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問題社員(モンスター社員)を処分・解雇するには? 適切な対応するためのポイントを解説。

2023年05月11日 2023年08月08日

会社経営・事業経営 雇用・労働・従業員 企業法務・法律
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問題社員(モンスター社員)を処分・解雇するには? 適切な対応するためのポイントを解説。

経営者の皆さん、問題社員(モンスター社員)を抱えることはビジネス運営にとってストレスの原因となります。しかし、問題社員を解雇する場合には法律面でさまざまな注意が必要です。本記事では、法的な視点から問題社員の解雇方法や注意点を徹底解説します。

当サイトのYouTubeチャンネル「中小企業法務チャンネル」にて同テーマの解説も行っております。

原則は退職勧奨を検討

結論から言うと、どのような問題社員(モンスター社員)であっても原則は退職勧奨を検討してください。

退職勧奨とは
雇用主が社員や従業員に対して退職を促すことです。一方的に契約を解除する解雇と違い、従業員との合意のもと雇用契約を終了ことを目的としています。

日本の法律上、解雇は従業員にとって大きな不利益をもたらすため、解雇には厳格な基準が設けられています。

問題社員がいる場合、経営者としては解雇をしたくなる気持ちも分かりますが、まずは従業員とのコミュニケーションを重視し、改善指導や指摘を行って問題行為を改める機会を与えることが重要です。そのうえで問題行為が改善されない場合、退職勧奨を検討することが望ましいです。これにより、従業員に自主的に退職することを促し、退職勧奨を受け入れた従業員に対して、再就職支援を行うことで、従業員に対する負担を軽減し、円満な雇用関係の終了が期待できます。ただし、従業員が重大な違法行為を犯した場合や、業務上の損害が甚大な場合は、懲戒解雇も検討する必要があります。事例ごとの状況や法的リスクを総合的に判断し、適切な対応を選択してください。

問題社員(モンスター社員)の8つの特徴

問題社員、またはモンスター社員とは、職場において問題行為を繰り返し、他の従業員や経営者に悪影響を及ぼす人物のことを指します。彼らは職場の生産性やチームワークを損なうだけでなく、企業のイメージや経営にも悪影響を及ぼすことがあります。モンスター社員にはいくつかの典型的な特徴があり、以下に8つの代表的な特徴を挙げます。

  1. 上司や従業員に暴力や暴言を吐く
  2. 業務命令に従わない
  3. 悪質なハラスメント行為
  4. 遅刻・無断欠勤を繰り返す
  5. 社内不倫を繰り返す
  6. 刑事事件を引き起こす
  7. 仕事の重大なミスを連発する
  8. 営業成績が悪く改善意欲もない

1.上司や従業員に暴力や暴言を吐く

職場の安全性や雰囲気を悪化させ、従業員のストレスや不安を増加させます。長期的には、職場の離職率が上昇し、チームの生産性が低下する可能性があります。

2.業務命令に従わない

業務命令に従わない従業員は、チームの効率や生産性に悪影響を与えます。また、他の従業員がその不履行を補うために負担が増えることもあります。

3.悪質なハラスメント行為

ハラスメント行為は、被害者の精神的健康を損ない、職場の人間関係に悪影響を及ぼします。また、企業のイメージが悪化し、法的なトラブルに発展する可能性もあります。

4.遅刻・無断欠勤を繰り返す

遅刻や無断欠勤を繰り返す従業員は、他の従業員に対して不公平感やストレスを与えます。また、業務が滞ることで、チームの生産性や効率が低下します。

5.社内不倫を繰り返す

社内不倫は、職場の人間関係に緊張や不信感をもたらし、チームワークが損なわれることがあります。また、企業のイメージが悪化し、法的なトラブルに発展する可能性もあります。

6.刑事事件を引き起こす

窃盗、詐欺、傷害など、法律で禁じられている行為を引き起こす従業員は、企業のイメージや信用を大きく損ないます。また、その事件に関連した業務の遅れや損失が生じることがあります。

