経営者が知っておきたい法律事件:中国人実習生強制労働事件_外国人研修・技能実習制度は正しく理解しないといけない

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1993年に制度化された「外国人研修・技能実習制度」。

開発途上国などから人材を受け入れ、日本の技術や知識などを教え伝えることで、それらの国々の経済発展に寄与する国際貢献という名のもとに始まった制度ですが、近年、単に外国人実習生の安価な労働力を確保するための手段として利用され、それに乗じて、違法な労働を強制するケースが目立ち社会問題化しています。日本政府が、今度ますます多くの実習生を入れることを想定している中、法令順守を心がける健全な経営者にとって、「外国人研修・技能実習制度」を正しく理解しておくことが、必要不可欠となってきています。
本記事では、中国人技能実習生が劣悪な条件のもとに違法な労働を強いられていた事件を通して、経営者が知っておきたいことを確認してみます。

事件について

中国人実習生が違法な強制労働をさせられていた事件

事件の概要

技能実習生として、縫製会社の作業に従事していた中国人4名に対し、会社側が最低賃金を下回る賃金で長時間労働を強制したうえ、逃亡防止の目的で、彼女らのパスポートや預金通帳を取り上げていた事件。

これに対し、中国人実習生らが縫製会社と第1次受け入れ機関である協同組合、および関係財団法人に対して、損害賠償などの支払いを求め訴訟を起こした。

判決結果

縫製会社および協同組合に対して慰謝料などの支払いを命じた。一方で、関係財団法人に対する請求は棄却した。

判決結果のポイント

たとえ「実習」という教育的な側面があっても、実習生による作業が事業者の利益などにつながる場合には、「労務」の遂行という側面があり、労働者とみなされる。

また、パスポートや預金通帳の強制的な管理行為は、人格権を侵害するものとして不法行為に当たる。協同組合については、実習を監理指導すべき義務に違反したとして、その不法行為責任を認めた。

事件から導き出されること

中国人実習生が違法な労働を強制されていた事件を見てみましたが、このことから学べることがいくつかあります。

①まず、技能実習制度を悪用し、外国人実習生に違法な労働を強制する事業者がいるという事実があるようです。

②ただ、技能実習とはいえ、労働の実態があるものとして、法律的に認められるようです。

③そのため、最低賃金法などに抵触するような労働条件のもとで実習生を作業に当たらせることは、不法行為となります。

④当然のことながら、そのほかの実習生への人権侵害に当たるような行為も不法行為となり得ます。

⑤第1次受け入れ機関となる協同組合も、適正な監理や指導を行わない場合は、義務違反として不法行為の対象となり得ます。

経営者が気を付けたいこと

①実習生も通常の労働者と同様に、法律に反する条件のもとで作業に従事させると、不法行為に当たると認識しておく必要があります。

②今回、協同組合の不法行為責任も認められたことや、中には、協同組合のほうから違法労働を指示するなどの事例が見受けられることから、協同組合からの提案などを鵜呑みにしないことも求められます。

③制度を活用する場合には、「絶対に違法労働化しないこと」、また「人権に配慮した対応を心がける」などの努力が必要となります。

外国人技能実習制度についてのリンク

「JITCO 公益財団法人 国際人材協力機構」
https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/

「技能実習法に基づく送出機関のための送出しマニュアル」
https://www.jitco.or.jp/ja/member/members_only/pdf/okuridasi_manual.pdf


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