拒否をした場合、人種差別や人権侵害に当たる可能性があります。日本は人種差別撤廃条約に加入しており、また日本国憲法14条1項で人種差別を禁止しています。これらに違反した場合、損害賠償の対象となる可能性があります。

そのため「◯◯人お断り」だけだと差別と受け取られかねず法的責任の追及や炎上の恐れがあります。必ず「◯◯語が出来るスタッフがいないため、日本語を話せない◯◯人はお断り」など理由を明確に記載するようにしましょう。

入店拒否については以下の記事に詳しく記載していますので合わせてお読みください。

訪日外国人とのトラブルの予防策

WebサイトやSNSで事前に告知をしておく

基本的に訪日外国人はWebサイトやSNSを検索して来店することが多いです。そのため、WebサイトやSNSの目立つ場所に外国人に向けたお願いを多言語で記載することで、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。

外国語の張り紙やメニューを用意する

店頭に日本語しか出来ないことや、お通し代やチャージ料を取る旨、備品の持ち出し厳禁や撮影禁止など外国人向けのルールを多言語で記載しルールを告知しましょう。また、飲食店の場合は外国人向けのメニューを用意し、メニュー名だけでなくどういった料理なのか説明まで外国語で記載しておくことで、余計なコミュニケーションを取る必要がなくなり、スムーズな対応が可能となります。

決済方法の告知と導入

他にも多いトラブルが支払時の決済です。訪日外国人の多くはクレジットカードやキャッシュレス決済を利用するため、いざ支払おうとしたときに現金を持ち合わせておらず、トラブルに発展するケースが多々あります。そのため、店頭に事前に利用できるクレジットカードやキャッシュレス決済の種類、またはそれらに対応していない旨を大きく掲載しておきましょう。できれば、外国人がよく利用するそれらの決済方法を事前に用意しておいたほうがよさそうです。

訪日外国人に損害賠償請求はできる?

結論から言うと、海外在住の外国人にも損害賠償請求はできます。

あらゆる対策をしたにも関わらず酔客による暴行、旅館の部屋を汚された、物品を盗まれたなどのトラブルになってしまったら、まずは警察に連絡しましょう。そうすることでパスポートなどから相手の身元を確認、記録してもらうことができます。

その時点で暴行罪や窃盗罪、器物破損罪など刑事事件になる可能性もありますが、民事として損害賠償を請求する必要もあります。そういった場合は弁護士に相談し、訴訟することが可能です。海外在住の外国人であっても、日本でおきたトラブルであれば原則として日本の裁判所で訴訟が可能です。

ただし、外国人との裁判の場合、勝訴したとしても絵にかいた餅になることも多いです。外国人がすぐに損害賠償を払ってくれればいいのですが、任意に払ってくれない場合、強制執行が必要になります。そもそも日本で裁判できるかの問題と、日本の裁判所の判決を用いて外国で強制執行できるかの問題は別です。

向こうの国の裁判所との手続きや、外国人弁護士とのやり取りなど通常の裁判よりも期間も費用も多くかかり、現実的な手段とはいえないケースがほとんどです。

外国人とのトラブルに備えて弁護士保険に加入しておく

そこでおすすめなのが弁護士保険です。弁護士保険に入っておけば、いざトラブルになって弁護士を利用した際の相談費用や弁護士費用を補償してもらうことができるため、高額になりがちな外国人相手のトラブルにも安心して対応することができます。

弁護士保険に入れば各種弁護士費用が補償される

1.トラブルに発展する前に予防できる

弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることで無断キャンセルの抑止力となります。

2.弁護士への電話相談が無料で出来る

弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。

3.弁護士費用・裁判費用が補償される

それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。

他にも多くのメリットがありますので詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。

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