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【弁護士監修】弁護士に学ぶカスタマーハラスメント(カスハラ)対策。法律・ガイドライン解説からクレームとの違いまで。

2023年06月19日 2023年06月23日

顧客トラブル
#カスハラ #クレーム #ハラスメント
【弁護士監修】弁護士に学ぶカスタマーハラスメント(カスハラ)対策。法律・ガイドライン解説からクレームとの違いまで。

企業には、従業員の安全で健康的な労働環境を確保する義務があります。これには、カスタマーハラスメントから従業員を守る責任も含まれています。労働基準法や労働安全衛生法などの法令に基づき、企業は従業員の健康と安全を確保する取り組みを行わなければなりません。適切な対策を行わない場合、従業員のメンタルヘルスの悪化や労働環境の悪化、企業イメージの低下、法的リスクなどの悪影響が生じることがあります。そのため、企業はカスタマーハラスメント対策に取り組むことが重要です。

この記事の監修弁護士

齊藤宏和 弁護士

カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメントとは、顧客が従業員に対して過度な要求や暴言、暴力行為などを行い、従業員の精神的・肉体的な負担を強いる行為を指します。従業員のメンタルヘルスや労働環境に悪影響を与えるものとされています。

近年のメディアで取り上げられているカスタマーハラスメントの事例は以下のようなものがあります。

  1. SNSでの誹謗中傷 顧客がSNS上で店舗や従業員に対して誹謗中傷を行い、店舗の評判や従業員の精神的なダメージを与えるケースが報じられています。
  2. 営業時間外の対応の強要 営業時間外にも関わらず、顧客が従業員に対して対応を強要するケースが報道されています。これにより、従業員のプライベートが侵害され、過労やストレスが生じることがあります。
  3. 暴言や暴力 顧客が従業員に対して暴言を吐いたり、暴力行為を働いたりするケースが報じられています。このような行為は、従業員の精神的・肉体的なダメージを与えるだけでなく、職場全体の雰囲気を悪化させることがあります。
  4. 虚偽のクレーム 顧客が虚偽のクレームを繰り返し行い、企業や従業員に対して不当な要求や譲歩を迫るケースが報道されています。これにより、企業や従業員が時間や労力を無駄にすることがあります。

これらの事例は、カスタマーハラスメントの現状を示すものであり、企業や労働者にとって対策が急務となっています。企業は、従業員のメンタルヘルスや働き方改革を考慮し、カスタマーハラスメント対策の強化や研修の実施が求められています。

ちなみに、似たような言葉でモンスタークレーマーという言葉が1990年代頃のサービス業の発展に伴い顧客の権利意識が高まり、過剰な要求や苦情が増加するようになり、そのような顧客を「モンスター(怪物)」と「クレーム(苦情)」を組み合わせた造語です。対して、カスタマーハラスメントは2010年代に入り、働き方改革や労働環境の変化が進む中で、労働者のメンタルヘスルやストレス問題が注目され顧客から嫌がらせなどを受けるところから、「カスタマー(顧客)」と「ハラスメント(嫌がらせ)」を組み合わせた造語とされています。

カスタマーハラスメントは、モンスタークレーマーのような過剰なクレームだけでなく、他の悪質な行為も含んでいるため、より広い範囲の問題を指す言葉と言えます。モンスタークレーマーは、カスタマーハラスメントの一形態と捉えることができます。

カスタマーハラスメントとクレームの違い

この二つの言葉は顧客からのフィードバックや行為に関係する言葉ですが、その性質や範囲に違いがあります。

クレームは、顧客が商品やサービスに対して不満や要望を伝える行為を指します。クレーム自体は、顧客からのフィードバックの一つであり、企業にとって改善点を知るための貴重な情報源となることがあります。適切な範囲内で行われるクレームは、企業と顧客とのコミュニケーションの一環であり、企業のサービス向上に役立ちます。

カスタマーハラスメントは、上記でも述べましたが、顧客が企業の従業員に対して過度な要求、暴言、嫌がらせ、暴力行為などを行い、従業員の精神的・肉体的な負担を強いる悪質な行為を指します。

