【弁護士が解説】名誉毀損となる3つの条件とは?誹謗中傷が多い業種とその理由

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今回は誹謗中傷について齊藤弁護士に教えていただきたいと思います。

よろしくお願いします。
まず、今回のテーマの「誹謗中傷」ですが、法律上誹謗中傷という定義はないです。

そうなんですね。

はい、あくまでも誹謗中傷というのは一般的に使われる言葉です。誹謗というのは他人への悪口、中傷いうのは根拠のない嘘やデタラメで他人の評価を落とすこと、と国語辞典に書かれています。

国語辞典の説明なんですね笑。
でも、なぜそれが法律上の問題になってくるんですか?

それは、誹謗中傷が名誉毀損や侮辱、場合によっては信用毀損・業務妨害・プライバシー侵害に繋がってくると法律上の責任が追及される可能性があるからです。

どういった場合に名誉毀損になるんですか?

法律上の定義だと、「事実を摘示し公然と他人の社会的評価を低下させる行為」となっていまして、事実摘示・公然・他人の社会的評価の低下の3つが揃うと名誉毀損だと言われています。

侮辱はどういった場合になるんでしょうか?

侮辱は、「事実を摘示しないで公然と人を侮辱する行為」なので、名誉毀損と侮辱の違いはその事実の摘示があるかどうかで分けられます。

事実の摘示というのはどのようなことを言うんですか?

例えばアホ・バカ・チビ・デブ等の罵詈雑言は、事実の摘示ではなく侮辱になります。一方で、「あの人浮気してるんだって」とか「あの人会社のお金を取ってるみたいだよ」といった嘘か本当かは別として、一定の事実を挙げるものが名誉毀損となります。

そうなんですね。
本当のことを言った場合は名誉毀損ではない、という話を聞きますが実際はどうなんですか?

必ずしもそうではないですね。
本当のことを言ったとしても、その人の評価が下がっているってことになると名誉毀損となることがあります。

本当の事を言って名誉毀損にならないケースはどのような場合ですか?

例えば公人の人です。政治家等に対して公共のために本当の事を言っている場合であれば名誉毀損にならないです。
ただ、普通の人はプライベートがあり、その人のイメージがもちろんあると思いますので、実際に浮気をしていたとしても、浮気をしないようなすごく良いパパだと思ってた人に対して「あの人浮気してるんだって」ということを言ってしまうと名誉毀損になってしまいます。ですから、本当の事を言っているから名誉毀損にならないというのは、なかなか通用しないところになります。

事実の摘示については分かりました。
2つ目の公然というのはどのようなことを言うんですか?

公然というのは、多くの人に広めるといったイメージです。
1対1で面と向かってアホとかバカとか言うことは名誉毀損にも侮辱にもなりません。もちろん、言われた人は腹が立ちますし、人として言うべきではないですが、法律上責任追及ということにはなってきません。

同じようにメールやメッセージを使って1対1でやっている場合には、基本的に名誉毀損・侮辱にはなりません。一方でSNSに書き込むなど、色々な人が見れる状態に置いた場合は、公然となり、名誉毀損・侮辱となってきます。

あと、注意しないといけないのが批判とか批評です。
「あのお店のラーメンが美味しくなかった」といったような批判や批評は侮辱ではないです。

批判や批評と侮辱の境界はどのように考えたら良いですか?

一つの基準を挙げると、人の人格そのものを批判するのは侮辱で、「ああいった行為はよろしくないのではないか」といったような人の行為を指す場合は、基本的に侮辱にはなってきません。
ケースにもよって変わってくる場合もありますので、あくまで一つの基準として考えてもらえたらと思います。

他にどのような事例がありますか?