7.仕事の重大なミスを連発する

仕事のミスが多い従業員は、チームの業務遂行に悪影響を与え、生産性や効率が低下します。また、他の従業員がそのミスをフォローするために余分な労力や時間を費やすことになります。重大なミスが続くと、企業の業績や評判にも悪影響を与える可能性があります。

8.営業成績が悪く改善意欲もない

営業成績が悪く、改善に対する意欲が見られない従業員は、企業の利益や成長に対してマイナスの影響を与えます。また、他の営業職員に対するモチベーションやチームの士気にも悪影響を及ぼすことがあります。

 

これらの問題社員・モンスター社員の特徴は、職場環境や企業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。経営者としては、問題を早期に察知し、適切な対応策を講じることが重要です。また、問題行為が改善されない場合は、退職勧奨や解雇を検討する必要がありますが、法的リスクや影響を総合的に判断し、適切な措置を取ることが求められます。

解雇のリスク

違法解雇と判定されてしまう

違法解雇が判定された場合に、バックペイ(未払い賃金)が発生することがあります。

バックペイとは、従業員が違法に解雇されたと認定された場合、解雇された日から再び雇用されるまでの期間に対する未払いの賃金を指します。例えば、従業員の月給が30万円であり、解雇から再雇用までの期間が6か月だった場合、バックペイは30万円 × 6 = 180万円となります。

違法解雇が認定されると、従業員に対して雇用関係の回復が求められることがあり、その場合には、遡って未払い賃金の支払いが求められることがあります。このバックペイは、解雇された従業員の損失を補償するためのものであり、これは企業にとって大きな経済的負担となる可能性があります。

バックペイに関しては本サイトの漫画ページでも取り扱っています。

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従業員と解雇について争うと会社が不利

解雇が適法かどうかは、個々の事情や証拠によって異なります。適切な理由と手続きで解雇が行われた場合でも、従業員が納得しないことがあります。裁判に発展した場合、解雇権濫用法理の面から違法解雇か適法解雇を証明する必要があります。

TIPS 解雇権濫用法理とは
解雇権が社会通念上許容される範囲を超えて行使された場合、違法とされる法理です。例えば、従業員が労働組合活動を行ったことを理由に解雇する場合や、解雇理由が虚偽である場合などは、解雇権濫用とされることがあります。解雇権濫用法理に抵触する解雇は、違法解雇とされる可能性が高く、企業には損害賠償や雇用関係の回復が求められるリスクがあります。

これらのリスクを回避するためには、適切な解雇理由と手続きを踏むことが重要です。また、弁護士や労働法専門家に相談し、適切な対応策を講じることが求められます。解雇を避けられる方法(退職勧奨や配置転換など)を検討し、円滑な解決を目指すことも重要です。

解雇とはどういうものなのか?

日本の労働法では、解雇は「最後の手段」とされており、従業員と雇用者の雇用関係を終了させる行為です。解雇は一般的に2つの種類に分けられます。それぞれの特徴と条件について説明します。

普通解雇

従業員が雇用契約に基づく義務を果たせないことを理由に行われる解雇

普通解雇に該当する事柄

事柄 内容
能力不足 従業員が業務を遂行する能力に欠け、仕事の成果が期待されるレベルに達していない場合が該当します。ただし、解雇に至る前に、改善指導や研修の機会を提供し、従業員に改善の機会を与えることが求められます。
病気による就労不能 従業員が長期の病気や怪我により、一定期間以上働けなくなった場合が該当します。ただし、解雇の理由として認められるには、従業員が今後も働けないということが医学的に明らかである必要があります。また、会社側が従業員の復職を支援するための手続きや措置を講じた上で、解雇が避けられない最終手段であることを示す必要があります。
協調性の欠如 従業員が職場での人間関係やチームワークに問題を持ち、他の従業員と円滑なコミュニケーションが取れず、職場環境が悪化する場合が該当します。ただし、解雇に至る前に、問題行為に対する改善指導や、状況に応じて人事異動などの対策を講じることが求められます。