カスタマーハラスメントとクレームの違いは、その行為が悪質かどうか、および従業員に対する影響の度合いにあります。カスタマーハラスメントは、従業員に対して明らかに過剰で不適切な行為を行う一方、クレームは、顧客の不満や要望が適切な範囲内で伝えられる場合には、企業にとって有益な情報となることがあります。ただし、クレームが過剰で悪質になると、カスタマーハラスメントの一形態となり得ます。

カスタマーハラスメントに類する10の行為

厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルではカスタマーハラスメントに類する行為について10種類ほどの行為に分けて紹介されています。これらの行為に対して適切に対応することで、従業員の働く環境を改善し、企業全体のサービス向上につなげることができます。

カスタマーハラスメントの行為別事例

行為 事例
時間拘束 ・閉店時間を過ぎても店内で立ち話を続ける
・無駄に詳細な説明や相談を求めることで長時間拘束する
・電話で繰り返し同じ質問をすることで時間を無駄に消費させる
リピート型 ・何度も同じ商品についてクレームをつけて返品・交換を要求
・同じサービス内容に対して何度も不満を繰り返す
・無理な返金要求を繰り返し行う
暴言 ・従業員に対して人格攻撃を含む罵倒を行う
・人種や宗教、性別を差別する言葉を使う
・口汚い言葉で従業員を威圧する
対応者の揚げ足取り ・従業員が言ったことを捻じ曲げて非難する
・従業員の誤りを見つけるために細かくチェックする
・従業員の言動に過剰に反応して非難する
脅迫 ・企業の評判を落とすと脅しをかける
・法的措置を取ると脅迫する
・従業員やその家族に危害を与えると脅す
権威型 ・自分の地位や肩書を利用して従業員を圧迫する
・自分の知識や経験を誇示して従業員を見下す
・企業の上層部との繋がりを示唆し、特別な扱いを要求する
SNSなどへの投稿 ・従業員の写真や個人情報をSNSに無断で投稿する
・企業や従業員に対する誹謗中傷をSNSで拡散する
・企業の裏情報やうわさをSNSで拡散する
正当な理由のない
過度な要求
・少しの欠陥で大幅な割引や返品を要求する
・無料で追加のサービスや商品を要求する
・企業が提供できない範囲の特別な対応を要求する
コロナ過に関するもの ・従業員に対して過剰な除菌・消毒を要求する
・コロナウイルスの恐怖を煽り、従業員を威圧する
・コロナウイルスの影響を理由に、無理な値引きやサービスの提供を求める
セクハラ ・従業員に対して性的なコメントやジョークを投げかける
・従業員の身体に触れることでセクシャルな嫌がらせを行う
・従業員に対してプライベートな性的な質問を繰り返す

今回紹介した行為のなかでも過度な要求や揚げ足をとって困らせたりするなどの行為が多い傾向にあります。直接的な暴力行為は多くなかったが、不法侵入や、脅迫などの犯罪の可能性のある行為もあります。

カスタマーハラスメントの判断基準

カスタマーハラスメントの判断基準を理解することは、従業員が適切な対応を行う上で重要です。以下に、判断基準として挙げられる2点について詳しく説明します。

請求内容に妥当性はあるか

カスタマーハラスメントと通常のクレームを見分ける一つのポイントは、根拠が明確であることや、要求の範囲が合理的であること、企業が対応できる範囲であることなどを考慮して請求内容に妥当性があるかどうかを判断することです。通常のクレームは、商品やサービスに対して正当な理由があり、企業が改善すべき点を指摘していることが多いです。一方、カスタマーハラスメントでは、請求内容に根拠がない、または過剰な要求が行われることが多く、企業に無理な対応を強いることが特徴です。

要求を実現するための手段が社会通念上相当な範囲か

もう一つの判断基準は、顧客が要求を実現するために用いる手段が、社会通念上相当な範囲に収まっているかどうかです。通常のクレームでは、お互いに理解し合いながら解決策を模索する姿勢が見られます。しかし、カスタマーハラスメントの場合、暴言や脅迫、嫌がらせなど、社会通念上許容されない手段を用いて要求を押し付けることが多いです。