他の具体例でいうとLGBTです。LGBTに関連する誹謗中傷は最近増えていて、場合によっては名誉毀損にもなりえると思います。
あともう一つはプライバシー侵害です。他人に知られたくないことを勝手に漏らされる等がプライバシー侵害になるので、その辺は気をつけてください。

最近だと、例えば台風時に働かせている会社があったとして、「台風が来ているのに働かしているよ」といった事実を言うだけであれば良いですが、「あそこの社長は頭がおかしい」、「あんな会社潰れてしまえ」ということを言ってしまうと法的責任が発生してくる可能性があります。
事実を淡々と述べるだけだとそこまで問題にはならないですが、そこから一歩踏み込んで人格批判だとか会社の体制批判や会社の代表者の批判に繋がってくると問題となるケースもあります。
経営者の過去のことや直接関係のない家族のことを指摘するといったところも問題となりやすいため、こちらも注意が必要です。

誹謗中傷というと個人の方の被害といったイメージが強いですが、会社に影響が及ぶケースもあるんですね。

そうですね、特に経営者が有名な企業だと経営者のイメージが落ちることによって、会社そのものにも影響が出てくることになるので気をつける必要があります。

他に企業に関わる誹謗中傷で注意することは何かありますか?

冒頭で言った信用毀損や業務妨害ですね。
名誉毀損や侮辱についても慰謝料はもちろん発生しますが、企業の営業妨害や信用毀損だと額が大きくなりがちなので、企業に対する誹謗中傷というのは気をつけないといけないです。
というのは、誹謗中傷されたことによって企業が取引先を失ったり、新しいお客さんが取れなくなったり、優秀な人材が来なくなったり、株価が下がってしまう、といった金額に直すと割と大きな影響が生じますので、業務妨害や名誉毀損に繋がる誹謗中傷というのは非常に気をつけないといけないと思います。

たしかに企業の場合、金額に直すと大きな影響が出てきそうですね。
ちなみに誹謗中傷を受けやすい業種はありますか?

病院や介護事業所の誹謗中傷が最近は増えている気がします。ヘルスケア関係の事業者に対しての誹謗中傷というのか、クレームというのか、そういったものが多いというイメージがあります。

そうなんですね。どうしてですかね?

何故なのかというと、病院や介護事業所のお客さんは、何かしらの不都合を抱えている方が多いです。元々ストレスを持っていて、病院に行けば治ったり、介護してもらうことで楽になったりという一定程度の期待があり、自分が思っている程の効果がなかった場合、元々あったストレスが爆発してしまうということがあります。
それに加えヘルスケア、特に介護事業所で働いている方は基本優しい方が多く、相手のお話をしっかり聞いてしまうことも要因だと思います。最初は優しく聞いていても、内容がエスカレートしてくると当然聞けなくなってきて、お客さん側は「何で急に聞いてくれなくなったのか?」といった形でヒートアップしていき、その結果SNSに書き込むなどの誹謗中傷に繋がりやすいのかなと思います。
ヘルスケアに限らないと思いますが、ストレスを抱えているお客さんが来るような業種は気をつける必要があります。

確かに私が取り扱っている事業型弁護士保険の問い合わせの中でも、お客さんから誹謗中傷をネットに書かれてしまったという内容は多く、業種をお伺いすると病院や介護事業所などのヘルスケア関係の方が多いイメージですね。
従業員の方の優しさが結果として、誹謗中傷を招くというのは考えたこともなかったですし、なんだか皮肉な感じがしますね…

最近はインターネット上での誹謗中傷が多いイメージですが、インターネット上で誹謗中傷が起きた際の責任の所在について教えて下さい。

誹謗中傷を書き込んだ人に加え、書き込んだサイトなどを管理しているプロバイダにも責任が及ぶ可能性はあります。
というのも、誹謗中傷が起きてることを分かっていながら放置したということになれば、その誹謗中傷を広めることをある意味手助けしたと見られ、責任追及されることもあるのでプロバイダ側も気をつけないといけません。
ここに関してはプロバイダ責任制限法というのが制定されています。

良く聞く言葉ですが、どのような内容なんですか?

プロバイダ側が責任を負うケース、負わないケースについて書かれているものになります。
これを読んでいる方でプロバイダ運営をされている方は多くないと思いますが、もし運営等をされているのであれば確認をして、気をつける必要があるかと思います。

ありがとうございました。
次回は、誹謗中傷を受けた際の対処法等について教えて下さい。

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