【弁護士が解説】コロナ禍での賃貸借契約③定期賃貸借契約の途中解約交渉。転貸借と賃借権の譲渡。不動産賃貸の知識を学ぶ。

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この記事の内容は、動画でもご確認いただけます。

コロナ禍における賃貸借契約について後編です。今回は具体的な事例とともに今できる賃貸契約の対策・交渉などを解説します。

前回の記事:「大家さんの考えと固定資産税の軽減・免除等を理解し交渉を行うための不動産賃貸の知識を学ぶ」はこちらから

今日のテーマは、「コロナ禍での賃貸借契約③」

コロナ禍での賃貸借契約

今回も引き続き原弁護士にお越しいただいております。
よろしくお願いします。

弁護士の原和之です。
よろしくお願いします。

ビル内でのコロナ発生

コロナ禍での賃貸借契約

今回も前回に引き続き、コロナ禍での賃貸借についてお話いただきます。

かしこまりました。
コロナによる色々な影響は、先例が無いところです。
いろいろな事例を想定しながら過去の法律的な考え方だとこうなるのではないか、という予測を立てながらお話をさせていただきます。

よろしくお願いします。
まず、自分がテナントとして入っているビルでコロナが発生して、自身の事業自体を一旦ストップしないといけなくなった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

はい、自分がテナントとして入っていたテナントビル内でコロナ感染者が発生し、ビル全体の清掃・消毒をせざるを得ない場合だと思います。
テレビのニュースでもあったような、ビルの何階のスナックでコロナ感染者が出た・クラスターが発生したというようなことがありました。

そのようなニュースがありましたね。

コロナ感染者が出たことで自分の店舗も休業せざるを得なくなった、あるいは休業まではしなくて良いけれども、ニュースなどで噂になったので、自分の店舗にもお客様が来なくなってしまい、売上が減少してしまったという場合についてお話します。

この場合、ビルの賃貸人・所有者に損害賠償を請求したり、クラスターを発生させたフロアーの賃借人、あるいはビルの管理会社に損害賠償を請求するケースはあり得ると思います。

そうなんですね。
実際に請求することは可能なのでしょうか?

請求時のポイントとして、損害賠償は過失・落ち度があって初めて請求できることになります。

コロナに対する感染対策として、取るべき対応を取っていなかったという明確な過失があれば、請求は可能と言えます。

例えば、管理会社の従業員がコロナ陽性であるにも関わらず、人員が足りていなかったので陽性だと知りながら勤務をさせていた場合です。
ビルの管理をしながら、そのビルのテナントとも接触していたということになれば、これはかなり故意で悪質な管理会社となります。

それは、かなり悪質ですね…

このように明らかに故意に近いような悪質な管理をしていた場合や、店舗営業をしていた場合は、休業や売上減収を発生させた原因者として、一定の損害賠償義務が発生するケースがあると考えられます。

定期賃貸借の場合

コロナ禍での賃貸借契約

それから賃貸借の解除のお話を前回しましたが、普通賃貸借の場合、6ヶ月前予告といった規定が多いです。一方で、定期建物賃貸借の場合は、例えば3年や5年といったかなり長い期間について途中解約が認められない契約になっているケースが多くあります。

また、普通賃貸借の場合は借地借家法の原則で経済変動があれば増額・減額ができるとなっており、例えば賃料を減額できないといった特約は無効となります。一方で、定期建物賃貸借の場合は、特約で賃料の減額を排除する特約が有効となります。

そうすると、5年の定期賃貸借契約でビルにテナントとして入ったお店が6ヶ月経たないうちにコロナで大打撃を受けた場合、残りの4年半の間、テナントとして賃料を払っていくことはほとんど不可能です。

実際に私のところにもこれに似たケースの相談がいくつか来ましたが、特約で5年間減額できない、さらに解約もできない、となると借りている方としてはたまったものではない状態です。

そうですね、入られたばかりだとなおさらですね。

一方で貸している側から見ても、倒産されて5年間家賃が入ってこなくなってしますと困ってしまいます。

そうですね、双方ともにマイナスの結果になってしまいますね。何かできる事はあるのでしょうか?

はい、このコロナ禍での対応事例として一つは、契約書には記載していないものの、5年間の入居が難しいのであれば代わりのテナントを連れてきて入居してもらうといったことがありました。これを賃借権の譲渡といいます。

代わりのテナントに残りの期間入ってもらうことにより、大家さんとしては賃料が確保できるわけですし、元々借りていたテナントも支払い義務を免れることができます。
このようなテナントのスイッチができるのであれば、これは両方にとってプラスの対応策になります。

契約書に定めていなかったとしても、このようなご時世だからこそ、お互いがプラスになる選択肢を取るといったことですね。

転貸借

コロナ禍での賃貸借契約

もう一つの方法は転貸借です。
これは、賃借権を譲渡するわけではなく、借りている人が又貸しをするという形になります。しばらく他の人に家賃を少し負担してもらって、経済状況が良くなれば転貸借を合意解約して、自分のところで事業を続けていくといった方法です。

この方法についても、新しい賃借人・転貸人・賃貸人が一緒に協力をしてコロナ禍を乗り切っていく一つの方法として、実際に何件か行われています。

賃借人と賃貸人でいがみ合うわけではなく、お互いに歩み寄ることで、結果として双方に良い結果がもたらされるかもしれないということですね。

はい。これから第3波以降の経済状況によってそのような事例は増えてくると思いますので、様々な工夫をしながら、このコロナの危機を乗り越えていかなければと思っています。

ありがとうございました。


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