例えば、ある飲食店でお客様がアレルギーに対応した食事を事前にリクエストしていたにも関わらず、提供された料理にはアレルギー物質が含まれており、そのことに対して料理の変更や謝罪を求めることは具体的な事実(アレルギー対応がされていない)に基づいており、要求も合理的な範囲内であるため、妥当性があると言えます。

一方で、お客様が「料理が美味しくない」とだけ主張し、すべての料理を無料で提供することを具体的な理由を説明せず、ただ不満を繰り返し述べ要求しました。この場合、請求内容に具体的な事実や理由がなく、要求も企業に対して過剰であるため、妥当性がないと判断され、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。

これらの例を通じて、企業は通常のクレームとカスタマーハラスメントを見分けることができます。従業員には、お客様の手段を確認し、適切な対応を行うよう指導することが重要です。

TIPS 暴力行為が認められたら
殴る・蹴るといった暴力行為はカスタマーハラスメントに該当するといえますが、それ以前に犯罪に該当します。もし、暴力行為などがあれば直ちに従業員の安全を確保し、複数名で対応に対応するなどの処置を行ってください。

カスタマーハラスメント対策の必要性

カスタマーハラスメント対策を適切に行わなければ従業員や企業・顧客への悪影響が考えられます。

従業員や企業・顧客への悪影響

従業員への影響 ・精神的ストレスや不安が増加し、従業員の健康を害する。
・職場での人間関係が悪化し、チームワークが低下する。
・労働意欲が低下し、効率や生産性に悪影響を及ぼす。
企業への影響 ・従業員の離職率が上昇し、人材の確保や教育コストが増加する。
・企業のブランドイメージが悪化し、顧客離れや売上減少につながる。
・法的トラブルや訴訟リスクが増加し、企業の負担が大きくなる。
他の顧客などへの影響 ・現場での不快感やストレスが増加し、顧客満足度が低下する。
・悪質なクレーム対応に時間がかかり、他の顧客へのサービス提供が遅れる。
・ネガティブな口コミが広がり、新規顧客の獲得が困難になる。

カスタマーハラスメント対策の企業の責任

企業には労働安全衛生法に基づく安全配慮義務と労働基準法に基づく安全な労働環境を保ち従業員の働きやすい環境を整備することが求められています。適切な対応をしていなければ従業員から責任を追及されることとなり経営上のリスクが高まります。

行政処分の対象となった例としては、あるアパレル店で、店員が顧客からの悪質なクレームに対処できずに精神的ストレスを受け、自殺未遂に至りました。その後、労働者が会社を提訴し、裁判で会社に対して損害賠償が命じられました。企業がカスタマーハラスメント対策を十分に講じていなかったため、このような結果に至りました。

逆に、十分に対策を講じられていたために、従業員がカスタマーハラスメントに遭遇し、精神的苦痛を訴え、企業に対して損害賠償を求める訴訟を起こしたが、裁判所は賠償責任を認められなかったこともあります。この事例では以下のような対策が講じられていました。

  • カスタマーハラスメントに関する研修や教育を定期的に実施し、従業員が適切に対応できるようにサポートしていた。
  • カスタマーハラスメントに遭遇した従業員に対して、適切なフォローやケアを提供していた。
  • 従業員からの相談窓口を設置し、カスタマーハラスメントに関する報告を受け付け、適切に対応していた。

これらの対策により、企業は従業員に対して安全配慮義務を果たしていると判断され、賠償責任が認められなかったのです。この事例からわかるように、カスタマーハラスメント対策を適切に行うことは、企業にとって法的リスクを軽減する上で非常に重要です。