普通解雇を行う条件

条件 内容
客観的・合理的な理由 業務上の都合や経営状況の悪化など、雇用者側の事情に基づく客観的かつ合理的な理由が必要です。
事前の改善指導 従業員の能力不足を理由に解雇する場合、まずは改善指導や研修の機会を与えることが求められます。
書面による適切な手続き 解雇通知の期間や書面による通知など、労働契約や就業規則に定められた適切な手続きを踏むことが必要です。

懲戒解雇

従業員の不正行為や過失によって、雇用関係の継続が困難と判断される場合に行われる解雇

懲戒解雇に相当する事柄

事柄 内容
業務に対する重大な過失 従業員が業務上の重大なミスや過失を犯し、会社に大きな損害を与えた場合が該当します。例えば、機密情報の漏洩や、安全規則を無視して重大な事故を引き起こすなどが含まれます。
盗みなどの犯罪行為 従業員が会社の財産や他の従業員の財産を盗んだ場合などが該当します。窃盗行為は信頼関係の重大な損失を意味し、懲戒解雇の根拠とされることが多いです。
暴力行為 従業員が職場で他の従業員や上司に対して暴力を振るった場合が該当します。これには、身体的な暴力だけでなく、暴言や嫌がらせなどの精神的な暴力も含まれます。
重大な職務怠慢 従業員が業務を遂行する責任を完全に放棄し、会社に損害を与えた場合が該当します。例えば、重要な締め切りを無視して業務を放棄する、無断で長期間欠勤するなどが含まれます。

懲戒解雇を行う条件

事柄 内容
重大な違反行為 従業員が職務上の重大な過失や不正行為を犯していることが明確であることが必要です。就業規則内で明確に示されていなければなりません。
即時性 違反行為が発覚した場合、雇用者は速やかに対処し、適切な調査や手続きを行わなければなりません。違反行為が発覚してから時間が経過している場合、懲戒解雇が認められないことがあります。
懲戒の程度 違反行為の内容や程度、従業員の過去の業務履歴などを考慮し、解雇が適切な懲戒処分であるか判断する必要があります。懲戒処分が重すぎる場合、解雇は無効とされることがあります。
書面による適切な手続き 解雇通知の期間や書面による通知など、労働契約や就業規則に定められた適切な手続きを踏むことが必要です。

普通解雇と懲戒解雇は、それぞれ異なる条件と手続きが求められるため、解雇の理由や状況に応じて適切な対応を行うことが重要です。どちらの記載にもある、就業規則に解雇の規定がある場合でも、解雇理由や手続きが適切でなければ、解雇は無効とされる可能性もあります。そのため、解雇を行う際には、法的な問題を回避するために、弁護士や労働法専門家に相談することが重要です。

解雇が認められない場合の原因

従業員の解雇には多様なケースがありそれぞれの理由に応じて適切な手続きや対応が求められます。以下では解雇が認められる可能性が低くなる理由や原因について取り上げます。

  1. 就業規則が周知されていない
  2. 弁明の手続きの付与
  3. 無断欠勤などで日数が足りない場合
  4. 休職規定が適用される場合
  5. 一見 懲戒解雇事由に該当しても会社に原因がある場合
  6. 妊娠・育児などの理由
  7. 業務命令の勘違い

1.就業規則が周知されていない

従業員に就業規則が適切に周知されておらず、解雇事由や手続きが明確でない場合。例えば、従業員に就業規則を配布していない、社内掲示板に掲載されていない場合、解雇の理由や手続きが明確でないため、解雇が無効とされる可能性があります。

2.弁明の手続きの付与

従業員に対して解雇の理由を説明し、弁明の機会を与えることが求められます。例えば、従業員が懲戒解雇の対象となる行為を行ったが、事前に解雇理由を説明し、弁明の機会を与えずに解雇した場合、解雇が無効とされることがあります。

3.無断欠勤などで日数が足りない場合

無断欠勤による解雇の場合、一定の日数が経過していることが求められます。例えば、従業員が3日間無断欠勤したが、就業規則で無断欠勤の解雇基準が5日間と定められている場合、解雇が無効とされる可能性があります。

