外国人労働者雇用に関する「よくある質問」まとめ
2021年02月28日 2023年05月10日

近年、国内の労働力不足を解決する手段などとして、外国人労働者の需要が大きな高まりを見せています。 従来の「技能実習制度」に加え、2019年からは「特定技能制度」が導入されたことにより、さらに外国人を雇用する機会が増すこととなりました。 本記事では、法律順守を心がける健全な経営者にとって、外国人労働者を雇用する際に、法律の視点から知っておきたいことをQ&A方式でまとめてみました。
外国人労働者雇用の際に知っておきたい注意点
Q1:外国人を雇用する前に確認しておきたいことは?
A1:雇い入れの段階で在留資格の有無を確認するが必要があります。
Q2:在留資格のない不法就労者を採用した場合の処罰は?
A2:不法就労助長罪に基づき罰則を科されるおそれがあります。
Q3:外国人の雇用には日本の労働関連の法律が適用されますか?
A3:基本的に日本人労働者と同じように、労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法などの日本の労働関連の法律が適用されます。
Q4:外国人労働者にのみ適応されるその他の法律はありますか?
A4:入管法(在留資格)、雇用対策法(外国人雇用届・外国人労働者の雇用管理改善などに関する指針)があります。また、原則として国籍・人種に基づく賃金差別は許されません。
Q5:勤務中の各国特有の文化について、どこまで認めればよいですか?
A5:できるだけ柔軟に対応するべきだと言えます。
Q6:勤務中に認めるべき各国特有の文化には、どのようなものがありますか?
A6:①勤務時間中の礼拝 →信教の自由との関連から認めたうえで、短時間であれば賃金から差し引くべきではありません。
②旧正月を祝うための休暇の取得→有給休暇の取得時期を調整する配慮が必要です。
③宗教上の理由により食べられないものを社食で提供すること→他の選択肢があれば不合理な差別には当たりません。
Q7:外国人労働者は社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象ですか?
A7:社会保険について、正社員として雇い入れる場合、加入義務を負う場合が多いと言えます。アルバイトとして雇い入れる場合は、就業実態により総合的に判断する必要があります。
いずれにしても、日本人労働者と同様の扱いをすることが望まれます。また、傷病手当金も社会保険に加入している場合は支払い対象となります。
Q8:外国人労働者は労災保険の適応対象ですか?
A8:労災保険については、すべての労働者が適用対象です。
外国人労働者は、日本人労働者と比べ、コミュニケーション能力の不足、業務方法への対応が不十分などの理由から、相対的に労災発生率が高い傾向にあります。
また、雇用保険対象外の外国人労働者については、外国人雇用状況届の提出が必要です。
Q9:人事管理・教育訓練・福利厚生などについて、他に注意すべきことはありますか?
A9:慣れない異国での生活を営んでいくうえで、安心して宿泊できる住居を確保するための手助けが必要です。 また、住居手当の一部支給・補助、入居差別への対応も重要でしょう。
そのほかには、日本語能力の向上のための訓練を実施することも大切です。日本語能力の不足を理由とした解雇は不合理な差別に当たる可能性があります。
Q10:外国人労働者に対する違法な労働が問題となった事例はありますか?
A10:外国人技能実習生に対する違法労働が問題となった事例は多々あります。
例えば、残業代未払いの疑いで、労働基準法違反に問われ、受け入れ先の企業が書類送検されたことがあります。
① 「モードアカリ」: 外国人技能実習生5人に対し、割増賃金を支払わず、違法な時間外労働をさせた。
②「㈱フォーティーン」: 外国人技能実習生6人に対し、割増賃金を支払わず、違法な時間外労働をさせた。
Q11:勤務不良の外国人労働者を解雇したい場合の注意すべきポイントは?
A11:原則として、日本人労働者と同様の対応が求められます。 解雇権の濫用とならないよう注意したうえで、退職強制や過度な退職勧奨も行わないようにするべきです。
Q12:在留資格が更新されない場合はどうしたらいいですか?
A12:不法就労助長罪に当たる可能性について注意しなければなりません。この場合は、解雇をしても客観的・合理的理由があると考えられます。
まとめ
①基本的に、外国人労働者に対しても、日本人労働者と同じ法律が適応されるということを認識しておきたいです。
②それに加え、外国人労働者に対しては、個別の法律もあることを知っておく必要があります。
③また、日本の生活に慣れるための手助けや、外国人労働者の自国の文化を尊重する配慮も必要と言えます。
④外国人労働者への違法な労働実態が社会問題化しており、違法労働には厳しい目が向けられていることも理解しておきましょう。
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