企業が行うべきカスタマーハラスメント対策

ここでは、経営者が取り組むべきカスタマーハラスメント対策について、以下の4点に分けて解説します。

  1. 基本方針の明確化と従業員への周知・啓発
  2. 従業員のための相談対応体制の整備
  3. 対応方法の策定
  4. 社内対応ルールの教育

1. 基本方針の明確化と従業員への周知・啓発

カスタマーハラスメント対策の基本方針を明確にし、トップ自ら全従業員に周知することが重要です。例えば、カスタマーハラスメント対策に関するマニュアルを作成し、定期的な従業員向けの情報提供や研修を実施することが重要です。また、社内ポスターや社内SNSを活用して情報共有を促進し従業員に理解と遵守を求めましょう。

2. 従業員のための相談対応体制の整備

カスタマーハラスメントに悩む従業員が安心して相談できる体制を整備し、専門の相談窓口を設置したり、社外の専門家(弁護士・カウンセラー)と連携して相談対応を行うことが効果的です。また、匿名相談制度の導入するなどの相談内容に対して適切なアドバイスやサポートができるよう、担当者の教育や研修も必要です。突発的に起きるカスタマーハラスメントに関する相談を受ける相談対応者は相談者の上司や現場の管理監督者が担うことが考えられます。現場の状況に精通していたり、トラブルの際にも身近におり現場に向かいやすい状況が理由として挙げられます。その場合における相談対応者は、相談者の心身の状況や受け止め方などにも配慮しながら慎重に応じるようにしましょう。

3. 対応方法の策定

企業は、カスタマーハラスメントに対する具体的な対応方法を策定することが求められます。事例別の対応フローチャートを作成し、エスカレーション手順を明確化することで、迅速かつ適切な対応が可能になります。さらに、モンスタークレーマーへの対応トレーニングを実施し、従業員の対応力を向上させましょう。

ハラスメントの行為別対応例

行為 対応例
時間拘束 ・対話を制限する時間帯を設定し、休憩時間や営業時間外での対応を避ける
・対応の切り上げポイントを明確化し、無駄な時間を過ごさせないようにする
・必要に応じて、他の従業員や上司にバトンタッチすることで、時間拘束から解放させる
リピート型 ・顧客履歴を記録し、繰り返し同じ苦情を提起する顧客を特定する
・上司や法務部門と連携し、リピート型の顧客に対しては適切な対応方法を共有する
・顧客との関係を適切に維持するためのガイドラインを策定
暴言 ・冷静に対応し、顧客の感情に振り回されないようにする
・話を聞く姿勢を保ちつつ、暴言に対しては受け流す
・スタッフが暴言への対処方法を学ぶ研修を実施
対応者の揚げ足取り ・マニュアルに基づいて対応し、誤った情報を提供しないようにする
・無理な要求には明確に対応できない旨を伝える
・顧客の要求に対しては、適切な範囲で柔軟に対応し、揚げ足取りの余地を減らす
脅迫 ・状況を冷静に把握し、パニックに陥らないようにする
・脅迫に対処するための対応プロトコルを策定
・状況に応じて、警察への通報を検討する
権威型 ・社内での対応ポリシーを明確にし、顧客に適切な対応を行う
・顧客の主張に対して論理的かつ冷静に反論する
・上司が介入し、対応をサポートする
SNSなどへの投稿 ・SNSでの発言に対して適切かつ冷静に反論し、事実を正確に伝える
・企業としての公式アカウントで適切な情報を発信し、誤解を解消する
・投稿内容によっては、事実関係の説明や謝罪を行う
正当な理由のない
過度な要求
・顧客に対して適切な範囲内での対応を説明し、過度な要求には従わない
・他の顧客との公平性を考慮し、特別な対応を避ける
・顧客に対し、企業の方針や制約を説明する
コロナ過に関するもの ・企業の感染症対策を適切に実施し、顧客に安心感を提供する
・顧客からの不安や疑問に対して、適切な情報提供と説明を行う
・不適切な要求や行為に対しては、公衆衛生の観点から適切に対処する
セクハラ ・従業員に対するセクハラのゼロ・トレランス(絶対容認しない)ポリシーを徹底し、顧客にも周知させる
・セクハラ被害が発生した場合、被害者の立場を最優先し、適切なサポートを行う
・他のスタッフと交代させるか、場を離れる