4.休職規定が適用される場合

従業員が休職規定に該当する場合、解雇が無効とされることがあります。例えば、病気休暇中の従業員を解雇することはできません。

5.懲戒解雇事由に該当しても会社に原因がある場合

懲戒解雇事由に該当する行為があっても、会社側に責任がある場合(例: 従業員の行為に対する指導不足や上司が部下に過度な業務量を命じるなどのハラスメントに値する場合)は、解雇が無効とされることがあります。

6.妊娠・育児などの理由

妊娠や育児休暇中の従業員を解雇することは、一般的にはできません。

7.業務命令の勘違い

従業員が業務命令を誤解していた場合や、業務命令が不適切であった場合。例えば、業務命令が曖昧であったり、説明不足であったなど、特に書面でやりとりしていない場合に起こる可能性があります。

従業員の権利を保護するために、法律や制度が解雇を制限することがあります。しかし、企業にとっても、適切な手続きや検討を経て行われる解雇が、企業の成長や他の従業員のモラルにとって重要です。そのため、解雇を検討する際には、法律や制度の範囲内で適切な対応を行うことが求められます。

解雇が認められる可能性があるケース

以下は解雇の理由が明確であり、解雇が認められる可能性が高いケースです。

  1. 無断欠勤で規定日数以上連絡がつかない場合
  2. 明らかな証拠のある業務上横領
  3. 病気休職の期間満了による解雇

1.無断欠勤で規定日数以上連絡がつかない場合

従業員が無断で欠勤し、規定日数以上(※例えば就業規則で14日と明記している場合は14日)経っても連絡がない場合、その行為が勤務規律に違反すると見なされ、懲戒解雇の対象となることがあります。例えば、ある従業員が家庭の事情で突然連絡が取れなくなり、指定された期間を過ぎても連絡がない場合、解雇の対象となる可能性があります。ただし、解雇に踏み切る前に、連絡手段を複数試みるなどの努力が求められます。

2.明らかな証拠のある業務上横領

従業員が業務上の立場を利用して金品を横領した場合、その行為が信用を大きく損なうものであるため、懲戒解雇の対象となることがあります。例えば、ある従業員が会社の経費を着服し、監視カメラや領収書などの証拠が明らかな場合、解雇が適切な対応となり得ます。ただし、証拠が明確であることが重要です。

3.病気休職の期間満了による解雇

従業員が病気休職中であるが、休職期間が満了し、その後も回復の見込みがない場合、能力不足による普通解雇の対象となることがあります。たとえば、ある従業員が長期にわたる病気休職を経ても回復が見込めず、就業が困難な状態が続く場合、解雇を検討することができます。ただし、解雇に踏み切る前に、適切な再就職支援や代替の職務提供が検討されるべきです。

これらの事例では、解雇の理由が明確であることが重要であり、意見を聞く機会を設ける・弁明の機会を与える・解雇事由について十分な説明を行い、理解を得るなどの適切な手続きや対応が求められます。これらの手続きを遵守することで、解雇が適切かつ合法的なものとなります。逆に、適切な手続きを踏まずに解雇を行った場合、解雇無効や損害賠償請求などのリスクが生じる可能性があります。したがって、解雇を検討する際は、適切な手続きや対応を心がけることが重要です。

問題行為に対する解雇以外の主な懲戒処分

先に述べたように解雇は非常に思い処分であり、明確な理由が無ければ違法とされるリスクもあります。そこで実際に問題行為を行った場合は、解雇以外の処分も検討する必要があります。従業員の不適切な行為に対処する懲戒処分として、以下の4つが挙げられます。

  1. 譴責・戒告・訓戒
  2. 減給処分
  3. 出勤停止処分
  4. 降格処分

1.譴責・戒告・訓戒

これらは、口頭や書面での注意喚起や警告を行う処分です。譴責は最も軽い形での注意喚起であり、戒告や訓戒はより厳しい警告となります。例えば、業務中に私用の電話を何度も使っている従業員に対して、上司が口頭で注意(譴責)をすることが考えられます。さらに繰り返される場合、書面で戒告や訓戒を行うことができます。