4. 社内対応ルールの教育

カスタマーハラスメント対策を効果的に実施するためには、社内対応ルールの徹底した教育が必要です。入社時や定期的な研修で対応ルールを説明し、ロールプレイを取り入れた実践的研修を実施することで、従業員の対応力を高めることができます。また、クレーム対応の事例検討やフィードバックを通じて、継続的な学びを促進しましょう。

カスタマーハラスメントが起きた際の対応と再発防止策

実際にカスタマーハラスメントが起きてしまった場合は迅速に以下の点に注意しながら対応を進めていく必要があります。

  1. 事実関係の正確な確認と対応
  2. 従業員への配慮措置
  3. 再発防止のための取り組み

1.事実関係の正確な確認と対応

事実関係の整理・判断のフロー

カスタマーハラスメントが起きた際には、まず顧客からのクレームや苦情の内容や状況を詳細に聞き取り、事実関係を把握することが重要です。その上で、他の従業員や目撃者からも情報を収集し、事実関係を確認します。事実関係が確認できた上で、企業の方針に沿った適切な対応を行うことが求められます。これには、顧客への説明や対策の実施などが含まれます。

2.従業員への配慮措置

カスタマーハラスメントに遭った従業員に対しては、適切なフォローやサポートを行うことが必要です。

従業員の安全確保

カスタマーハラスメントが発生した際には、まず従業員の身体的な安全を確保することが最優先です。状況に応じて、従業員を現場から離す、警備員や警察に連絡する、あるいは店内の配置やスタッフの役割を変更するなど、従業員が危険な状況に置かれないように対応します。

精神面への配慮

カスタマーハラスメントに遭遇した従業員は、精神的なショックやストレスを感じることがあります。そのため、上司や人事担当者が適切なフォローやカウンセリングを行い、従業員の精神面へのケアを心がけることが重要です。必要に応じて、一時的な休暇を提供することも検討するべきです。また、社内での情報共有や研修を通じて、カスタマーハラスメントへの対処法や精神面でのサポート方法を学び、従業員同士で支え合う環境を整えることも大切です。

3.再発防止のための取り組み

カスタマーハラスメントの再発防止のためには、カスタマーハラスメント対策の教育や研修を定期的に実施し、従業員の意識を高めることが求められます。また、顧客対応のマニュアルやルールを見直し、改善点があれば改定することも必要です。さらに、社内の相談窓口を整備し、従業員が気軽に相談できる環境を作ることが大切です。

カスタマーハラスメントの事例を活用し再発防止

カスタマーハラスメントの事例を徹底的に分析し、その原因や問題点を明らかにすることが重要です。分析した事例を社内で共有し、同様の事態が再発しないように注意喚起を行います。また、他社の事例も参考にし、自社にも応用できる対策を見つけることが有益です。また研修や教育プログラム、社内ルールなどの見直しなどにも活用でき定期的な見直しをすることで常に最適な対策を講じることができるようになります。

悪質なカスタマーハラスメントは犯罪行為として認められる

悪質なカスタマーハラスメントは、場合によっては犯罪行為となり、警察や弁護士の支援が必要になることがあります。暴力行為、脅迫、名誉毀損、プライバシー侵害など、カスタマーハラスメントの中には明確な法律違反が含まれるケースもあります。

行為の程度によって検討できる罰則

罰則 内容
民事訴訟 カスタマーハラスメントが従業員や企業に損害を与えた場合(例: 精神的苦痛、営業妨害、過度な要求やセクハラ、暴言など)、企業や被害者は民事訴訟を起こして損害賠償を請求することができます。
刑事告訴 カスタマーハラスメントが犯罪行為に該当する場合(例: 脅迫、暴力行為、ストーカー行為、名誉毀損)、被害者や企業は警察に告訴し、加害者を刑事責任に問うことができます。
店舗からの出禁 企業は、悪質なカスタマーハラスメント行為(リピート型や時間拘束、権威型など、企業や従業員に対する迷惑行為)を繰り返す顧客に対し、店舗への立ち入りを禁止する措置を取ることができます。ただし、証拠の収集や事前に口頭や書面で警告を行ったり適切な手続きが必要です。
SNS等での情報公開 悪質なカスタマーハラスメント行為に対して、一定の範囲内でその事実をSNSなどで公開することができます。ただし、名誉毀損やプライバシー侵害に注意する必要があります。