2.減給処分

一定期間(通常は1~3か月)従業員の給与を減額する処分です。従業員の過失や不適切な行為に対して、経済的な制裁を課すことで改善を促す目的があります。例えば、業務上の重要なミスを犯した従業員に対して、1か月間、給与を10%減額する処分が行われることがあります。

3.出勤停止処分

従業員に一定期間の出勤停止を命じる処分です。この期間は無給となることが一般的です。出勤停止処分は、従業員の行為を矯正するために、一時的に職場から離れさせることを目的としています。例えば、酒気帯び運転を行った従業員に対して、1週間の出勤停止処分が課されることが考えられます。

4.降格処分

従業員の役職や職位を下げる処分です。これにより、従業員の給与や役職上の権限が減少することがあります。降格処分は、従業員に自らの行為の重大さを認識させ、再発防止を図ることを目的としています。例えば、上司に対して度重なる無礼な態度をとった課長が、係長に降格されることがあります。

これらの懲戒処分は、解雇に至らず、従業員に改善の機会を与えることを目的としています。ただし、処分を行う際には、適切な手続きを踏むことが重要です。また、処分が重すぎる場合は無効となる可能性があるため、注意が必要です。懲戒処分を検討する際には、労働法専門家や弁護士に相談することが望ましいです。

重すぎる懲戒処分は無効になる

懲戒処分は、従業員の問題行為に対して、適切な程度で行われるべきです。適切な程度とは目安として、地方公務員の例が参考になります。地方公務員に対する懲戒処分は、公務員法に基づいて定められており、一般の従業員とは異なる点がありますが、処分の程度や段階を理解する上で有用です。それでも処分が重すぎると認められた場合は、無効となる可能性があります。以下に、処分の重さについて説明します。

処分 内容
勧告 軽度の注意喚起。従業員の行為に改善が求められる程度のものです。
減給 従業員の給与を一定期間減額する処分。問題行為が繰り返されたり、ある程度の重さがある場合に適用されます。
出勤停止 従業員に対して一定期間の出勤停止を命じる処分で、減給よりも重い処分とされています。
降格 従業員の役職や職位を下げる処分。
諭旨免職 従業員に退職を勧告する処分。
懲戒解雇 最も重い処分であり、従業員との雇用関係を終了させるものです。

適切な処分を選択するためには、従業員の過失や問題行為の程度、会社の就業規則や慣行、同様の事例に対する処分の実績などを考慮し、比例原則に基づいて処分を決定することが重要です。過重な処分が無効とならないよう、労働法や判例を参考にしながら、適切な対応を心掛けましょう。

モンスター社員を円滑に退職させる方法

退職させるためには、解雇退職勧奨の2つのパターンしかありません。

この二つの違いは、その従業員が同意しているかどうかです。退職勧奨は、従業員が自主的に退職することを勧めるものであり、本人の同意が必要です。一方で、解雇は会社側から強制的に雇用関係を終了させるもので本人が同意しているかどうかは関係ありません。

従業員の重大な犯罪行為(横領など)の場合は即解雇した方が良いですが、そうでない場合は解雇に踏み切る前に、まずは退職勧奨(従業員に任意に退職してもらう)を検討することが望ましいです。解雇はただ行うだけでもリスクが高く、不当解雇であるとして訴訟や労働裁判を起こされドラブルにつながる可能性が非常に高い傾向にあります。退職勧奨を適切に行うことで、円滑な退職が実現でき、会社と従業員の両方にとってメリットがあります。また、退職勧奨自体は適法ですが、強制的に行うことは違法とされたり、「退職に応じない場合は解雇する」という発言は諭旨免職という処分にあたります。

では、実際に解雇を行う場合の流れを見ていきます。

解雇の進め方

普通解雇の場合

  1. 方針を社内で共有
  2. 解雇理由をまとめたメモ作成
  3. 解雇通知書の作成する
  4. 別室に呼出し解雇/自主退職を勧める
  5. 最後の支払いや退職金の支払いについて説明
  6. 会社の貸与品は返却してもらう
  7. 私物は持ち帰ってもらう

普通解雇の場合は、従業員に対して十分な理由を説明し、予告期間を設けるなどの配慮が必要です。また、解雇が社会通念上相当であることを確認することも重要です。

懲戒解雇の場合

  1. 今回の解雇理由が就業規則上の懲戒解雇事項に該当するかどうかを確認
  2. 本人に弁解の機会を与える
  3. 方針を社内で共有
  4. 解雇理由をまとめたメモ作成
  5. 解雇通知書の作成する
  6. 別室に呼出し解雇通知書を渡す

懲戒解雇の場合は、従業員の重大な過失や不正行為が明確であることを確認し、事情聴取や弁明の機会を与えるなどの手続きを遵守することが求められます。

解雇を進める際、普通解雇と懲戒解雇のどちらの場合も注意すべき点があります。それは、解雇の手続き中に、従業員のプライバシーや会社の機密情報が外部に漏れることは、法的な問題だけでなく、会社の評判にも悪影響を及ぼす可能性があり情報漏洩には十分注意が必要です。社内の情報共有ツールからの削除や、私物の携帯・パソコンに乗っている社内情報の削除などがあり、特に私物の携帯などに残っている社内情報が消えたかどうかは確認が難しいので誓約書として「削除した」という証拠を残すと良いでしょう。

懲戒解雇における事例

懲戒解雇が適法とされた例

従業員が会社の財務諸表を改ざんし、虚偽の報告書を作成して上司に提出していたことが発覚しました。この行為は、会社に対する信用失墜や損害をもたらす重大な違法行為であり、懲戒解雇に相当すると判断されました。

裁判所は、以下の理由から懲戒解雇を認めました。

  1. 従業員の行為が重大な過失であること
  2. 会社に対する損害が大きいこと
  3. 従業員が反省の意を示さず、再発防止の意志がないこと
  4. 他の従業員への影響や悪影響が考慮されること

この判例からわかるように、懲戒解雇が認められるかどうかは、従業員の行為の重大性や会社への影響、再発防止の意志などが考慮されます。また、懲戒解雇を行う際には、適切な手続きが必要であり、事情聴取や弁明の機会を与えるなどの手続きを遵守することが重要です。

懲戒解雇が違法とされた例

組合で働いていた従業員が懲戒解雇された事件です。当該従業員は、遅刻・早退を繰り返していたことを理由に懲戒解雇されました。しかし、解雇理由とされた遅刻・早退の状況は、過去に同じような行為をしていた従業員に対しては、注意や戒告等の軽い処分で済まされていたことが判明しました。

裁判所は、過去の事例に照らし合わせて懲戒解雇が重すぎる処分であると判断し、懲戒解雇は違法であるとの判断を示しました。その結果、解雇された従業員は復職し、適切な処分が行われました。

この判例では、同じような行為に対して過去に軽い処分しか課されていない場合、懲戒解雇は違法となる可能性があることが示されました。これにより、企業が従業員に対する処分を行う際に、適切な処分の程度を慎重に検討する必要があることが強調されました。

解雇に踏み切る前に必ず弁護士に相談を

モンスター社員に対しての感情的に「解雇だ!」という感情になりがちな部分もありますが、冷静に法律や事実関係を検討し、適切な手続きを踏むことが企業のリスクを最小限に抑えるために必要です。

また、解雇理由が明確で適切だと思っていても、実際には法律上の基準に適合しない場合があり、思わぬ理由で不当解雇になることがあります。不当解雇と認められた場合、企業には様々な不利益が生じることがあります。例えば、復職命令やバックペイ(解雇された期間の未払い賃金)の支払いが求められることがあります。弁護士に相談し、法的なアドバイスを得ることで、適切な手続きが行われるよう確認し、適切な対応を行うことが、経営者にとって最善の方法と言えるでしょう。

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