これらの罰則は、企業や従業員がカスタマーハラスメントの被害に遭った際の対応策の一部です。注意すべき点は、企業が独自に罰則を与えることはできないため、より具体的に法的なアドバイスを受けるためには、弁護士や警察への相談を検討してください。

悪質なカスタマーハラスメント対応の流れ

社内でカスタマーハラスメントへの対応方法を明確にしたうえで、悪質なカスタマーハラスメントが認められる者に対して罰則を視野に入れた場合に企業が取るべき行動は以下の通りです。

1.事実関係の確認

カスタマーハラスメントが発生した場合、まず事実関係を確認することが重要です。従業員の証言や監視カメラの映像、書面やメールのやり取りなど、関連する証拠を集めましょう。

2.記録の整理

事実関係の確認ができたら、記録を整理します。日時、場所、加害者や被害者の情報、具体的な発言や行動などを詳細に記録しておくことが重要です。これにより、法的措置を取る際に証拠として活用できます。

3.警察への相談・通報・法的措置

カスタマーハラスメントが悪質なものである場合や犯罪行為に当たる場合は、警察への相談や通報を検討します。また、民事訴訟や刑事告訴などの法的措置を取ることも検討し、弁護士や専門家に相談し、適切な手続きを確認しましょう。

これらの行動を通じて、カスタマーハラスメントの加害者に対して適切な罰則を与えることができます。従業員の安全と心身の健康を守るためにも、これらの対策を適切に実施しましょう。

まとめ

カスタマーハラスメントは、モンスタークレーマーとも呼ばれ、理不尽な主張や過度な要求を繰り返し行う顧客によって引き起こされます。企業側の説明に耳を貸さず、事実確認に非協力的であり、場合によっては犯罪的な行為に出ることもあります。そのため対応では特別な配慮が必要です。

事前に社内ルールや現場対応者のバックアップ体制を整備し、実践的な研修を通じて対応力を高めることが重要です。しかし、カスタマーハラスメントの対応で相互に納得のいく解決に至ることは難しく、場合によっては弁護士への相談が必要となることもあります。

このような状況に備えて、弁護士保険への加入もカスタマーハラスメント対策として有効です。企業はカスタマーハラスメントへの対応策を整えることで、従業員や他の顧客を守り、企業の信頼性を維持することができます。経営者は、モンスタークレーマーやカスタマーハラスメントへの対策を十分に検討し、適切な対応策を講じることが求められます。

弁護士に相談・依頼ってどうしたらいいの

しかし、いざ弁護士を使うとなると「誰に相談したらいいかわからない」「費用が高そう」「裁判って難しそう」などいろいろな不安や心配から泣き寝入りしてしまう方も多いです。そこでおすすめなのが弁護士保険になります。

弁護士保険に入るメリット

1.トラブルに発展する前に予防できる

弁護士保険に加入すると、弁護士保険加入者証や弁護士保険加入ステッカーがもらえます。これを提示することで「こちらはいつでも弁護士を使える」という姿勢を相手に伝えることでトラブルに発展する前の抑止力となります。

2.弁護士への電話相談が無料で出来る

弁護士のへの電話相談が無料で行えるといった付帯サービスが付いてきます。トラブルの概要を話し、そこからどう動くのが最善かを法律の専門家からアドバイスしてもらえます。

3.弁護士費用・裁判費用が補償される

それでも解決できずに訴訟などに発展したとしても、一般的に弁護士を使った時にかかる着手金や訴訟費用は保険で賄われますので高額な出費を恐れる心配がありません。

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